河村たかし前市長との”違い” 広沢一郎市長が個人質問の答弁に 議会に歩み寄る姿勢も示す

2024年12月5日 18:03
名古屋市の広沢一郎市長が5日、就任後初めての個人質問の答弁に臨みました。議会に歩み寄る姿勢も示し、長く議会と対立を続けてきた河村たかし前市長との”違い”も見えてきています。
 名古屋市議会の11月定例会。5日午後の本議会で、自民党名古屋市議団の成田隆行議員からの質問に広沢一郎市長が答弁しました。
 
 まず話題に上がったのは、11月の選挙で広沢市長が何度も訴えてきた、市民税の減税について。河村前市長時代、2012年度から5%の市民税減税が続いていますがーー

「河村前市長も話していたが、広沢市長も同じ言葉を引用される『減税したから名古屋の税収が伸びた』これは事実なのでしょうか」(自民党名古屋市議団 成田隆行 議員)

 これまでの河村市政の「減税効果」を聞かれた広沢市長はーー

「市民税減税はこれまで約1600億円を納税者の皆様に戻した一方で、市政収入は減税実施前の2009年度と比較すると、2010~2024年度の累計で約3800億円の増となっている。私としては市民税減税により、可処分所得が増加し、経済活動を活発にする一助になったと考えている」(名古屋市 広沢一郎市長)

 市民税減税を5%から10%に引き上げるという考えに変わりはないという広沢市長。そのスケジュールについて聞かれると、「2026年度からの実施を目指す」と応じました。
 

名古屋城天守の木造復元事業も議題に

名古屋城天守の木造復元事業
 また、河村前市長”肝いり”の計画だった名古屋城天守の木造復元事業についてはーー

「広沢市長もエレベーターはつけないというこだわりがあるのでしょうか」(成田議員)

 河村前市長は「ただ一つしかない名古屋の宝」だとして、エレベーター設置に後ろ向きな姿勢でしたが・・・

「大型のエレベーターについては木造天守のはり・柱などを取り除く必要があるため、設置をしない方針としております。一方、昇降技術に関する公募で選定された小型昇降機であれば構造を変更することなく設置でき、各層ごとに乗り換えて、上層階まで目指せる技術であるため、現在実現に向けて開発を進めている。小型昇降機をできる限り上層階まで設置することについてチャレンジし、史実性とバリアフリーを両立させたい」(広沢市長)

 大型のエレベーターについては設置しないという考えを示しつつも、「障害者をはじめとする市民みなさまの意見を伺いながら、木造復元を進めたい」と話しました。

 議会に対し「歩み寄る姿勢」も垣間見えた広沢市長の5日の答弁。河村前市長時代は「対立」を続けてきた、市議会と市長の間の「距離感」に、今後、変化は生まれるのでしょうか。11月定例会は、6日閉会の予定です。
 

名古屋市議会の会派別人数

今後の市政運営は一筋縄ではいかないかも…
 広沢市長にとって、今後の市政運営は一筋縄ではいかないかもしれません。

 広沢氏を推薦していた地域政党「減税日本」に過去に所属していた市議2人が12月、名古屋市議会の最大会派である「自民党名古屋市議団」に加入しました。

 これにより、自民党会派は23人になりました。11月の市長選で広沢市長の対立候補を応援していた自民、民主系、公明の市議を合わせると4分の3の勢力を占めることになり、それに対して「減税」会派は8人です。

 去年の4月の統一地方選挙では14人いた市議が次々と離脱。議会と対立を続けてきた河村前市長への反発も背景にあるとみられます。

 広沢市長がどれだけ対話を重ねていくのか今後も注目です。
 

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