「移住婚」に応募した29歳女性に密着 「温泉の街」が取り組む人口減少への対策

2024年8月7日 17:44

移住と結婚相手の紹介を同時にサポート。自治体が取り組む「移住婚」に密着しました。

 7月6日、下呂市を訪れた29歳の女性。大阪から来た目的はーー

「移住婚のサービスを岐阜県で登録していて、一度下呂市に伺ってみたいなと思って」

 下呂市と飛騨市、白川村が今年5月に始めた「移住婚」。その名の通り、移住と婚活をセットで支援する取り組みです。

 「これまで移住と結婚は別々に捉えられていましたが、いずれ移住をして、家庭を持ちたいと思っている方には、あらかじめ両方をセットに考えてもらえるいい制度ではないかと思う」(下呂市社会福祉課 春田洋希さん)

 連携する「日本婚活支援協会」のホームページでプロフィールを入力し、移住を希望する自治体を選ぶと、担当者とのオンライン面接などを経てお相手の候補が紹介される仕組みです。

 

移住婚で大阪から下呂市を訪れた女性

自分の将来を見つめ直し、移住婚を選択

 この女性が下呂市を選んだのは、コロナ禍で自分の将来を見つめ直したことがきっかけでした。

「自由に外出ができない中で、市街地に住んでいるが、便利である必要性を感じなくて。そうであれば、私がどこに行っても楽しめる人間なので、地方移住して、豊かに暮らしたいなと。今後子どもを持ちたいとか、家庭を持ちたいというビジョンの中で、移住婚というサービスが自分のビジョンと一致したので応募しました」(大阪から来た29歳)
 下呂市に来るのは、これが初めて。市の担当者らと一緒に地元の酒屋や移住者が集まるカフェなどを巡りました。

「下呂市は、すごく観光の町、温泉の町というイメージがあったが、古くからある酒屋さんのような古いものを残しながら、新しい風を取り込む、いい風土だなと感じています」(大阪から来た29歳)

 

日本婚活支援協会のホームページ

全国で41市町村が「移住婚」で連携

 統計を取り始めた1996年以降、人口が28年連続で減り続け去年初めて3万人を下回った下呂市。
 
 若い世代の流出にも危機感を強め、「移住婚」に力を入れています。

「人口減少は最重要課題なので、単に移住して人が増えるだけでももちろんありがたいが、さらに配偶者やパートナーと一緒になることで、将来的に子どもが生まれるなどして家庭を築いてもらえれば、市としてこれ以上うれしいことはないかなと思います」(下呂市地域振興課 中川篤さん)

「日本婚活支援協会」によりますと、「移住婚」で連携しているのは、京都府や岐阜県などの41市町村。

2020年8月から今年3月までに申し込んだのはおよそ1100人で、このうち、およそ25組で交際が進んでいます。去年は2組が結婚し、移住したということです。

 

下呂市地域振興課 中川篤さん

登録は無料 様々な支援も

 大阪から訪れた女性は下呂市内を観光した後、婚活相手として紹介された男性や、すでに移住した人たちとの交流会に参加しました。
 
「相手の男性は、初めまして同士でも楽しく話しているし、忌憚なくお話しできる方なんだなと思いました。1人の自由時間をもらって、酒屋さんに行ったり、温泉博物館にも行ったんですけど、声掛けが絶対にある気がしていて、街の人からも温かさを直に感じた」(大阪から来た女性)

 移住と婚活をセットで支援する、移住婚の登録料は男女とも無料で、下呂市では実際に移住が決まった後は、家賃の補助など様々な支援を行うとしています。

「下呂市は山もあって川もあって、水もきれいな環境なので、そういった中での暮らしはとても快適だと思います。夫婦生活や子育てというところでも非常にいい環境が整っているので、ぜひそういった暮らしを営んでいただきたいと思います」(中川さん)

 

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