強制しないナッジ理論 エスカレーターを立ち止まって利用 ポスター掲示で新実験
2024年12月11日 16:41
エスカレーターを立ち止まって利用するように定めた名古屋市の「エスカレーター条例」。さらに立ち止まって利用してもらおうと、新たな“実験”が行われました。
去年、名古屋市で施行された“エスカレーター条例”。
エスカレーターでの事故を防ぎ、安全に利用するため、名古屋でよく見られる「右側を空けて乗る習慣」をやめ左右ともに立ち止まって利用することを義務づけています。
9日、名古屋市はエスカレーターの利用に関する市民アンケートの結果を発表しました。
「エスカレーターは様々な方が利用されまして、中には病気やけがでエスカレーターの右側の手すりにつかまって利用されたいという方もいますので、ぜひ勇気をもって右側に乗っていただきたい」(名古屋市 広沢一郎 市長)
エスカレーターの左側に人が並んでいて、右側が空いているときに、右側に立ち止まって乗ることがあるかという問いに対し、「ある」と答えた人が45.4%で昨年度の調査から13.0ポイント増えました。
「自分も右側で歩いていたという習慣があったので本当に急いでる時はそうしたいんですけど、でも皆が止まっているという状況だと自分もそうしようというふうに思える」(駅の利用客)
「どうしてもあの通勤ラッシュ(の時間は)そこに逆らうようなことができなくて、どうしても前の人にならえで乗ってしまう」(駅の利用客)
エスカレーター入口に貼られているポスター
さらに、右側も立ち止まって利用する人が増えるように、新たな“実験”が―。
「名古屋市営地下鉄・久屋大通駅です。エスカレーターの乗り口には左右止まって利用するよう書いたポスターが貼られています」(記者)
ポスターには「友達と家族と恋人と一緒に2列で乗りたい」と書かれています。
名古屋市が大阪大学経済学部の学生たちと連携して、ポスターを久屋大通駅などの3か所に掲示。
10日と11日、学生たちはポスターを掲示した後で立ち止まって利用する人がどれくらい増えるかを調査しています。
そのほかのポスターには「名古屋の人はエスカレーター、立ち止まって利用しています」「歩いているのは14人に1人だけ」と書かれています。
このポスターのデザインは、強制することなく、人々が小さなきっかけでよりよい選択ができるように促す、“ナッジ理論”に基づいています。
「片側を空ける習慣があるせいで片側に乗るために列が、無駄に発生しているのがよくないなと思って、エスカレーターの乗り方について研究できればなと。(ポスターの効果は感じた?)エスカレーターに立ち止まって、乗ってもらうのにプラスの影響を与えているかなと思う」「初めに立ち止まってくれる人が、1人でも多く増えたらなという思いで、実験している」(大阪大学 経済学部 調査している学生)