クリスマスケーキに欠かせないイチゴに異変 猛暑の影響で不作 卵も高騰でケーキ店に暗い影
2024年11月27日 19:35
クリスマスまで1カ月を切り、ケーキの予約も本格化しています。しかし今、ケーキに欠かせない食材が危機に直面しています。
クリスマスケーキに欠かせない“赤い宝石”イチゴ。そんなイチゴが、ピンチを迎えているというのです。
「この10年くらいの中で初めての現象が起きている。実がならない。花が咲かないということは花芽が出てくるのが遅いということなので遅れることしかない」(観光農園花ひろば 吉川育美 園長)
愛知県南知多町の「観光農園花ひろば」では、1万8000本ほどのイチゴを栽培しています。
例年12月ごろには収穫の時期を迎えますが、今年は赤くなったイチゴは数えるほどしか実っていません。
「来月中旬ぐらいからイチゴ狩りをスタートする予定だが、イチゴが1カ月ぐらい遅れている。ケーキ用の出荷も大変盛んで、イチゴをケーキ屋や市場に卸すが、ちょっと今年はないと思う」(吉川園長)
観光農園花ひろば 吉川育美 園長
不作の原因は猛暑
今年はクリスマスケーキ用の出荷を断らざるを得ない状況だといいます。不作の原因となっているのがーー
「夏の暑さが長すぎた」(吉川園長)
そう、今年の猛暑です。イチゴは一般的に花をつけるためには、1日の平均気温が25度を切ることが条件の一つとなっています。しかし、今年は9月下旬になっても最低気温が25度を下回らない日があったといいます。
「仲良くしているイチゴ屋さんからも今年は遅れ気味だと聞いている。今年はクリスマスケーキのイチゴが苦戦すると思う」(吉川園長)
イチゴの不作でケーキ店は…
クリスマスまで残り1カ月。主役とも言えるクリスマスケーキの予約が本格化していますが、イチゴの不作が思わぬ影を落としています。
「今年は暑さの影響でイチゴの苗の成長が遅いので、クリスマスや12月に入ってからも価格に影響があると聞いている」(お菓子屋レニエ チーフパティシエ 根来雄太さん)
名古屋市北区の洋菓子店によると、例年12月は、イチゴの仕入れ値が下がる傾向にありますが、今年は下がらない見通しだといいます。
「ケーキ全体の割合を占める部分がフルーツのイチゴなので、イチゴの原価高騰は利益に大きなダメージを与えているのが現実。そこは痛い部分」(根来さん)
卵の全国平均小売価格
卵や小麦粉、生クリームも高騰
さらに、懸念されているのがケーキ作りに欠かすことのできない卵の高騰です。
卵の全国平均小売価格は去年7月に306円をつけ、その後下落しましたが、再び上昇。11月は264円となっています。
「今年は特に鹿児島から北海道まで全国的に鳥インフルエンザが多いので、価格に影響が出ていると聞いている」(根来さん)
鳥インフルエンザの発生件数は、過去最悪のペースとなっています。
東海地方では、岐阜県本巣市で確認され、約1万5000羽が殺処分されました。
ケーキ作りで必要な小麦粉や生クリーム、カカオの価格も高騰していて、店では今年の春、価格を全体的に1割ほど上げたばかり。
そのため、クリスマスケーキの値上げには慎重にならざるを得ないと話します。
「クリスマスケーキの広告や商品のラインアップは夏頃から動いているので、当店では価格の変更やイチゴの変更などはできないので、ダメージはあるが、クリスマスはこのままの価格で頑張っていきたい」(根来さん)