「イヤホン難聴」は悪化すると治らない 若い人ほどダメージ大、体温計の音を聞き逃したら要注意

2025年3月7日 12:45
イヤホンなどで音楽を楽しむという方、正しい使い方をしないと、気付かないうちに難聴になってしまう恐れもあるといいます。

イヤホン難聴が増えている

 この10年で10代~40代の聴力が低下していると、厚生労働省が警鐘を鳴らしています。

 その原因と言われているのが、イヤホンやヘッドホン。

「イヤホンやヘッドホンで音楽などを聴き続けることで聴力が衰える『イヤホン難聴』になる人が増えているというんです」(竹田基起アナウンサー)

 スマホの普及や、リモート会議などが増えていることで、イヤホン・ヘッドホンで音楽や音声を聞く機会が多くなりました。

 それで増えているとされているのが「イヤホン難聴」。

 WHO(世界保健機関)によると、イヤホン難聴のリスクのある人は世界で11億人もいるといいます。
 

イヤホンの音は、普通の音より空気の振動が大きい

イヤホンでなぜ難聴に?
 ではなぜ、イヤホンをしていると難聴になるのでしょうか?

 栄セントラル耳鼻科の服部忠夫院長に聞きました。

 音というのは空気を振動させて耳に届きます。振動は鼓膜を通過して、蝸牛(かぎゅう)と呼ばれる場所に伝わります。蝸牛は振動を電気信号に変え、脳に伝える役目を果たしています。
 
 これが、音が聞こえるメカニズムです。

Q.イヤホン難聴は、どのような仕組みでなってしまう?
「ヘッドホンやイヤホンをすることにより、長い間強い振動を受ける。蝸牛にある有毛細胞が壊れるので、聞こえが悪くなる病気です」(服部院長)

 イヤホンから聞こえる音は、普通に耳から入ってくる音より大きい。つまり振動が大きいんです。

 大きな振動が耳の奥の蝸牛に送られ続けることで、蝸牛の中の細胞が壊れてしまう、これにより聞こえづらくなるのが「イヤホン難聴」だといいます。
 

「イヤホン難聴」に注意を呼びかける栄セントラル耳鼻科の服部忠夫院長

耳鼻科医「基本的には治らない」
 服部院長によると、イヤホンをつけて85dB以上で何時間も音楽を聞き続ける事が日課になっている人は、イヤホン難聴になりやすいといいます。

「難聴になっていることに気づかなくて、後で検査したら音が聞こえないという人も多い」(服部院長)

Q.気づいていなくて手遅れという可能性も?
「実際にそういうこともあります」(服部院長)

 4000Hzの音が聞こえづらい人は、イヤホン難聴かもしれません。

 服部院長によると、体温計の「終了音」、ピピっという音を聞き逃した経験のある人は、イヤホン難聴を疑った方がいいといいます。

Q.イヤホン難聴になってしまった場合、どうやって治していけばいい?
「基本的には治らない方が多いです」(服部院長) 

 イヤホン難聴、一度聞こえづらくなると、ほとんどの人が治らないといいます。
 

イヤホン難聴を防ぐ対策

イヤホン難聴にならない対策は
Q.ならないためにはどうすればいい?
「ヘッドホンやイヤホンを1時間くらい使ったら、休憩を挟む方がいい」(服部院長)

 対策としては、これらが重要だといいます。

・1時間ごとにイヤホンを外し、10分耳を休める
・音量は80dB以下、スマホで例えると60%以下のボリュームで1週間・40時間まで
・ノイズキャンセリング機能のイヤホンを使う
・イヤホンをつけ、音楽を流したまま寝ない

 さらにイヤホン難聴に関して、服部院長は若ければ若いほど注意してほしいと話します。

「まだ若いうちは神経も未熟ですので、刺激を受けると再生しにくいことがわかっています。若いうちのダメージは減らしたいので、イヤホンはなるべく避けていただきたい」(服部院長)
 

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