27日の衆院選、投票ためらう若者に知ってほしい 名古屋の学生たちがSNSで動画発信

2024年10月25日 20:56
前回の衆院選で、投票した20代は3人に1人にとどまりました。未来を決める1票を投じないままでいいのかーー。行動を起こす若者を取材しました。
 衆院選の投開票日は27日。

 「政治とカネ」や暮らし、教育、安全保障などさまざまなテーマで与野党の論戦が続いています。

 「政権交代」というキーワードも飛び交う注目の選挙ですが、名古屋の街で大学生に聞いてみるとーー。

「実際に行くかというと、行けるかどうか微妙。バイトなど忙しくて、大学があるとなかなか時間を作りづらい」(大学生)

「あまり行く予定はない。どこに投票しても一緒かな…。世の中変わるのかなという疑問がある」(大学生)

「今は高齢者の方が人口が多いので、若者の政策があまり取り入れられない。選挙に行くのは大事だと思うが、自分1人が行っても変わらないかな」(大学生)
 
 選挙に行かないという声が目立ちます。
 
 近年の衆院選の投票率は50%台で推移しています。
 
 しかし、年代別に見ると大きな差が。 前回の衆院選では30代以下の投票率は全体平均を大きく下回り、20代では30%台にとどまりました。「3人に1人しか投票しない」計算です。
 

前回の衆院選の世代別投票率。20代は30%台にとどまる

若者の低投票率に立ち向かう学生たち
 低迷する若者の投票率。そんな状況を打破しようと活動する大学生がーー。
 
 19日、名古屋市内であった衆院選候補者の街頭演説。雨の中、真剣に耳を傾ける若者の姿がありました。

「若者が政治に関心を持っていないからこそ、関心を持って声をあげるのは、お得というかいいことだと思う」(学生団体Polivoice 油口琢磨代表)

 中京大学4年生の油口琢磨さん。

 今回の衆院選で若者の投票率を上げたいと、活動をしています。

「日常的に使っているスマートフォンの中で、SNSを通じて同じ世代の学生たちがどういった理由で政治に参加しているかや、各政党を支持しているのを目にすることで、僕たちも政治に関わろうとか、関わっていいんだと思ってほしい」(油口代表)

 政治に関心をもつ若者の姿をSNSで動画で投稿し、同世代の若者にも選挙への興味を持ってもらいたいといいます。
 

学生団体Polivoice代表の油口琢磨さん

SNSで発信 “作戦会議”も
 この日は政党の学生部に所属する学生に、政治に興味を持ったきっかけなどを尋ねるインタビューを撮影していました。

「まずは若者と政治の接点を作ることが大事だと思っていて、SNSを通じて政治家や関心のある学生と、まだ関心を持てていない学生をつなぐ」(油口代表)

 若者の投票率を上げたいと意気込む油口さん。中京大学のキャンパスを訪れると、撮影した動画の編集作業と、動画をより多くの学生に見てもらうための"作戦会議"が行われていました。

 少しでも同世代の目に触れる機会を増やそうと、できる工夫を探ります。衆院選の先も見据え、投稿する動画には再生回数の目標も立てました。

「衆院選が終わった1カ月後には名古屋市長選挙がある。まずはこのプロジェクトを成功させて次の名古屋市長選につなげていきたい。1投稿5000人の視聴を目指して取り組みたい」(油口代表)
 

大阪大学の佐々木周作特任准教授

行動経済学の視点では
 若者が選挙に関心を持つ様子を、SNSを通じて同世代に見せようとするこの活動。どのような効果が期待できるのでしょうか。
 
 行動経済学の専門家はーー。

 「行こうと思っているけど、今まで行けなかった人が多いと思う。周りが行っていないから自分も行かなくていいと思っている人には、SNSを使って若者世代への呼びかけなど、いろんな情報を可視化していく戦略やアプローチは有効だと思う」(大阪大学 佐々木周作 特任准教授)

 同年代が選挙に関心を抱く姿を見せることが安心感につながり、これまで投票をためらっていた若者の背中を押すきっかけになる可能性があるといいます。

「初動を起こすというか自分からアクションを起こすのはとても難しい。全然違う例ですが、職場や学校環境で、この子は絶対ダイエットしないだろうと思っていた人が、いざやり始めて成功することのインパクトはすごく大きい。自分もやらないといけないなと」(佐々木特任准教授)
 

「周りに行く人がいる」と知れば投票を促すきっかけに

若者が選挙に行かない理由
 佐々木特任准教授は「選挙に行きたいと思っている若者は一定数いるはずだ」といいます。

 それでも行動に移せる人が少ないのは、選挙について話す習慣があまりなく、「周りが行かないなら、自分も行かない」と思ってしまうのではといいます。

 そのうえで油口さんたちの取り組みは、「周りに選挙に行く人がいる」ということを知ることで、投票行動を促すきっかけになるのではということです。
 

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