新型コロナで増える後遺症、突然動けなくなる“クラッシュ”に注意 専門医に聞く原因と防止法

2024年8月22日 15:35
7月に第11波が到来した新型コロナ。毎年お盆明けに増える傾向にあるため、まだまだ予断を許さない状況です。感染者が落ち着いてくると増えてくるのが、新型コロナの後遺症。「クラッシュ」という深刻な後遺症について、専門医に聞きました。

新型コロナの深刻な後遺症「クラッシュ」

  新型コロナの感染回数と後遺症の割合を表したグラフには、1回感染すると後遺症を発症する確率は14.6%、2回感染すると25.4%、3回以上感染すると37.9%。

 感染回数が多くなるほど、後遺症の発症率も高くなることが分かりました。

 これまで新型コロナの後遺症として、せき・たん・味覚・嗅覚障害などが挙げられてきましたが、これに加えて「クラッシュ」と呼ばれる症状があります。

 新型コロナの後遺症、「クラッシュ」とはどのような症状なのでしょうか。

 コロナの後遺症外来のある「柊みみはなのどクリニック」の内藤孝司院長にききました。
 

新型コロナの感染回数と後遺症の割合(カナダ統計局、去年12月)

新型コロナの後遺症「クラッシュ」とは
 Q.「クラッシュ」はどんな症状でしょうか

 「一般的な医学用語ではないのですが、コロナの後遺症の患者さんがストレスを抱えたときに、急激に症状が悪化する方が一定数います。急に倦怠感とか疲労感が出てしまい、突然動けなくなるような症状。それを“クラッシュ”と表現しています」(柊みみはなのどクリニック大府柊山 内藤孝司院長)
 

クラッシュ(慢性疲労症候群)とは

どうして動けなくなるのか
 「クラッシュ」とは、倦怠感など軽いコロナの後遺症が残っている中、仕事を頑張りすぎたり、激しい運動を続けたりすることで、ストレスが許容範囲を超えてしまい、ほとんど動けなくなり、3日以上寝込んでしまう慢性疲労症候群のことです。

 Q.どうして動けなくなるんですか

 「後遺症のメカニズムはまだわかっていないが、いくつかの原因は挙げられています。一つは、ミトコンドリアの機能不全。ミトコンドリアは細胞の発電所と言われ、エネルギー産生の場ですから、エネルギーが産生されなくなってしまうと、症状が悪化したり、回復に時間がかかる」(内藤院長)
 

柊みみはなのどクリニック大府柊山 内藤孝司院長

後遺症を発症しにくくする方法は?
 さらに、新型コロナのウイルスが体内に長くとどまる人もいるようで、そういう人が無理に頑張りすぎると、動けなくなる後遺症「クラッシュ」を発症するといいます。

 一番の対策は新型コロナに感染しないことですが、今やそれは現実的ではありません。では、後遺症を発症しにくくする方法はあるのでしょうか?

 「体調を整えて、感染症にかかりにくくすることが大事。3食しっかり食べ、規則正しい生活を送る。今の時期だと水分をしっかりとることが大事です。コロナワクチンは一定数の効果があるので、それを打ったり、感染してしまったら、抗ウイルス薬のゾコーバやパキロビッドパックがあります。値段が高いのがネックですが、飲むと後遺症が30%以上低下するというデータもあるので、リスクを避けたい方は、服用されることをおすすめします」(内藤院長)
 

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