国際電話の番号を使った特殊詐欺が急増しています。その背景と、被害に遭わないためにどうしたらいいのか、取材しました。

　24日午前、岐阜市内の家庭を訪れたのは、岐阜南警察署の署員。

　目的は、固定電話に国際電話がかかってこないよう、国際電話の利用休止の申請を行ってもらうためです。

　「国際電話番号を悪用した特殊詐欺がすごく増えているので、防ぐためにこういった対策があるよと。一般家庭の固定電話で、海外との電話をする必要がないのであれば、国際電話の発着信を拒否することができる申し込みを、紙1つ書いてもらうだけで行えるので」(岐阜南署生活安全課 古澤拓也係長)

　去年から増えている、国際電話を利用した特殊詐欺電話。

　これを防ごうと、今年2月には、国際電話の利用休止の申し込みが始まりました。

　国際電話不取扱受付センターに申請をすると、無償で国際電話の利用が休止できます。

　岐阜県では、今年1月から8月までの特殊詐欺被害のうち、約7割が65歳以上の高齢者。

　岐阜県警は、自分で申請が難しい場合は、警察官が自宅に訪れ、申請の補助を行うなどの対応をしています。

　「オレオレ詐欺や架空料金請求詐欺など、ありとあらゆる詐欺に国際電話が使われているので、そういった詐欺にあわないように注意していただきたい」(古澤係長)

　国際電話使った詐欺と思われる電話。

　名古屋でも、電話が来た経験があるという人がいました。

　Q.最近、怪しい番号からかかってきた？
　「かかってきました。びっくりしますよね、なにかトラブルに巻き込まれるにおいしかしないので、極力ちゃんと見て出ないようにしたいけど、防ぎようがない」(女性)

　こちらの男性は、海外からかかってきた見慣れぬ番号の電話をとってしまったことがあるといいます。

　「自動メッセージみたいなので、『総務省です。携帯電話か電気が2週間後に使えなくなります。なにかプッシュしてください』と出たので、プッシュしちゃいけないなとそのまま切った。ここ半年で急に増えた気がする」(男性)

　不審な国際電話に注意が必要なのは、固定電話だけではありません。

　携帯電話にかかってくる、怪しい国際電話は何が目的なのでしょうか。

　そして電話がかかってきたとき、私たちはどうすればいいのでしょうか。

　名古屋市中区に本社を置く「トビラシステムズ」は、特殊詐欺などの対策サービスを提供する会社です。国際電話詐欺の手口や対策を聞きました。

　「国内の番号は法規制もあって、利用者を追いやすい。国際電話だと国の外に出るので、身元を隠しやすい。悪用される番号で多いのは『+1』から始まる北米の番号。アメリカやカナダの番号が多い」(トビラシステムズ 柘植悠孝さん)

　特殊詐欺に利用された番号の推移をみると、これまでは「050」で始まるインターネット回線を利用したIP電話が多くみられたといいます。

　しかし去年6月に、この「050」の番号が契約時に本人確認が義務化され、国際電話の使用が増えたという経緯があります。

　国際電話を使った詐欺は大きく分けて、「架空料金請求詐欺」と「ワン切り詐欺」の2種類があるといいます。

　「架空料金請求は特殊詐欺の一種。架空の料金が発生していると、その金額を請求するもの」(柘植さん)

　企業などを装い、「未納料金がある」などの自動音声などが流れ、料金を支払うように指示されるのが「架空料金請求詐欺」です。

　「警察や総務省など官公庁をかたって、かけてくるのが最近増えている」(柘植さん)

　もう一つの「ワン切り詐欺」とは？

　「ワン切りで着信の履歴を残して、折り返させるという手口。海外の番号に折り返させると、海外の通信事業者に料金がちょっと高めで請求される。海外の通信事業者と結託した犯罪グループがいて、そこに通信料の一部がキックバックされ、犯罪グループに金が流れる手口」(柘植さん)

　電話を使った詐欺は今まで高齢者をターゲットにしたものが多かったのですが、最近は年代を問わず、履歴が残りやすい携帯電話を狙うことが多くなっているといいます。

　見知らぬ国際電話がかかってきたとき、我々はどうすればいいのでしょうか。

　「通常、国際電話から電話がかかってくることがあまりないと思うので、そういう電話には出ない」(柘植さん)