1型糖尿病の子ども“いちがたっこ”の声「お菓子は命をつなぐお薬」 支援活動「ラムネスタンド」への思い

2024年8月1日 13:01
1型糖尿病の子どもは「いちがたっこ」と呼ばれています。予防する方法はなく、昨日まで元気だった子どもを突然襲う病気です。社会の理解が乏しい1型糖尿病と付き合いながら生きる子どもと家族が、ラムネスタンドで支援を呼びかけます。

1型糖尿病の子どもがインスリン注射を打つ様子

「いちがたっこ」を知っていますか?
 「糖尿病」と聞いて「甘いものを食べすぎ」「運動不足」と思われるかもしれませんが、1型糖尿病は生活習慣が原因ではありません。治す方法は、膵島(膵臓の中にある組織)移植以外ないのです。1型糖尿病は、全国で10万人いると言われてれています。

 名古屋市名東区の小学1年生、平地樹実ちゃん(6)は「いちがたっこ」です。

 1型糖尿病は、血糖値のコントロールが上手くできません。

 高血糖のときはインスリン注射を打って血糖値を下げます。高血糖の状態が長年にわたって続くと失明や腎不全につながる恐れがあるからです。樹実ちゃんは、1日約6回、腕と太ももにインスリン注射を打っています。

 低血糖のときは、ブドウ糖など糖分を補給して血糖値を上げます。低血糖は手の震えや集中力の低下などがみられ、重度の場合は死亡する可能性もあります。

 昼夜問わず血糖値が上がったり、下がったり…血糖の数値を気にしながら、日常生活を送らなければなりません。

 1日を生きることが精一杯なのに、樹実ちゃんも「美味しいものを食べすぎたのでは?」と言われたことがあります。
 

1型糖尿病患者の交流会(名古屋・緑区 6月) 前列の真ん中が樹実ちゃん

幼稚園を退園せざるを得ない状況に
 樹実ちゃんは、幼稚園に通っていた4歳のとき、1型糖尿病を発症しました。

 3週間の入院を経て、幼稚園に戻ってから生活は一変。血糖値を知るための血糖測定器は、壊れる可能性があるため持ち込み禁止、糖分の補給は「特別扱いになるためお菓子を食べてはいけない」と告げられました。

 生きるために必要なことにも関わらず、認められない現実。樹実ちゃんは、発症した翌月に幼稚園を退園しました。
 

ラムネスタンド(日本体育大学世田谷キャンパス 6月)左から3番目が生野優季さん

樹実ちゃんと母親が「ラムネスタンド」に挑戦 1型糖尿病に理解を
 樹実ちゃんの母・三津子さん(42)は、1型糖尿病の患者会「Type1Dreams」に所属していて、代表の生野優季さんの誘いで、ラムネスタンドを初めて開催することにしました。

 ラムネスタンドは、小児がん支援の「レモネードスタンド」に感銘を受けた生野さんが発案し、団体として東京や名古屋で4回開催してきました。

 1型糖尿病のイメージカラーの青色で、ブドウ糖が含まれているため、ラムネを思いついたということです。

 樹実ちゃんは「ラムネやお菓子は命をつなぐお薬です。人目を気にせず補食(=糖分の補給)ができたらいいな」と話していました。ラムネは300本を用意、1本300円で販売します。

 
 

左:母親の平地三津子さん 右:1型糖尿病の平地樹実ちゃん(6)

ラムネ購入で1型糖尿病へ支援を
 販売するラムネにも工夫が…。ラムネに貼られたシールのQRコードを読み込むと、ラムネスタンドへの思いや経緯などがわかるブログにアクセスできる仕組みです。

 売上金の一部は、1型糖尿病の治療・研究費として、支援団体「日本IDDMネットワーク」に寄付する予定です。

 ラムネスタンドは、8月3日(土)に開催される、名古屋市内の小学校の夏祭りにて、午後5時半から午後8時まで販売予定です。

(メ~テレ教育・医療担当記者 小澄珠里)
 

これまでに入っているニュース

もっと見る

これまでのニュースを配信中