東海3県で新型コロナ感染が急拡大 手足口病の流行も 新たな変異株の流行を専門家が指摘
2024年7月19日 19:07
多くの学校で夏休みが始まった東海3県でも、新型コロナの感染者が急増しています。要因として専門家が指摘するのが、新たな変異株の流行です。
名古屋・西区の「みわた小児科」では、来院する子どもが急増しているといいます。
「きのう夜から、急に熱が上がったので来ました。保育園で『手足口病とヘルパンギーナが出ています』と言われて」(診察を受けに来た人)
「いま新型コロナの検査をしました。きょうが小学校の終業式だったので、あと1日でした」(診察を受けに来た人)
Q.治ったら何がしたい
「プールに行きたい」(診察を受けに来た人)
いま、2つの感染症が特に流行しているといいます。
名古屋市では、新型コロナと手足口病の患者数が急増
名古屋市内では2つの感染症が流行
「手足口病の流行があって、患者の数が増えていますね。さらに、この1カ月ぐらいですかね、新型コロナの患者さんも徐々に増えてきて、特に今週においては新型コロナの患者さんも増えている印象があります」(みわた小児科 三輪田俊介医師)
名古屋市内では、新型コロナと手足口病の患者数が急増しています。
7月2週目に報告された定点当たりの患者の数は、新型コロナが13.84人、手足口病が10.10人となり、感染が落ち着いていた5月はじめの10倍前後という急増ぶりです。
新型コロナの患者が、3日間で20人を超える
新型コロナの患者が3日間で20人を超える
みわた小児科でも、先週13人だった新型コロナの患者は、今週は18日までの3日間で、20人を超えています。
手足口病の人は、1週間で60人ほど。
この状態が、約1カ月続いているといいます。
「喉を痛がる人が多い印象です。あとは熱や咳とか。1番目立つのは、家族内発症が多いですね。他にも、部活動でクラスターになってしまったという話も、ひとつの学校で聞いています」(三輪田医師)
みわた小児科 三輪田俊介医師
感染者が増える中、注意することは?
感染者が増える中、これから本格的な暑さを迎えます。
注意することを教えてもらいました。
「体というのは水分がとても大切で、水分が足りなく脱水傾向にあると大人でも体の機能が落ちると思います。この数日、とても暑い日が続いています。体力的にもかなり落ちていると思うので、新型コロナウイルスだとか感染症があると、普段なら大丈夫だったり、重症化しない場合でも、熱中症などが絡んで、重症化してしまう懸念はもちろんあるし、実際そういった患者さんもいます」(三輪田医師)
愛知県 大村秀章知事
大村知事は、感染拡大に警戒感を示す
「感染者が、各年代まんべんなく出ているところでありますので、明らかに感染拡大。7月に入って愛知県では、新型コロナ第11波に入ったと言わざるを得ない」(愛知県 大村秀章知事)
19日に、緊急会見した愛知県の大村知事。
新型コロナの感染急拡大に、警戒感を示しました。
定点観測されている、1医療機関あたりの感染者数をみると、14日までの1週間では、愛知が15.62人、岐阜が11.55人、三重が9.04人となっています。
現在、流行している変異株「KP.3」
新型コロナ感染急拡大の背景
新型コロナの感染急拡大の背景にあるのは――
「ここが『KP.3』。現在の流行している変異株になります」(名古屋市衛生研究所 微生物部 柴田伸一郎部長)
感染症の調査・研究などを行う名古屋市衛生研究所の柴田さんは、新たな変異株「KP.3」が原因とみています。
「5月くらいですかね。そのときに、アメリカがKP.3も出始めていて、いずれは日本にもくるだろうなとは思っていました。海外からの旅行者が、円安ということもあり、非常に多いですよね。海外で流行している株が国内に入ってくる可能性は、非常に高くなっているということです」(柴田部長)
6月中旬ごろに初めて「KP.3」を検出
新たな変異株「KP.3」
名古屋市衛生研究所では、6月中旬ごろに初めて「KP.3」を検出しました。
現在は、研究所が調べる検体の約8割から見つかるといいます。
「一般的に言われているのは、直前に流行していた株よりも、KP.3は感染力がちょっと強くなっているだろうと言われています」(柴田部長)
名古屋市衛生研究所 微生物部 柴田伸一郎部長
基本的な感染対策の徹底を
KP.3の感染力が強い理由は、ウイルスが持っている「すり抜ける力」ではないかと話します。
「ウイルスは、自分の子孫を残すような変異を繰り返してきているので、その免疫をすり抜ける能力を獲得しているんだと思います。ワクチンを何回も接種している人が多いですけど、そのワクチンで獲得した免疫も、すり抜ける可能性があると思います」(柴田部長)
旅行や帰省で、人の移動が増えることが見込まれる夏休み。
感染しない・させないために、手洗いなどの基本的な感染対策を、改めて徹底することが求められます。