「初任給アップ」「勤務地を確約」、就活生の売り手市場に企業も対応

2025年3月4日 07:33
来年3月卒業の大学生らに向けた会社説明会が3月1日から解禁された。引き続き「売り手市場」となる見通しだ。企業側も初任給を引き上げたり採用手法を変更したりするなどして人材確保に向けて動いている。

合同会社説明会(3月1日)

 3月1日2日の土日に名古屋市港区の「ポートメッセなごや」で開かれた合同会社説明会にはのべ約470社が出展。トヨタ自動車や名古屋鉄道、三菱UFJ銀行といったさまざまな業界の企業が自社PRを学生に向けて展開した。主催するマイナビの担当者は「引き続き売り手市場。採用意欲はどの企業も非常に高い。金融に関してはDX人材の需要が高まっている」と見ている。
 
インターンシップは「当たり前」!? 8割超える参加率
 学生側の就職準備活動としてはインターンシップの存在感がこの10年余りで強まっている。マイナビの調査では2013年卒のインターンシップへの参加率は28.4%だったのが、年を追うごとに参加率は高まっていき3年後には58.2%、21年卒の85.3%となってからは毎年80%台を維持していて、「インターンシップを通じて自分の適性や仕事への理解を深めたうえで就職活動に臨んでいる」と分析している。

 さらに今春卒業する25年卒からはインターンシップの位置づけも変わった。国は2023年4月からは「一定の基準を満たしていれば企業が得た学生情報を広報活動や採用選考活動に使用できる」と変更、いわゆる「採用直結型インターンシップ」を公認した。
 
 こうしたことが背景にあるのか、2026年卒の特徴としては「1,2年生の低学年時からキャリア形成に興味をもつ学生が増えている」(マイナビ担当者)という。3月以降にエントリーする予定の企業数も24年卒は12.2社だったのが、26年卒は8.0社と学生が企業を絞り込んでいる印象だ。
 
「新卒カード」をどこに切る?
 それでは学生は貴重な「新卒カード」をどこに切るのか。マイナビの担当者は「去年に続いて『安定志向』が強く、そのうえで福利厚生が充実していたり給与面がよかったりする企業が見られている」と話す。マイナビの調査では 初任給を引き上げる姿勢を見せる企業の割合は25年卒へは47.2%、26年卒では54.1%となった。

 また、企業が用意する初任給と学生の希望がマッチしなくても、学生が魅力的に感じる企業の特徴に「休暇制度」が60.4%と挙がっていて、続いて「希望職種」(47.8%)、「希望勤務地」(46.7%)となった。企業側もこうした学生側の意識をくみ取り、「勤務地を明確にし確約する」、「初期キャリアのイメージをつくりやすくするため職種別の採用を行う」といった採用手法が浸透しつつあるという。

 大学生の就職活動のピークは例年通り今年6月となる見通しだ。
 

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