全日本大学駅伝 中央大は駅伝界を席巻する兄弟ランナーがカギ、名古屋大は頭脳と分析力を駆使
2023年11月2日 17:45
11月5日の日曜日に開催される全日本大学駅伝。今大会注目、地元愛知出身の兄弟ランナー。さらに、東海地区代表の名古屋大学に密着。合宿中に選手たちがいた場所とは?
全日本大学駅伝の注目選手たち
熱田神宮から伊勢神宮までの106.8kmを駆け抜ける全日本大学駅伝。
全国の猛者たちがしのぎを削る、真の日本一決定戦が日曜日にスタート。
昨シーズンの学生三大駅伝3冠、駒澤大学。
今シーズンも、さっそく出雲駅伝で優勝。史上初の2年連続3冠に突き進んでいます。
そんな「令和の常勝軍団」を取材したのが、全日本大学駅伝の応援ナビゲーター・俳優の和田正人さん。
古豪・日本大学のランナーとして、かつて伊勢路を走りました。
「なんで駒澤大学って全日本大学駅伝こんなに強いんですか?誰に聞いても『なんでですかね?』って」(和田正人さん)
長年コーチとして支えてきた藤田敦史新監督が就任
駒澤大には2つの大きな変化が
実は今年、駒澤大学には、2つの大きな変化がありました。
「新監督の就任」。
平成、令和と駒澤大学を常勝軍団に押し上げた名将・大八木弘明監督が退任し、総監督へ。
後任には、大八木監督の教え子で、長年コーチとして支えてきた藤田敦史新監督が就任しました。
「なかなか大八木総監督のようにはいかない。大八木総監督があれだけの実績やカリスマ性があって発する言葉と、まだ私が監督としての経験値がない中で発する言葉は、全然重みが違う」(駒澤大 藤田敦史監督)
Q.3冠を取るためのポイントは?(和田正人さん)
「『3冠 3冠』と言っていると、プレッシャーがチームとしてすごく強くなってしまうので、前年度、駒澤史上最強チームが3冠を達成して『そのチームに対する挑戦を今年のチームでしたら』と提案した」(駒澤大 藤田敦史監督)
駒沢大 4年 鈴木芽吹選手
駒澤大の変化の一つ「絶対的エースの不在」
昨シーズンの最強チームへの挑戦。
エースの鈴木芽吹主将も同じ思いを抱いていました。
「スローガンの中にも『史上最高への挑戦』っていう文を入れた。今年は今年でまた強いチームを作ろうという思いが僕としては強かった」(駒沢大 4年 鈴木芽吹選手)
そして、駒澤大学の変化、もう一つは――
「絶対的エースの不在」。
2022年、7区の区間記録を43秒も更新し、優勝へと導いた大エース・田澤廉選手が卒業。
「去年は田澤という絶対的な大エースがいたので、そこが精神的支柱となって、他の選手たちがのびのびと、自分の役割を果たすことができた」(駒澤大 藤田敦史監督)
駒沢大 4年 鈴木芽吹選手
変化をものともしない、団結力を武器に
大黒柱不在の今年は、新たな強みで戦っています。
「今年は去年以上にみんなで勝とう。大会で走る8人だけじゃなくて、駒澤に所属している以上、戦う上で関係ない選手はいないというのは常に言っている」
「『誰かではなくて全員で』という思いを4年生が持って、キャプテンの鈴木を中心に、少しずつチームが一丸となりつつある」駒澤大 藤田敦史監督)
変化をものともしない、団結力を武器に。今年も全日本制覇を狙います。
「全日本大学駅伝の意気込みを聞かせてください」(和田正人さん)
「今年の目標である3冠を達成するためには、絶対に勝たなきゃいけない。後輩たちに記録をつなげていきたいなと思っています」(駒沢大 4年 鈴木芽吹選手)
愛知県田原市出身の吉居兄弟
大学駅伝界を席巻する、愛知県田原市出身の兄弟ランナー
駒澤大学に待ったをかけるのが、中央大学。
注目の兄弟ランナー、愛知県田原市出身の吉居兄弟を、尾形杏奈アナウンサーが直撃します。
大学駅伝界を席巻する、兄弟ランナー。
2022年の全日本で6区の区間新記録を樹立した兄の吉居大和選手と、2022年、1年生ながら伊勢路デビュー、9月には5000mで今シーズン日本人学生トップのタイムをマークした弟の吉居駿恭選手。
2人は愛知県田原市の出身です。
Q.地元・愛知を走る、全日本大学駅伝のイメージは?(尾形アナ)
「地元の友達も去年、応援に来てくれましたし、見てくれる人が多い駅伝なので、しっかり活躍しているところを見せたい」(中央大 4年 兄・吉居大和選手)
「おばあちゃんが四日市に住んでいるので、四日市から応援に来てくれると思う」(中央大 2年 弟・吉居駿恭選手)
応援してくれる吉居兄弟のおばあちゃんの手作り筆箱
全日本の頂へ 吉居兄弟の走りが中央大のカギを握る
応援してくれるおばあちゃんの、手作りの筆箱を、今も大切に使う心優しい2人。
未だ手にしていない全日本の頂へ吉居兄弟の走りが中央大学のカギを握ります。
「優勝を狙えるチャンスがあるので、しっかりと流れを作れるようないい走りをしたい」(中央大 2年 弟・吉居駿恭選手)
「2人で走る最後の全日本。今年は何としても優勝を求めてやってきたので、チームの目標は優勝。個人は区間新記録を目標にして走りたい」(中央大 4年 兄・吉居大和選手)
名古屋大学は11年ぶりの本戦出場
名古屋大が見事逆転
「これが大腸菌です。より多く培養したいので、遠沈管に大腸菌を移していく作業をします」(名古屋大 4年 河崎憲祐選手)
何やら難しい研究をしている名古屋大学主将の河崎憲祐選手。エネルギーや環境問題を学ぶ4年生です。
6月に行われた東海地区選考会。名大は2位でエースが集う最終組へ。
ここで活躍したのが河崎選手でした。主将が全体の2位でゴール。
名大が見事逆転し、11年ぶりの本戦出場を決めました。
合宿をしながらアルバイトをしている名古屋大学の選手たち
「練習もできてバイトもできる環境がとても魅力」
東海地区たった1枠を勝ち取ったウラには、名大ならではの強みがありました。
9月、岐阜県下呂市。
標高約1700mの高地合宿で心肺機能を高める選手たち。
練習する合間に、彼らがいたのは、なんと宿舎の厨房。
「毎食小鉢が二つ出るので、小鉢の準備はいつもやっている」(名古屋大 M2年 森川陽之選手)
実は、合宿をしながらアルバイトをしているんです。
「練習もできてバイトもできる環境がとても魅力なので」(名古屋大 4年 河崎憲祐選手)
さらに、スキマ時間で自習をする選手も。
「勉強をする時間と陸上をする時間は、一緒の時間にやるわけではなくて、別々の時間でやっているので、メリハリ、スイッチの切り替えはうまくやっていると思います」(名古屋大 4年 河崎憲祐選手)
1つのことに集中し、効率よく時間を使う、これが名大のスタイルです。
強みは分析力を生かした戦略
強みは分析力を生かした戦略
10月、全日本大学駅伝に向けた作戦会議。
ターゲットは、関東以外の大学。
他大学の情報をもとに、持ち前の頭脳と分析力を駆使し、戦略を練っていきます。
「1区で置いていかれたらいけない、そうなると1区に河崎主将とかを置く必要がある。長い距離に強い人を置くよりは、戦略の幅が広がる」(名古屋大 3年 中川大輔選手)
この地方で唯一出場する名古屋大学。
全国屈指の頭脳派集団が11年ぶりに伊勢路を駆け抜けます。
「チームとしては地方勢トップ。どんな形で襷をもらっても、前を追ったり、差を引き離す走りをしたいなと思っています」(名古屋大 4年 河崎憲祐選手)
※名古屋大の河崎憲祐選手の「崎」は正しくはたつざきです。
(11月2日 15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ!+』じもスポ!コーナーより)