224人の児童が小学校に 震災遺構に残された痕跡 体育館には仮設住宅の実物が【暮らしの防災】

2025年2月2日 14:01
もうすぐ3月です。2011年3月11日に発生した東日本大震災から14年になります。みなさんは岩手・宮城・福島の被災地を訪れたことがあるでしょうか?南海トラフ巨大地震では、静岡県〜宮崎県までの太平洋岸に「阪神・淡路大震災の激しい揺れ」と「東日本大震災の大津波」が襲うと言います。南海トラフ巨大地震の時に何が起きるのか?は、被災地にある「伝承施設」を訪ねると、具体的にわかります。訪問して目の当たりにすると、その現実に戸惑います。何が起きたのか…が迫ってきます。そして「備えなければ!」と。今回は、東日本大震災の震災伝承施設である宮城県の「石巻市震災遺構門脇小学校」を紹介します。

石巻市震災遺構門脇小学校

大震災の日、224人の児童が
 宮城県石巻市立門脇小学校には、大震災の日、224人の児童がいました。地震発生から15分後には裏山に向けて避難を開始し、在校していた児童・教職員は全員が無事でした。

 しかし下校後だった低学年の児童7人のほか、学校に避難してきた住人の一部が津波にのまれて命を落としました。海岸から小学校まで約800m。校舎は高さ1.8mの津波に襲われました。

 そして流されてきた車や住宅から引火し津波火災が起きました。火の手は校舎最上階の3階まで達しました。門脇小学校は、地震、津波、津波火災の被害を伝える唯一の震災遺構です。
 

石巻市震災遺構門脇小学校

校舎の外壁、内部の一部に生々しい火事の跡が
 石巻南浜津波復興祈念公園の北側に、津波と火災の痕跡を残す「石巻市震災遺構門脇小学校」があります。校舎はもともと幅が107mありましたが、維持管理費を抑えるため、中央の67mの部分のみを残す形で整備されました。校舎の外壁、内部の一部に生々しい火事の跡が残されています。
 

展示物

展示物は…
 中に入ると被災車両など被災の状況を伝える展示物や、写真、パネルなどが展示されています。

 写真や図を効果的に使ったわかりやすい展示で、「石巻市の基本情報」「門脇小学校の基本情報」「震災前の状況」と「震災後の状況」を確認できます。ここで、校舎を見学する前の予習をしてください。
 

津波で倒された金庫

校舎内は被災した姿がそのままに
 地震、津波、火災で被災した姿が残されています。この写真は校長室。画面中央にあるのは津波で倒された金庫です。

 中には卒業証書が保管されていましたが、火災で焼かれても卒業証書は無事だったそうです。
 

教室もほぼ当時のまま

教室もほぼ当時のまま
 教室もほぼ当時のままです。このほか、門脇小学校の教職員、児童(当時が語るビデオの上映もされています。見て聞いて感じられる伝承施設になっています。
 

仮設住宅の実物が展示

体育館には仮設住宅が
 体育館には仮設住宅の実物が展示されています。
 

家電製品も設置

支給される家具なども設置
 支給される家具、家電製品も設置されていました。これには驚きました。
 

仮設住宅の中

仮設住宅の中は…
 こんな狭い部屋で、一家全員が暮らすのです。震災後、被災者がどんな暮らしをするのかもわかります。
 

石巻市震災遺構門脇小学校

石巻市にはまだ訪問すべき場所が
 石巻市には、訪れるべきポイントがまだまだあります。門脇小学校の前には「伝承交流施設 MEET門脇」と「みやぎ東日本大震災津波伝承館」があります。

 このほか、あの日市民が避難した「日和山公園」、マンガ家石ノ森章太郎のマンガミュージアム「石ノ森萬画館」、やはり震災遺構「大川小学校」(※中心部から離れています)など。もちろんお魚グルメもあります。

<石巻市震災遺構門脇小学校の情報>
【開館時間】 
9:00~17:00(最終入館16:00) ※冬季(11月〜1月)最終入館15:30
【休館日】  
毎週月曜日(祝日の場合は開館し翌日休館) 年末年始(12月29日〜1月3日)
【特別開館日】
毎月11日、6/12、9/1、11/5 (特別開館日が月曜日の場合は翌日が休館)
【入館料】
大人:600円(500円) 高校生:300円(200円) 小中学生:200円(100円)
※( )内は団体料金  ※団体割引は20名以上から適用


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 被災地取材やNPO研究員の立場などから学んだ防災の知識や知恵を、コラム形式でつづります。

■五十嵐 信裕
 東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。
 

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