4月から名古屋市のごみルール変更「“ごみ”から“資源”へ」 非常事態宣言から25年

2024年4月4日 14:01

名古屋市では4月からごみの分別ルールが変わりました。1999年に「ごみ非常事態宣言」が出された名古屋市では「2年間で20%のごみを減らす」という目標が達成されました。非常事態宣言から25年を迎えた名古屋の“ごみ事情”を取材しました。

ごみ非常事態宣言から25年

 4月1日。この日から、名古屋市ではごみの分別のルールが変わりました。「ごみ」を減らし、リサイクルを進めていくためだということですが…

濱田隼メ~テレアナウンサー
「4月からどのように分別のルールが変わるのでしょうか?」

名古屋市環境局 沖亜梨沙さん
「プラスチックのみでできているものについても、プラスチック資源として収集できることになりました」

 今回のルール変更。

 「可燃ごみ」として収集されていたプラスチック製品も「資源」として回収し、リサイクルできるようになりました。

 新しいルールの導入で年間4000トンのごみがリサイクル可能な「資源」に変わると試算されています。

 

4月からのごみ出しの変更点

プラスチック製品は「資源」

 では、どういったものが新たに「資源」に加わるのでしょうか?

濱田アナウンサー
「この歯ブラシは今後?」

名古屋市環境局 沖さん
「プラスチックのみでできているので、資源として収集できるようになります」

 歯ブラシや保存容器のような「プラスチック」のみでできているものは「資源」になります。

 一方で気を付けたいのが、リモコンや電池を使うおもちゃなどは、ネジなどが含まれているため「資源」にはなりません。

 

名古屋市の担当者から話を聞く濱田アナウンサー(左)

なぜ今、分別変更?

濱田アナウンサー
「どうしてこのタイミングで変わることになったんですか?」

名古屋市環境局 沖さん
「以前から市民の方に、同じプラスチックでもかたや『資源』、かたや『可燃ごみ』と分別が異なる点について、わかりにくいという声をいただいていた。名古屋市としてもなるべく資源の循環をということで、今回分別をわかりやすくしたいと考えました」

 おととし施行された「プラスチック資源循環促進法」。

 プラスチック製品の「資源」としての回収・リサイクルを自治体の努力義務として定めました。
 
 すでに愛知県の安城市や豊明市などでも回収が始まっていますが、名古屋市でも資源として回収を始めることになりました。

名古屋環境局 沖さん
「可燃ごみの中には、まだプラスチック資源として出すことができるものが含まれている。この分別区分の変更を機に、資源分別率の向上を図りたいと考えています」

 

プラ製品のリサイクル現場(名古屋・港区)

リサイクルの現場へ向かうと…

 こうして、新たに「資源」として分別されるプラスチック製品たちは、どのようにリサイクルされるのか。濱田アナウンサーが向かったのは、名古屋市港区にある施設です。

濱田アナウンサー
「すごい量ですね。奥を見るとかなり山積みになっているが、何日間でこれぐらいの量になるんですか?」

神鋼環境メンテナンス 田中良征さん
「最初に見た人は驚かれますが、これで1日分の量になります」

濱田アナウンサー
「1日でこんなに出ているのですね」

 市民の出すプラスチック資源は、1日約100トンに上るといいます。

 

汚れのついたプラ製品を手作業で選別

 大量のプラスチックが次に向かうのが…

濱田アナウンサー
「こちらではどんな作業が行われているのですか?」

神鋼環境メンテナンス 田中さん
「こちらでは機械では取り除けない、リサイクルできないものを人の手によって選別しているところになります。例えば、汚れがついているプラスチックは今の技術ではリサイクルできない。そういったものは機械が『汚れている』・『汚れていない』と判断できない。昨今ではリチウムイオン電池を含んだプラスチック製品の混入が増えていて(リチウムイオン電池は)発火のリスク 火災の原因になる。できるだけこのパートで取り除くようにしています」

 選別後、圧縮され固められたプラスチック製品は別の工場へと運ばれ、新たな形に生まれ変わります。

濱田アナウンサー
「田中さんが思う、プラスチックやリサイクルの重要性はどんなことですか」

神鋼環境メンテナンス 田中さん
「プラスチック資源の対象を広げるということで脱炭素社会が求められている今、歓迎すべきことだと理解しています」

 

藤前干潟

ごみ減への取り組みは20年以上前にさかのぼる

 分別などの言葉がまだ浸透していなかった時代。

 ごみは増え続け1990年代には、埋め立て処分場はあと数年で満杯になるといわれていました。

 そこで、市が新たな処分場の候補地としたのが日本有数の渡り鳥の飛来地「藤前干潟」。しかし市民の反対などを受け、1999年に市は計画を中止。

 名古屋市は「ごみ非常事態宣言」を出し、「2年間で20万トンのごみ減量」の目標を掲げました。

 本格的に始まった名古屋市のごみの分別。

 導入当初は混乱もありましたが、市民の協力もあり、名古屋市は2年で目標を達成しました。

 その後も市は全国に先駆けてレジ袋の有料化を行うなど、ごみを減らす取り組みを進めてきました。

 

岐阜県多治見市にある愛岐処分場

ごみ処分場は今…

 ごみ非常事態宣言から25年が経ち、当時限界と言われていた名古屋市の処分場は今どうなっているのでしょうか。

 現在、名古屋市の最終処分場は2カ所が運営されています。

 1つは岐阜県多治見市にある愛岐処分場。もう1つは名古屋市港区の第二処分場です。

濱田アナウンサー
「過去には愛岐処分場が満杯になるといわれていた中で、実際に今の現状はどういったところ?」

名古屋市環境局 岡島勲さん
「愛岐処分場は、現在(埋め立て面積が)91%埋まって残り9%だが、あと30年以上使えることになっています。プラスチック・紙製容器包装の収集開始やビン・カン収集の各区拡大。施策をやっているなかで市民の協力をいただきながら、ごみの資源化率もあがって、その分ごみを燃やす量や埋め立てる量を減らしていくことができた」

 分別が進んだことなどにより、過去に「限界を迎える」といわれていた愛岐処分場はあと30年以上。第2処分場はあと6年は使用できる予定です。
 
 処理場に余裕ができた一方、コストを大幅に減らすのは難しく、ごみや資源の処理費用は今も年間240億円ほどかかっています。

名古屋市環境局 岡島さん
「『ごみがなくなる』ということは、今後もないと思います。埋め立て処分場は、簡単に造れるものではなくて、造るとすると何十億円というお金がかかる。ごみをそもそも出さないことを心掛けて、あとは、ものを再利用するという形でごみにしない、そういうことでごみを減らしていただくことで処分場がまだまだ長く使えることになるので、そのあたりを心掛けていただきたい」

(4月3日15:40~放送 メ~テレ「ドデスカ+」より)

 

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