謎の教育助成団体「名古屋市教育会」 事務局員3人の給与に約900万円 市教委と勘違いする親も

2024年9月20日 19:55
教育助成団体として活動する任意団体が、名古屋市の公立の学校で寄付金を集めている問題。集め方や寄付金の使われ方に問題はないのか、団体を直撃しました。
 「広く教育全般に関して任意だとか言っとるけど、任意であるわけない。バカらしい、学校で配ったら。内申点とかもっているわけでしょ、どえらい強力な権限を。そんなとこが配ったら、事実上強制になるに決まっています」(名古屋市 河村たかし市長)

 17日、名古屋市の河村たかし市長が、教育委員会に調査を要請した問題。

 問題となっているのは、学校で配られている「教育会入会のお願い」という1枚のチラシです。
 

「教育会入会のお願い」というチラシ

チラシを発行しているのは「名古屋市教育会」
 チラシを発行しているのは、名古屋市の教職員らによる任意団体「名古屋市教育会」です。

 「基本払っています。教育会と書いてあるから、子どもたちに使ってくれるのかなと」(保護者)

 「普通にみんな払うのかなと思って払っていました」(保護者)
 

「教育委員会」と勘違いしている保護者も

どのような団体か分からない保護者も多い
 中には、こんな声も――

 「教育委員会かなって思っていました」(保護者)

 どのような団体か分からない保護者も多く、中には名古屋市教育委員会と名前が似ていることから勘違いしている人も。

 「これはいかんですよ。学校という閉鎖的な空間で、権力を肩にかけてこういうことやっちゃいかんですよ。そういうお金を全部、この際洗いざらい出すと」(河村市長)
 

主な活動は「教員の研修費の助成や子どもたちの活動への助成」

名古屋市教育会の主な活動は?
 名古屋市教育会に取材を依頼したところ、カメラを向けないことを条件に、活動内容や寄付金の使い道について、話を聞くことができました。

 名古屋市教育会の主な活動は、教員の研修費の助成や「ファミリーデーなごや」や部活動の大会など、子どもたちの活動への助成だといいます。
 

支出で3分の1を占めていたのは事務局費

決算報告書を見ると…
 また、寄付金の使い道について決算報告書を見せてもらいました。

 教員や保護者らによる入会金など、収入の総額は約2915万円。

 このうち、支出で3分の1を占めていたのは事務局費です。

 中でも、事務局員3人の給与に約900万円が使われています。

 事務局の担当者は「ボランティアではないため、給料をいただいている」と理解を求めました。
 

名古屋市教育会は「入会は任意であり、強制ではない」と回答

「入会は任意であり、強制ではない」
 入会を強制と感じているとの保護者らの声については、「入会は任意であり、チラシにも『強制ではない』と表記している」と回答。

 一方でチラシには、「入会を強制するものではありません」としながらも、1口100円以上で「5口以上」と太字で強調されています。

 「5口以上って書いてあるので、寄付は1番少ない500円を納めている。5口を納めないといけない気持ちになっている」(保護者)

 「5口と書いているので、5口納めている」(保護者)

 Q.5口以上払わないといけないと思う
 「思います」(保護者)
 

愛知工業大学 中嶋哲彦教授

一連の問題について専門家は…
 一連の問題について、教育行政学に詳しい愛知工業大学の中嶋哲彦教授は――

 「教員の研修や、海外や国内の研修旅行が、必要なものであるというなら、公費で負担すべき。そうでないものについては、賛同できる人たちが、自分でお金を出して支えていく仕組みを取るべきではないか」(愛知工業大学 中嶋哲彦教授)

 名古屋市教育会は、ホームページもなく、保護者らが簡単に決算報告書を見ることができる仕組みもありません。
 

河村市長「1週間以内に教育委員会に調査をさせる」

河村市長「1週間以内に教育委員会に調査をさせる」
 こうした活動が見えにくいことについても、改善すべきだといいます。

 「どういう目的で、どういう事業を行っていて、お金の流れがどうなっているかは、きちっと公表する。その上で希望する人は、入ってくださいという形をとるべき」(中嶋教授)

 河村市長は「1週間以内に教育委員会に調査をさせる」としていますが、名古屋市教育委員会は、担当の部署が複数になるとして調査には時間がかかるとしています。
 

これまでに入っているニュース

もっと見る

これまでのニュースを配信中