「HackGALA」開催 視覚障害者の課題解決のため、対話型AIナビを開発 自分の得意分野をカタチに

2025年2月11日 17:30
「アイデアはあるんだけど、どうすればカタチになるのかな」と考えること、皆さんもあると思います。年齢も職業もバラバラの人たちが名古屋に集結。アイデアを出し合って目指したのは、社会の課題解決です。
 6日木曜日、名古屋で開催された「HackGALA」。

 みんなでアイデアを出し合って、新商品や新たなサービスの開発につなげようというイベントです。

 「いろいろなアイデアを出し合って、その中で決められた期間の中で、ある程度動くものを作る」(TechGALA 総合プロデューサー 奥田浩美さん)

 舞台となったのは、去年10月にオープンした愛知県のSTATION Aiです。

 「HackGALA」に参加したのは、年齢も職業もバラバラの約50人。

 見えにくい社会課題“BLACKBOX”の解決をテーマに、数人ほどのチームに分かれて、約3カ月に渡ってアイデアを出し合い、試作品を作ります。
 

視覚障害者の目的地まで道案内をしてくれる対話型AIナビを開発

視覚障害者の課題解決を目指し、対話型AIナビを開発
 参加したチームのうちの一つ「よりみちガイド」。

 このチームが目指したのが、視覚障害者の課題解決です。

 視覚障害者が周りの景色などを楽しんでもらいながら、道案内をする対話型AIナビを開発しました。

 最初の発案は、眼科医療機器メーカーに勤める滝井美紀さんの実体験がきっかけでした。

 「祖母が若くして失明していて、目が見えない人のために、何かしたいっていう思いはずっとあったので。ちょっとでも豊かさみたいな、心に楽しいなとかそういう気持ちが出てくるものを作りたいなと思いました」(『よりみちガイド』の発案者 滝井美紀さん)
 

自分の得意分野を生かし、カタチにしていく

自分の得意分野を生かしてカタチに
 チームには、滝井さんの想いに共感した人たちが集まりました。

 「本業はデザイナー」(『よりみちガイド』のメンバー)
 「普段は医師をしています」(『よりみちガイド』のメンバー)

 「得意分野としてアプリ開発というか、AI系のものが得意なので、カメラの画像認識みたいなところで、『ここに何があるよ』というところを読み上げる機能とかを、自分だったら作れると思った」(『よりみちガイド』のメンバー 自動車部品メーカー勤務)

 年齢も職業も違う人たちが、自分の得意分野を生かし、カタチにしていきます。

 アプリの基本設計を作ったのは、19歳の大学生です。

 「社会に役立つアプリを作りたいとか、制作したいという部分に気持ちはよっていたので、それがマッチした」(『よりみちガイド』の基本設計を作った 山本賢人さん)
 

最終プレゼンに向け、視覚障害のある人にナビを体験してもらう

実際に視覚障害のある人がナビを体験
 最終プレゼンに向け、実際に視覚障害のある人にナビを使って体験してもらうことも――

 「信号何色?」(体験した視覚障害者)
 「信号機の色は見えにくいけど、赤色に見えるな」(ナビの音声)

 「前にいる人何歳くらい?」(体験した視覚障害者)
 「年齢は見た感じだと、トゥエンティ代後半かな」(ナビの音声)
 「なんで英語なんだろう」(体験した視覚障害者)

 「チームで話し合って、試作をこんなのあったらいいなと作っているところ」(滝井さん)

 「情報は多いかなと思った。一人の歩行なら目の前に何があるかとか距離、どれくらい前に誰がいるとか、距離ってけっこう必要だと思いますね」(体験した視覚障害者)

 体験後にはヒアリングも行い、ナビの改善に努めます。
 

プレゼンの様子

“少しでも役に立つものを作りたい”という想い
 そして迎えた、プレゼン本番。

 「緊張ですね。視覚障害者の気持ちを代弁する係ではないかと思っていて、それを頑張って伝えたい」(滝井さん)

 この日、プレゼンに臨んだのは最終選考まで残った5チーム。

 滝井さんのチームは、2番手でプレゼンを行いました。

 「想像してみてください。あなたは、目をつぶって仕事に行けるでしょうか。そこは危険で不安なんです」(滝井さん)

 身近に視覚障害者がいるからこそ、少しでも役に立つものを作りたい。

 プレゼンでは、その想いと試作品について紹介しました。

 「振動デバイス付きのイヤホンを取り付けます。目的地を入力して曲がる場所まで来ると、曲がる方の耳が振動します。どんどん歩いていくと、周りの風景を音声で説明してくれます。そして周りの景色が感じられるようになるんです」(滝井さん)
 

障害者が自らプレゼンするチームも

障害者が自らプレゼンするチームも
 滝井さんのチーム以外にも、小学生が匿名で悩み相談ができる子ども向けのアプリを提案したり、障害者が自らプレゼンするチームも。

 「視覚障害者と晴眼者(視覚障害のない人)のペアプログラミング。さあ、社会に走り出せ」

 目が不自由でもプログラミング技術を学びたい障害者と、支援をしたいエンジニアを結びつける場の提供をPRしていました。
 

「よりみちガイド」の発案者 滝井美紀さん

寄り道というアイデアが評価
 そして、最終審査の結果は――

 「優勝は、『よりみちガイド』です」

 滝井さんのチームが見事、優勝。

 使った人の感想が多く含まれていたことや、目的地にたどり着くだけでなく、寄り道というアイデアが評価されました。

 「正直うれしいですね。今後、ぜひこの製品を視覚障害者の方に楽しんでもらえるように物を作っていきたい。この後どうするのか、どうやってそれを製品にしていくのかというのは、まだわからない。チームのメンバーとも相談して決めたい」(滝井さん)
 

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