通学路の歩道橋に穴… 雨による腐食が原因か 多くが建設から50年、全国で進む老朽化

2024年8月17日 07:01

愛知県で、小学校の通学路となっている歩道橋に穴があいているのが見つかりました。雨水などで腐食したのが原因とみられます。歩道橋の多くは建設から半世紀が経ち、老朽化対策が全国的な課題になっています。

三角コーンで囲まれた歩道橋の階段

 メ~テレの映像・情報投稿ページ「みんなのスクープ」に7月、「通学路の歩道橋の階段に穴があいており、貫通しています」という投稿が寄せられました。

 現場は、愛知県蟹江町。東名阪自動車道の蟹江インターチェンジに近く、多くの車が通る県道にかかっている歩道橋です。約200メートル東に小学校があります。長さは33メートル、道路から橋桁までの高さは4.7メートル。階段を上ろうとすると、上部が赤い三角コーンで囲われていました。

 

歩道橋にあいた穴(許可を得て撮影しています)

4メートル下に地面が…

 真ん中に置かれた三角コーンの下に横15センチ、縦10センチほどの穴があり、そこから約4メートル下の地面の鉄板が見えます。

 地面から見上げると、穴の周りは塗装がはがれて茶色くさびており、ほかにもさびている所が点々とありました。

 歩道橋を管理する愛知県海部建設事務所によると、住民から蟹江町役場に通報があり、7月中に業者に三角コーンで囲むよう依頼。どう修繕するか調査しているところだといいます。

 

地上から見た歩道橋の穴(赤い色は三角コーン)

雨水が入って腐食か

 愛知県建設局の道路維持課によると、この歩道橋は1979年に完成。鉄板の上に舗装をした構造で、何らかの理由で舗装がはがれ、下の鉄板に雨水が入って腐食し、穴になったのではないかといいます。

 歩道橋は、高度経済成長期の1960年代半ばから70年代にかけて全国で多くつくられました。当時は「交通戦争」といわれるほど交通死亡事故が多く、歩行者と自動車をなるべく分離しようとしたことも背景にあるといいます。

 愛知県が管理する歩道橋は2021年3月時点で419あり、その半数以上が1966年から75年までの10年間で作られました。また、84%にあたる350橋が通学路に指定されています。

 2012年に中央自動車道の笹子トンネル(山梨県)で天井板が崩落して9人が死亡する事故が起きたことをきっかけに、国は全国の自治体に橋やトンネルを5年に1回点検するよう義務付けました。

 

穴が見つかった蟹江町の歩道橋は、建設から45年経っていた

愛知県管理の歩道橋185カ所「早く措置すべき状態」

 愛知県では2014~18年度に1回目、2019~23年度に2回目の総点検をしましたが、2回目の総点検で185カ所が「歩道橋の機能に支障が出る恐れがあり、早く措置すべき状態」とされました。このうち「腐食」は6割にあたる111カ所あり、その42%にあたる47カ所が「雨水の影響」が原因とみられています。

 愛知県道路維持課によると、蟹江町の歩道橋で見つかったような大きな穴があいた事例は、これまで把握したことがないといいます。「重大な事故が起きないように計画的に点検と修繕を進めている」としていますが、今後20年で完成から半世紀以上経つ歩道橋の割合が8割近くになり、修繕費用が大きく増える見通しです。新しい歩道橋に架け替えることは難しく、「国の補助金も活用しながら、今あるものを補修して使い続けるのが基本」です。

 今後、新しい技術を使って修繕のコストを下げようとしているほか、撤去することも選択肢の一つです。少子化で小学校が統廃合された地域の歩道橋を撤去したケースもあります。3年前に419あった愛知県管理の歩道橋は、今年8月現在で414に減っています。

(メ~テレ・山吉健太郎)

 

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