「海を守りたい」高校生が挑戦! プラスチック肥料を使わないSDGsな"米作り"

2024年1月9日 18:01

愛知県の高校生が行っている"環境にやさしい"米作り。海のごみ「マイクロプラスチック」を出さないための取り組みとは――

名古屋の高校生が環境にやさしいお米作りに挑戦

 去年6月、名古屋市港区の田んぼにやってきたのは、愛知県立南陽高校の生徒たち。

 実は、こちらの田んぼで植えているのは、生徒たちが作る米なんです。

 南陽高校総合学科では、「農業と生活」という授業で米づくりを行っています。

 生徒たちが作る米には、ある"特徴"があります。

「本校は硫黄コーティングされた肥料をつかっているんですが、これを使うことによってマイクロプラスチックが出ないというところです」(愛知県立 南陽高校 加藤真由美 教師)

 作物の生育に合わせて、少しずつ中の肥料が溶け出すよう肥料をプラスチックでコーティングした「徐放性肥料」。

 撒く回数を減らすことができるなど"便利"な一方で、残ったプラスチックの殻が海や川へと流れて、海のごみであるマイクロプラスチックにつながる問題があります。

 

藤前干潟に漂着したマイクロプラスチックの多くが「徐放性肥料の殻」(2021年の調査)

藤前干潟に残るマイクロプラスチック

 南陽高校の近くにあり、たくさんの渡り鳥が飛来することで知られる藤前干潟。

 その藤前干潟で、3年前に名古屋市が南陽高校の生徒たちと行ったマイクロプラスチックの調査では、藤前干潟に残るマイクロプラスチックの多くが徐放性肥料の殻であることがわかっています。

 こうした現状を知った生徒たちは、藤前干潟で、マイクロプラスチックの清掃活動を行うなど環境に意識した活動を行ってきました。

 その一つが、プラスチックを使わない肥料での米作りです。

 田植えから1カ月たったこの日、実際にどれほどプラスチックの量に変化があるのか調べてみるとーー

 プラスチック肥料を使う田んぼの泥には、たくさんのプラスチック肥料の殻が確認できますが、生徒たちの田んぼには、生徒たちが米作りを始める前に使われていたプラスチックの肥料が少し確認できるほどです。

「プラスチックは分解されない。残っているものは3年以上前のもの」(講師)
「プラスチック大変だな、難しいなぁ…」(生徒)

 

生徒たちがパッケージのデザインを考える

『プラスチックフリーマーク』を考案

 生徒たちがつくった米。自ら販売も行うため、授業では、販売の準備も進めます。

 パッケージのデザインも生徒たちが考えます。こだわりは、もちろんーー

「消費者がひと目見て、プラスチックの肥料が使われていないことが伝わるようにした」(生徒)

 プラスチック肥料を使っていないことをアピールするためのマークです。

「環境にやさしい米作りというのは、マークなどでアピールしていかないと伝わらないので、消費者に伝えたいということで、『プラスチックフリーマーク』を考えました」(加藤真由美 先生)

 一体、どんなパッケージができるのでしょうか?

 

南陽高校の生徒たち

初めての米作り、いよいよ稲刈りの日

 10月。いよいよ稲刈りの日。稲を刈って天日干しを行います。

 初めての米作りはどうだったのでしょうか?

「自分の手で収穫までできるのはうれしかった。たくさんの人に手にとってもらえたらうれしいな」(生徒)

 出来たお米の試食会も行いました。古い米などと比べてみるとーー

Q.一番おいしかったのは?
「新米!」(生徒)

 猛暑などの影響で少し小ぶりでしたが、それでも味は、ほかの米と変わらないおいしさだったようです。

 さらに、今回は今までと違う点も。

 東海農政局が行っている地球環境にやさしい生産者の取り組みを、温室効果ガスの削減率に応じて、星の数で分かりやすく表示する事業で、星3つの認証の評価を得ました。

 温室効果ガスを、通常の栽培と比べて20%以上の削減を達成したことが評価されました。

 お米が出来たら、あとは販売。販売前の最後の授業をのぞいてみると、販売に向けた声掛けなどの練習を行っていました。

 

次々とお客さんが…

そして迎えた販売当日

 そして販売当日。イオンモール名古屋茶屋のブースでは、作ったお米を並べる生徒たちの姿が。

 お米は2キロ800円。パッケージには生徒が考えた「プラスチックを使っていない」マークもしっかり入っています。

 ほかにも、防災食として米粉のパンを缶詰に詰めた缶パンや、米粉のホットケーキミックスなどが並びます。

 午前10時、いよいよ販売スタート。

 最初は、緊張が伝わるのか、なかなかお客さんが立ち寄りません。しかし、徐々にお客さんの姿が。

「いろいろがんばっていたので、買ってみようかなと」(購入した人)
「子どもも食べられると聞いて安心・安全という感じがして買った」(購入した人)

 

南陽高校の生徒

環境問題を考え取り組んだ米作り、生徒たちは

 まもなく販売終了の時間。声かけにも力が入ります。

 午後5時販売終了。今回は、280袋が売れました。環境問題を考え、いちから始めたお米作り。

 生徒たちは――

「便利なものにはデメリットがあると考えていて、今回はそういったデメリットをなくそうと考え取り組んだ」(生徒)
「米作り全体は楽しかったが、作っていく段階でこれだけプラスチックが排出されていると思うと『うーん…』という感じになった。田んぼのマイクロプラスチックが海に流れるということを知らなかったので、この機会に知って良かった」(生徒)
「疲れたけど、非常に面白い経験になりました」(生徒)

(1月9日15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ!+』より)

 

これまでに入っているニュース