「活動を知り仲間になって欲しい」ドクターカー更新に“クラファン”開始 愛知医科大学病院

2024年9月13日 20:00
愛知県長久手市の愛知医科大学病院では、ドクターカーの車両更新のため、「救急の日」の9月9日からクラウドファンディングを始めています。

愛知医科大学病院のドクターカー「ラピッドレスポンスカー」

 愛知医科大学病院で運用しているドクターカーは「ラピッドレスポンスカー」です。

 「ラピッドレスポンスカー」とは、医師と看護師が同乗して救急現場に向かう緊急自動車で、いち早く救命医療を開始することができます。

 車両の中に搭載しているのは、医療活動をするための点滴薬剤やAED。災害現場で医療支援を行う場合は衛星電話やヘルメット、食料などです。

 現行の愛知医科大学病院ドクターカー(ラピッドレスポンスカー)は運用開始から約10年。しかし、出動の機会は限られているといいます。どういうことなのでしょうか。
 

出動するドクターカー(ラピッドレスポンスカー)

稼働できない?ドクターカー
 この日、医師、看護師などスタッフ4人がドクターカーに乗車し病院から向かったのは、わずか約100m先のドクターヘリの駐機場。現在使われるのは基本的にこの往復のみです。

 愛知医科大学病院高度救命救急センター長の渡邉栄三医師は「ドクターヘリの運用以外では現場に行けるマンパワーがなかった」と話します。

 日々の業務に加え、ドクターヘリとドクターカー、双方の運用を行えるほど人手が十分でないことや、コストもかかることから、ここ数年、地域医療の現場ではほとんど活用されなくなりました。

 しかし、最近では、救急を専門とする若い医師や、医療現場に携わるスタッフなどが増えたこともあり、ドクターヘリとドクターカー双方の運用を「一気に加速していきたい」としています。
 

トランクに積まれた薬剤などの荷物

ドクターカーの運用促進も… 輸送力に課題
 現在使用しているドクターカーは最大5人乗り。

 トランクを開けると…トリアージをして治療する際に使う赤、黄、緑の大きなバッグや薬剤を入れるバッグ、ヘルメットなどでほぼ満杯になっています。

 1月1日の能登半島地震後には、医療支援のため被災地に向かったドクターカー。長期間の支援を予測しスタッフの荷物や食料などを積むと、車内スペースは狭くなり、医療機器(モニターなど大きなもの)を積みこむことも難しくなります。




 

年間400回出動する愛知医科大学病院のドクターヘリ

「ヘリコプターのカバーとして」
 一方、愛知医科大学病院では、ドクターヘリが年間約400回出動します。

 ヘリコプターは天候に左右されるため、雨の日や夜間は出動できません。

 渡邉医師は、当面はヘリコプターメインの運用を継続しつつ「ヘリが飛べない雨の日など、カバーできないところにドクターカーを活用したい」としています。




 

愛知医科大学病院の渡邉栄三医師

コスト面で大きな負担…地域医療を
 こうした課題を解決するため、今の車両から「ミニバンタイプ」への更新を検討している愛知医科大学病院。

 今月9日からクラウドファンディングを開始しました。目標金額は1300万円。

 災害派遣を見据え、ハイブリッド車両の購入費やクラウドファンディングの手数料などに充てられるといいます。

 クラウドファンディングの責任者でもある渡邉医師は「大きい病院とはいえ、自治体からの予算も厳しい中でやっている」「今後活動を広めていく上で投資は必要」と話します。

 クラウドファンディングを通して、地域住民への関心を高めることも目的です。

 「スタッフを増やすためにも、クラウドファンディングが役に立つのではないかと思う。これを機会に地域の方には僕らの活動を知ってもらって仲間になってもらいたい」(愛知医科大学病院高度救命救急センター長の渡邉栄三医師)


■愛知医科大学病院 救命救急科 クラウドファンディング
「だれひとり取り残さない、全患者救命を目指して。ドクターカーの更新へ」
https://readyfor.jp/projects/aichi-med-ER

(メ~テレ記者 石塚莉子)


 

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