“初心者8割”の愛知・滝中学野球部 「考えて楽しむことがモットー」奇跡を起こした進学校の原動力

2025年3月27日 18:30

野球部員24人中19人がなんと初心者。しかも学業と両立する中学校が全国大会に出場しました。奇跡を起こした原動力とは――

中学の軟式野球で「春のセンバツ」と位置付けられる全国大会に出場した滝中学野球部

 愛知県江南市にある県内屈指の進学校、滝中学。

 数学の授業で、何やら難しい方程式を解く生徒たち。

 学業と両立し、競技に打ち込む部活の1つが、男女合わせて24人で活動している野球部。

 実は、部員の8割が中学から野球を始めた初心者なんです。

 そんな野球部が去年、ある奇跡を起こしていました。

 400チーム以上が参加した愛知県大会で強豪のクラブチームがひしめく中、堂々の準優勝。

 中学の軟式野球で「春のセンバツ」と位置付けられる全国大会への出場を決めました。

 これは、中学の部活では愛知で2校目の快挙です。

 「楽しんでやる、考えてやるということを監督就任から10年間ずっと伝え続けてきて、それが伝統になって先輩たちから受け継がれてきたバトンが、大きく羽ばたいたのかなというところで、一番は楽しんでやっている姿というのが、いい方向に向いてくれたと感じています」(滝中 野球部 藤本翔大 監督)

 

滝中は学業との両立のため午後5時半までに下校することがルール

自ら「考えて楽しむこと」がモットー

 滝中では、学業との両立のため午後5時半までに下校することがルール。

 そのため、平日は短い時でわずか35分。長くても1時間半程しか練習することができません。

 「毎日の練習で待っている子がいない、常にみんなが考えて練習して、日々自分の課題に向き合っているという姿が、ずっと滝中野球部でやってきたところ」(藤本監督)

 限られた練習時間で、自ら「考えて」「楽しむ」ことがモットーの滝中野球部。

 

滝中野球部 2年 多田路代選手

中学から野球を始めた女子部員

 レギュラーで試合に出ている女子部員がいます。

 2年生の多田路代選手。中学から野球を始めた1人です。

 「もともと野球に興味があって、プロ野球などを見ていて、女子も野球部に入れると聞いて、新しく自分のやりたいことがやれたらいいなと思って、中学野球部に入りました」(滝中野球部 2年 多田路代選手)

 父や兄の影響で幼いころから野球に馴染みはありましたが、詳しいルールも知らなかったという多田選手。

 チームメートの動きを見たり、時にはアドバイスをもらったり「うまくなりたい」という思いがモチベーションとなりここまで続けてきました。

 「1年の始めたてのころよりは全然成長したし、チームメートと一つの試合に対して、声を掛けあったり全力で取り組むことが、自分の中でやりがいがあって楽しいです」(多田選手)

 

滝中野球部 2年 門田帆夏選手

「心の支え、友達、ライバル」

 そんな彼女には、支えとなっている特別な存在がいます。

 「門田がいなかったら自分は野球部に入っていないし、続けられていないので、心の支え、友達、ライバルです」(多田選手)

 もう一人の女子部員、2年生の門田帆夏選手。

 同じ初心者として入部して以来、共に切磋琢磨してきました。
 
 「多田選手の存在は、続けるモチベーション・目標。多田の方がうまいので目標になっています」(滝中野球部 2年 門田帆夏選手)

 この日2人が訪れたのは、家の近所にあるバッティングセンター。

 部活動での練習時間が限られているため隙間を見ては、一緒に自主練習に来ています。

 初めて立つ全国の大舞台。目標は――

 「今までやってきたことを精いっぱいやって、バッティングで活躍出来たらと思います」(多田さん)

 

初戦の相手は全国準優勝の経験もある広島代表のクラブチーム

スタメン9人中4人が初心者で臨んだ全国大会

 先週土曜日。初戦の相手は、全国準優勝の経験もある広島代表のクラブチームです。

 スタメン9人中4人が初心者で臨んだ滝中。

 2点を追う1回。1点を返しなおも満塁のチャンスで中学から野球を始めた後藤睦智選手。

 走者一掃のタイムリースリーベースで逆転に成功。後藤選手もベンチも笑顔が弾けます。

 1点差に詰め寄られた4回。

 先頭バッターの多田選手は、ベンチで試合を見守る門田選手に送り出され打席に入ります。

 持ち前の集中力でボールを見極めていくと、フォアボールを選び出塁します。

 代走が送られ、交代となりますが、そのランナーが帰り5対3。多田選手を起点に追加点を奪います。

 しかし、その後逆転され迎えた最終回。

 全国大会初勝利は夏に、お預けとなりました。

 

門田帆夏選手

「もっと自分を磨き上げていきたい」

 「この子たちは初心者から野球を始めて、強豪チームにここまでやれたということは、本当に胸を張って愛知県に、戻ってほしいという思いは強いです。この悔しい思いを胸にまた夏、全国大会という目標を掲げて、もう一度出場できるように頑張ってやっていきたいと思います」(藤本監督)

 「まずは楽しかった。試合に出られたことがうれしくて、とても充実した試合でした」(多田選手)
 「全国大会というだけでみんな張り切っていて、途中勝っているときもあって、めちゃくちゃ楽しかったです」(門田選手)
 「夏に向けて、後悔したくないので、もっと自分を磨き上げていきたいです」(多田選手)

 (3月27日放送 メ~テレ『ドデスカ+』「じもスポ!」コーナーより)

 

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