真昼間のタクシー強盗…被害者が語る「酔客への対応の難しさ」 名古屋市
2024年7月4日 17:00
白昼堂々の犯行をタクシー車内のドライブレコーダーが捉えていました。
6月9日午後1時前、名古屋中村区で客の男がタクシーに乗り込みます。
15分後、目的地の栄に到着。乗務員は後部座席に横たわる男に声をかけます。
「着いた着いた起きて」(乗務員)
ところが、男は一向に起きる気配がありません。
「これ困りましたね。ずっとこんな感じ?」(応援に駆けつけた現場責任者)
タクシー会社の現場責任者も応援に駆けつけ、手をたたいて起こそうとしますがまったく起きません。
粘ること約15分。男はようやく起き上がりました。
乗車料金1850円の支払いを求めると手渡してきたのは430円。
「全然足りない」(乗務員)
当時の様子を再現
男は、現場責任者の顔をこぶしで殴り、制止を振り切って逃走
さらに驚きの行動に出ます。
「全然足りてない。全然足りてない。痛い、痛い、痛い」(応援に駆けつけた現場責任者)
現場責任者が金を支払わず逃げようとする男に立ち塞がると、男は――
「のどを抑える感じで、実力で出ていこうとしたので『待ってください』と。そうこうしているうちに暴力を振るわれて、顔のあたりを殴られた」(応援に駆けつけた現場責任者)
男は揉み合いになった現場責任者の顔を拳で殴り、制止を振り切って逃走したといいます。
現場責任者は左ほほなどに軽いけがをしました。
「取り押さえたり確保したりはできないので、逃げるんだろうなと思いつつ、その後のことを想定しながら対応した。もちろん怒りはあるけど、今は怒りを通り越して、なんでそんなことするのかなと思ってしまう」(応援に駆けつけた現場責任者)
テぺ・ユヌス・エムレ容疑者
「暴行はしていない」と容疑を否認
事件から約3週間後、警察は、トルコ国籍のテぺ・ユヌス・エムレ容疑者(27)をタクシーの料金を支払わず男性を殴ってけがをさせた上、逃げたとして逮捕・送検しました。
調べに対し男は――
「暴行はしていない。捕まりそうになった時、手を上げてしまったかもしれない」と容疑を否認しています。
被害にあったタクシー会社では、乗客と口論になったり、泥酔客への対応が必要になったりした際、現場責任者が応援に駆け付け2人で対応にあたることにしています。
その一方で「トラブルを回避するのは容易ではない」と厳しい現実を語ります。
「自衛でどうにかなる部分を超えることが多い。コミュニケーション不全さえも超えてしまって、最初からどうにもならないようなこともあるので、それに当たるとしんどい」(応援に駆けつけた現場責任者)
エムレ容疑者は当時、酒に酔っていたとみられ、警察は事件の経緯を詳しく調べています。