【こどもを守る】身長150cmまではチャイルドシート忘れずに 取り着け時に危険な“緩み”を防ぐコツ
2024年10月11日 18:12
事故から子どもを守るチャイルドシート。子どもの年齢だけでなく、体格に合った使い方をしないと効果を発揮せず、命にかかわる恐れもあります。正しい使い方についてJAFに聞きました。
事故の時に子どもの命を守るチャイルドシート(JAFの実験映像)
事故の衝撃を受けとめ、子どもの命を守るために使用するチャイルドシート。道路交通法で6歳未満の乳幼児の使用が義務化されています。
8月、福岡市で軽乗用車と路線バスが正面衝突する事故が発生。軽乗用車に乗っていた7歳と5歳の姉妹が死亡しました。
2人は後部座席でシートベルトを使用していましたが、チャイルドシートやジュニアシートは使っていませんでした。
シートベルトが腹に食い込んだことで、内臓が損傷したことが死因とされています。
チャイルドシートを使わないと、子どもの首にシートベルトが引っ掛かかる危険も
子どもにはシートベルトが“凶器”になることも
ロードサービスを行うJAF愛知支部は、チャイルドシートなどを使用しないことによって、シートベルトが“凶器”になると指摘します。
「腹に腰のベルトが来てしまっているので、骨も何もないところでグッと力がかかってしまって、最悪の場合、内臓の破裂や、シートベルトの肩ベルトなどが首に引っ掛かってしまう」(JAF愛知支部 古閑航貴さん)
大人が座席でシートベルトをすると、鎖骨周辺と腰骨の周辺にベルトが当たっているのがわかります。
一方、こちらのJAFの実験映像。6歳児に見立てた人形にシートベルトを使うと、鎖骨や腰骨にシートベルトがかからず、時速55キロで車が壁に衝突すると――。
シートベルトが首や腹を強く圧迫していることが分かります。
チャイルドシートを使わないと、致死率が約4.2倍に
チャイルドシートの使用率、5歳になると大幅減
JAFと警察庁が5月に合同で行った調査では、1歳未満の子どものチャイルドシートの使用率は9割を超えるのに対し、5歳児になると6割程度と大幅に減少。
警察庁は、使用しない場合の致死率は約4.2倍になるとしています。
「6歳だと平均身長が116cmぐらいと言われていて、まだ大人用シートベルトを使うにはちょっと小さい。中には首にかかってしまうという危険があるので、JAFとしても150cmを目安にチャイルドシートを使っていただきたい」(古閑さん)
JAFは先月、チャイルドシートの使用の推奨基準を見直し、これまでの140cm未満から150cm未満に引き上げました。
西松屋名古屋茶屋店の岡田智行店長
チャイルドシートへの関心、祖父母にも
福岡市での事故を境に、名古屋市内のベビー用品を取り扱う店舗では、変化が起きているといいます。
「8月末から9月末にかけて、チャイルドシート全体の売り上げは約1.5倍で、背もたれが高いハイバックタイプのジュニアシートは約3倍になっいる」(西松屋 名古屋茶屋店 岡田智行店長)
チャイルドシートなどへの関心が高まり、問い合わせや売り上げが急増。特に児童のいる家庭からの購入が増えたといいます。
さらに、こんな年齢層からも問い合わせがーー。
「最近は祖父母が、孫を月に1~2回乗せる機会があるからと買ってもらうことも増えていて、より意識が高まっているのではないかと思う」(岡田店長)
ベルトが緩んだチャイルドシートから吹き飛ばされた人形(JAFの実験映像)
全体の3割「正しく使用できていない」
子どもを守る意識が高まり、注目を集めているチャイルドシートですが、正しい使い方をしないとその効果が発揮されません。
チャイルドシートのベルトが緩んだ状態で時速40キロで衝突すると、衝撃を吸収しきれず、人形は吹き飛ばされてしまいました。
「適正使用車と不適正使用車での死亡・重症率の違いがあって、約8.2倍上がってしまう危険がある」(JAF愛知支部 古閑さん)
JAFの調査によると、全体の約3割の人が正しく使用できていないといいます。正しく装着するコツはーー。
「クリップでシートベルトを固定して、戻らないようにする。これで楽にシートベルトをバックルに入れることができる」(古閑さん)
JAF愛知支部の古閑航貴さん
チャイルドシートを固定するポイント
取り付けミスで一番危険なのは、チャイルドシートの緩み。しっかりと固定するポイントはーー。
「片足をのせて体重をかける。体重をかけることによって、座席のクッションの沈みをとる。体重をのせたら思い切りシートベルトを引っ張って、より固定していく」(古閑さん)
ゆるみはもちろん、ベルトにねじれなどがないか確認することも重要です。
「事故が起きてしまった場合、正しく固定ができていないので前の運転席や助手席にぶつかってしまって思わぬけがをしたり、最悪死亡の可能性もあったりする。大人がしっかりと子どもを守らないといけないという意識で正しく使っていただきたい」(古閑さん)