「警戒外」の場所で起きた土砂崩れ 住人の捜索が続く 愛知県蒲郡市 

2024年8月28日 20:08

愛知県蒲郡市で27日夜に起きた住宅を巻き込んだ土砂崩れでは、土砂崩れが起きるまでに、8月の1カ月分の量にもなる大雨が降っていました。ただし当時、蒲郡市には大雨警報や避難指示などはでていませんでした。

 土砂崩れに巻き込まれた自宅から救助され、倒れた家屋のがれきが散乱する上を、ゆっくりとタンカで運ばれる40代の女性。

 救助活動開始から、約12時間が経っていました。

 「土砂崩れで家族5人が生き埋めになった」

 蒲郡市竹谷町大久古で、住宅が巻き込まれる土砂崩れが発生。

 27日の午後10時すぎに、この住宅に住む男女5人が生き埋めになったと通報がありました。

 現場は蒲郡駅から車で10分ほどの場所で、住宅の西側にある山の斜面が崩れ、土砂が住宅を飲み込みました。

 

土砂災害の現場は、蒲郡駅から車で10分ほどの場所

約110人態勢で救助活動を行う

 蒲郡市によりますと住宅は木造2階建てで、生き埋めになったのは70代の男性と女性、40代の女性2人と30代の男性の5人です。

 消防に通報したのは40代の女性で、28日午前0時21分に助け出され病院に運ばれましたが軽傷です。

 現場には自衛隊や名古屋市など県内から消防隊が続々と応援にかけつけ、約110人態勢でショベルカーを使ったり、手作業でのガレキを撤去したりするなどして救助活動を行っています。

 

自衛隊や名古屋市消防など、約110人態勢で救助活動を行う

救助活動を行う隊員の目の前には…

 名古屋市消防局が撮影した動画では、救助活動を行う隊員の目の前に、崩れて押しつぶされた建物が。

 土砂の勢いを物語ります。

 「建物は土砂に押されて、屋根は道まで落ちてしまっている形。壁や梁が救助隊の進入を阻害しているので、チェーンソーなどで切断して除去しながら、順に中に進入していく形をとっています」(蒲郡市消防署 内田喜城副署長)

 

近所に住む人

「土砂崩れがあるなんて、想像もしていなかった」

 午前3時も夜通し続く救助活動。

 時折、強い雨が現場に降ります。

 現場近くに住む人は――

 「結構降りましたよ。何ミリとかいうのはわからないが、大雨は大雨」

 「土砂崩れがあるなんて、想像もしていなかった」

 Q.聞いたことは
 「ないね」

 

土壌雨量

雨の量は?

 蒲郡では、土砂崩れの通報があった27日午後10時半までの48時間の雨量は、170.0ミリ。

 8月の1カ月分(124.5ミリ)を超える大雨となっていました。

 ただ当時、蒲郡市には大雨警報は発表されていません。

 また、降った雨が土壌にどれだけ溜まっているかを数値化した土壌雨量でも蒲郡は警報レベルには達していませんでした。

 

住宅が跡形もなく土砂で押しつぶされる様子(蒲郡市提供)

朝とともに見えてきた全容

 空が明るくなると、住宅の裏側にある山のかなり高い場所から斜面が崩れているのが確認できました。

 蒲郡市が撮影した写真には、住宅が跡形もなく土砂で押しつぶされる様子や山の斜面から根こそぎ流されたのか、高さのある木が住宅にぶつかっている様子が捉えられていました。

 そして通報から12時間たった午前10時15分、新たに40代の女性1人が救助されました。

 女性は病院に搬送され、重傷です。

 さらに――

 午後2時4分には、3人目となる70代の女性が救助されましたが、意識・呼吸はないということです。

 

過去に災害が発生していない場所で、「土砂災害警戒区域」に指定されず

予期せぬ土砂災害

 今回の現場は、過去において災害が発生していない場所だったため、土砂災害警戒区域には指定されておらず、市としても予期していなかったといいます。

 「当然、気象情報というものに注視しながら、対応を想定していましたが、昨夜の時点で避難指示には至らなかった。想定以上の雨量とかいろんな状況があって、今回の土砂災害になってしまったと思いますので。そういった調査というものを、しっかりしながら原因を追究していきたい」(蒲郡市 鈴木寿明市長)

 

蒲郡市は28日午前7時に、大久古地区の14世帯37人に避難指示を出す

 蒲郡市は28日午前7時に、この地区に住む14世帯37人対して避難指示を出しました。

 土砂崩れに巻き込まれた家族5人のうち、いまだ男性2人の安否は分かっておらず、現在も捜索活動が続いています。

 

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