【密着】4人子育て“パワフル母さん” 初の選挙戦12日間 衆院愛知7区、挑むは自民ベテラン

2024年10月28日 19:47
衆院選愛知7区に、小学2年生の三つ子と小学4年生の娘の母、日野紗里亜氏(36)が初めて立候補しました。挑むのは当選6回、大臣も経験した自民党のベテラン。地盤も知名度もない中、広い選挙区を駆け回った12日間に密着しました。

4児を育てる国民民主党の新人・日野紗里亜氏

 選挙戦が始まる朝。

 「実感があるようなないような…。とにかく12日間走り抜けていきたいと思います」

 愛知7区で、国民民主党から立候補した新人の日野紗里亜氏(36)。

 チームカラーの白は「空手着」をイメージ。高校時代、インターハイにも出場した「空手」のようにしなやかな強さで、そして、まっさらな気持ちで挑みます。
 

自宅の日野紗里亜氏

三つ子を含む4児の母
 小学4年と、小学2年の三つ子、あわせて4人の母。

 5時半に起きて、朝ごはんの支度を始めます。

Q.朝ごはんのメニューは?
「チーズとマヨネーズの時もあるけど、フレンチトーストの時もある」(長女・杏南ちゃん 10歳)

 少しだけ静かな食卓。実は――

Q.朝陽くんは?
「入院している」

 この時、次男の朝陽くん(8)は体調を崩して入院していました。
 
「選挙期間が近づくと、毎日家には帰っているけど『ママ3日ぶりに帰ってきたね』という言葉を子どもからもらうこともある。わがままをぐっと飲みこんで『ママ頑張ってね』と言う子どもを見るのが、ありがたいようでつらいし、ずっと後ろ髪を引かれる感覚がある」(日野氏)
 

街頭で福祉の担い手の支援を訴える日野氏

子育ての苦労が原点に
 3つ子の子育てに追われた8年間。重ねた苦労が、政治活動の原動力です。

「日本のいたる所で、当時の私と同じような思いで、それ以上の思いを抱え、子育てや介護や障害を抱えた大切な家族のケアで、今にも窒息しそうな人たちがいる。そういった方々の小さな声を、声なき声を、国に届け、救っていかなければなりません」(日野氏)

 障害者施設などを運営する会社で、代表も務めている日野氏。

 子育てと並行して、6年前には双子や三つ子などいわゆる「多胎家庭」を支援する団体を立ち上げました。

 多忙な中で、政治の世界に飛び込もうと決意した訳は――。

 「高齢者介護とか障害者福祉は、制度的には結構充実していることもある。その中で働く人たちの処遇がいつまでたってもよくならない。世のため人のため、自分がどこまでのことができるのかという、限界にチャレンジしたいと思いました」(日野氏)
 

「100本の辻立ち」を目指す日野氏

女性参院議員から教わった「大作戦」
 愛知7区の前職は、自民党の鈴木淳司氏(66)。

 “裏金問題”という逆風にさらされましたが、当選6回で大臣も務め、圧倒的な知名度を誇る相手です。

Q.ここから何をする?(濱田隼アナ)
「きょうは100本、辻立ち」(日野氏)

 1人でも多くの人に自分の名前を知ってもらおうと、尾張旭市から大府市まで南北に長い選挙区を走り回ります。

「多くの人に顔と名前を知ってもらっていないという現実もあるので」(日野氏)

 そして、もうひとつの「作戦」が――。

 「1万枚、名刺大作戦」(日野氏)

 日野氏が政治を志すきっかけとなった参院議員・伊藤孝恵氏から受け継ぎました。

 日野氏は、公園や駅などで出会う人に名刺を配り、知名度アップを目指します。
 

選挙期間中に子育てを支えた母の雅実さん

4人の子と母親が支えに
 選挙戦が続く中、こんな陣中見舞いが。 

 「まただっこ?もう2年生なのに。さすがに2人は無理だな」(日野氏)

 入院していた朝陽くんが回復し、4人全員が応援に。

 そして日野氏の母も全力でサポート。

 夜まで選挙活動を続ける日野さんに代わって、子どもたちと過ごしています。

「最後までみんなに迷惑かけることなく、元気で戦い抜いたらいいかなと思っていて、できるだけのことをやってきたので、親としては十分かな」(日野氏の母・雅実さん)
 
 ラストスパートに入った日、手ごたえを聞いてみると――。

Q.有権者の反応が変わったなという手ごたえはありますか?(濱田アナ)
「交差点などで立っていると、車の中から手を振ってもらったり、『期日前投票いってきたよ』『入れてきたからね』というありがたい言葉ももらって、すごく励みになっています」(日野氏)
 

声を詰まらせて選挙戦を振り返る日野氏

選挙戦最終日に見せた涙
 選挙戦最終日の26日。

「何としてでもこの選挙で合格をして、衆議院議員にならないと、皆さまのお役に立つことができないんです。どうか日野紗里亜を国会に送ってください」(日野氏)

「選挙期間すごい長いなと思っていたんですけど、終わってみると本当に一瞬のことで、本当に多くの方に支えていただいての選挙戦だったので、感謝しかないです」(日野氏)

 全力で駆け抜けたお母さんに、子どもたちは――。

「ママ頑張ってたから勝てると思う」(長女・杏南ちゃん)

 迎えた投票日。 

「ご飯がない。ご飯炊き忘れてた」(日野氏)

 開票前、最後のご飯は――。

「杏ちゃん、何を作っているの?」(日野氏)
「カレー」(杏南ちゃん)
「なんで作っているの?」(日野氏)
「ママが頑張っているから」(杏南ちゃん)

 娘の杏南ちゃんが作った特製カレーです。

「選挙期間中は車の中でコンビニで買ったおにぎりを食べるというのがほとんどだったので、娘が作ってくれたカレーはおいしかったです」(日野氏)

 その後、選挙事務所の近くに移動し、結果を見守りました。
 

支持者らと初当選を喜ぶ日野氏

自民前職に4万票差つけ初当選
 そして――。

 自民党の前職・鈴木淳司氏に約4万票の差をつけ、日野紗里亜氏が初当選を果たしました。

 ANNと朝日新聞による出口調査では、無党派層の約7割近くが投票したほか、自民党支持層の2割からも票を獲得しました。

「無名の新人候補だったので、街に出て駅に立って1人でも多くの方に、見て知って覚えてもらうことをテーマにしていたので、その選挙戦ができたかなと思っています。ここまで一緒に戦ってくださった表ではない部分で、共に協力してくれた皆さんに感謝ばかりです」(日野氏)

 当選から一夜明けて――。

「いつものなかなか起きない子どもたちを起こしつつ、朝食を用意しつつ準備しつつのバタバタの朝でした」(日野氏)
 
 家の中では、いつものお母さん。でも28日からは“政治家”の顔で街頭に立ちます。

「皆さんに対する感謝の気持ちと、この恩を返していかなければならないといった緊張感を持っています。子育ても介護もしっかりと社会で支えていく、家庭だけで抱えるのではなく社会で支えていく、そういった社会作りを、私が一丁目一番地として取り組んでいきたい」(日野氏)
 

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