「否定されないことで助かった」オーバードーズ経験者が語る苦悩と後悔 抜け出すために必要なこととは?
2024年11月21日 16:57
若者の間で増えている、市販薬の過剰摂取、いわゆる「オーバードーズ」で苦しんだ若者が、名古屋市内の大学でその経験を語りました。
「風邪薬などをもって、ちょくちょく飲んでいた。それがどんどん『これいいじゃん』とエスカレートしていって、結果的に逮捕された」(オーバードーズを経験した女性・22歳)
こう話すのは、市販薬の過剰摂取や、違法薬物の売買に手を染め、逮捕された経験のある22歳の女性です。
女性は、17歳の時に家族内のトラブルの悩みなどから、オーバードーズを繰り返すようになったといいます。
「これめっちゃいいじゃん。現実忘れられる、現状に起きていること。家に帰ったら成績が悪いと言われるけど、ここで薬をやっておけばそれに向き合わなくていい。先生のことも忘れられる。自分が全然使えない人間だって忘れられる。『これが一番早いじゃん』となってしまう」(女性)
オーバードーズを経験した女性(22)
オーバードーズは全国で社会問題に
オーバードーズはいま、市販薬を過剰摂取することで多幸感を得られると若者の間で広まり、全国で社会問題になっています。
「死ぬのが怖くて、死にたくないからオーバードーズをしている。オーバードーズをしているタイミングは、まだ救いようがある」(女性)
女性は、逮捕され少年院に入所したことをきっかけに、両親と話し合いを重ね、更生への道を歩めたと話します。
「『ダメ絶対』と言っている大人が一番嫌いだった。やはり否定しないこと、薬やお酒もそう。依存している人に『やめろ』や『それは良くないことだ』『社会的にダメだぞ』と言うと反対の方にダメになる。また否定されたと。私は否定されないことで助かった」(女性)
学生たちにオーバードーズを知ってもらいたいと開催
学生たちにオーバードーズを知ってもらいたいと開催
今回の講義は椙山女学園大学が、愛知県の千種警察署と啓発動画を共同制作したことがきっかけで、もっと学生たちにオーバードーズを知ってもらいたいと開催されました。
若者の間で広がっているというオーバードーズ、この講演を聞いて、まさにその世代の学生たちは何を感じるのでしょうか。
Q.オーバードーズの話を聞いて感じたことは
「講演会で話を聞く機会がなかったので、すごくためになった。知らないことを知れた。逮捕に至ったなどスケールが大きかったので、軽視していたが、周りにいたら気にかけてあげるべきだと思った」(2年生)
「ちゃんと感情をコントロールしないと、あすは我が身ではないが、他人事ではないと思った」(4年生)
「人とつながることがとても大切だと思ったので、友達や家族に恥ずかしくても気持ちを伝える。少しでも、一言でもいいから自分から発する言葉が必要だと感じた」(4年生)
オーバードーズをする若者
名古屋の現状は?
名古屋でも「ドン横キッズ」などの間で、社会問題となったオーバードーズ。
現状はどうなっているのか。
Q.最後にオーバードーズをしたのはいつ
「最後にやったのはめっちゃ最近かも、2週間前とか。本当にメンタルがやばい時は、毎日のペースで飲んだりとか」(オーバードーズをする若者)
14歳からオーバードーズを始めたと話す少女たち。
辛いことがあると現実逃避するために薬に頼ってしまうと言いますが、後ろめたさも感じています。
「その時はなんでもいいやとなってしまうので、時間が経ったらやってしまったなという感じで、後悔ですね、毎回。変わろうとは思っている」(若者)
Q.やめようと思ってもやめられない
「そんな感じではある、結局それにすがりついちゃう」(若者)
約60人に1人の割合で「市販薬の乱用経験がある」と回答
市販薬の乱用経験がある高校生は約60人に1人
名古屋市消防局によると、今年10月末までのオーバードーズによる救急搬送は503件。
去年の同じ時期と比べ、52件増加しています。
また国立精神・神経医療研究センターの調査によると、市販薬の乱用経験があると答えた高校生は、全体の約1.5%で、約60人に1人という割合であることも分かっています。
オーバードーズ経験者は「自分を大切にしてほしい」と語る
若者に訴えたいこと
昭和区の日赤名古屋第二病院の竹内浩医師は、オーバードーズは最悪の場合、死に至る危険性があると訴えます。
「まとめてたくさん飲むと吐いてしまったり、おなかが痛くなるだけでなく、膵臓や肝臓がやられてしまって、体がもとに戻らなくなってしまう。場合によっては、死に至ることがある薬だと私たちは心配している」(日赤名古屋第二病院 竹内浩医師)
オーバードーズに苦しんだ女性は、若者に自分を大切にしてほしいと話します。
Q.若い人たちに訴えたいことは
「自分の思っていることを大切にする。自分の居心地を大切にする。期待に応えられなくて落ち込んでやるって流れが多いと思うので、自分と向き合うことを練習したら、自分の頭で薬物はよくないと理解できると思うので、必然的に(オーバードーズから)離れていくのかな」(女性)