子ども服・省エネ家電・新婚旅行も“ブラックフライデー”開幕 今年の消費トレンドは

2024年11月23日 01:36
22日から百貨店などで始まった『ブラックフライデー』と呼ばれるセール。日本に上陸して10年ほどです。 イオンモールの各テナントには、この機を逃すまいと多くの人が詰めかけました。 セール開始にあわせて休みをとった女性。 買い物客 「去年、休みで来たときに、かなり安くなってたので、今年もと思って。子ども2人いるので、それぞれサイズあわせて。めちゃくちゃ買いました」 総務省が発表した10月の消費者物価指数は、去年の同じ月より2.3%上昇。38カ月連続での物価上昇となりました。 物価高が長引くなか、今年、初参戦を決めたのが、百貨店大手の『そごう・西武』です。年末商戦の起爆剤として、去年の同じ月より、売り上げを10%増を目指しています。 家電量販店も、セールは大展開です。この時期、季節家電は注目度も高く、例えば、ファンヒーターも普段より3万円ほどおトクに買えるそうです。 ビックカメラ有楽町店・青木唯さん 「性能が良いけど高くて買いづらい、ところもセールを通じて、『安くなっているから買おう』という声を多くいただいている」 今年ならではの理由で来店する人もいます。 エアコンを購入した人 「なるべく省エネモデルの方にした。政府の補助が入っているときは(電気代が)まだ少なかったけど、補助がないと、これだけダイレクトにかかるんだと。そこも含めて購入した」 間もなく出産を迎えるという女性は、買い替えの理由について、こう話します。 エアコンを購入した人 「古いものよりは新しいものの方が、(子どもにとって)空気もいいかなと。ちょうどタイミングかなと思っているところでやっていたので、産む前に買おうかなと」 そもそも『ブラックフライデー』とは、1960年代、アメリカ東部・フィラデルフィアの警察が、毎年11月の感謝祭明けの金曜日は、出動件数が増えて大変な日、つまり『ブラックフライデーだ』とぼやいたことが発端ともいわれています。そのネガティブな意味が後に「企業にとって黒字の日」として売り出され、“セールの日”という認識が浸透しました。日本の市場にも伝わり、“新たな金脈“として成長していきました。 ブラックフライデーといえば、毎年、ネットショッピングでも大展開されますが、総務省の調べでは、11月は、1年で2番目にネットで物が買われる月なんだそうです。 小売、家電と来れば、旅行も。特に今年は、円安で旅費も高騰しました。 旅行代理店大手のHISが手掛ける人気観光地のツアー。ハワイや、韓国・ソウルなど、ありえない価格が並びます。 新婚旅行の相談に来た2人。国内を中心に考えていましたが、“選択肢の急拡大”に驚きを隠せません。 新婚旅行先を相談に来た人 「円安になっているので、海外に行くのは、結構、難しいと。このブラックフライデーの情報を聞いて、揺らいじゃっていて。すぐにでも決めたいと思います」 HISトラベルワンダーランド新宿・藤田彰副所長 「年末に『初夢フェア』をやっているんですけど、その前の、このタイミングが“買い控え”がおこる。ブラックフライデーというセールを行うことによって、買い控えを防ぐ目的もあります」 問い合わせも多く、同時期のセールに比べ、オンライン上での予約は3.8倍に上っています。 1時間悩んだ2人が選んだのは…。 新婚旅行先を相談に来た人 「ハワイ5日間のツアーに決めさせていただきました。(オプションで)朝、ダイヤモンドヘッドから日の出が見られるツアーを安くなった金額分で申し込めて、なおかつまだ安くなってるぐらい」 相次ぐ、商戦の前倒しの背景には、こんな事情もあります。8月、9月は夏休みにレジャー、10月はハロウィン、12月はクリスマスなどの商戦があるなか、空白になっていた11月。広がったのは、ここにもワケがありそうです。 今年は、気候の影響で、11月の商戦に変化が出つつある場所があります。 伊勢丹新宿店の年末商戦の主力、お歳暮やおせちの販売は、例年、11月のうちにピークを迎えていました。コートなど、冬物を選びに来た人が合わせて買っていくことが、多かったからです。しかし、今年は、暖かい日が長く続いたため、11月の売れ行きが鈍りました。 三越伊勢丹ギフトデザイン営業部・古口晃久マネージャー 「本年は“後倒し傾向”。12月頭の土日がピークになると考えている。(Q.11月は百貨店にとってどういう時期)12月の一番の忙しい時期に向けて、ホップステップの時期。年末に向けて、しっかりと用意して、お待ち申し上げています」 ◆今年の“消費トレンド”はどうなるのでしょうか。エコノミストの崔真淑さんに聞きました。 崔さんは「今年は“生活必需品をより安く購入したい”というのが消費のトレンドで、特に食料品の値段が上がってきている」といいます。 例えば、米。 今年の夏ごろから全国で不足したが、前の年の同じ月と比べても、米類は約60%上昇しているなど、現在の状況はよくありません。 『ブラックフライデーで何を買いたいか』という調査でも、7割以上が「米・肉・酒など」という回答をしていて、企業も、それに合わせた商戦を展開しています。 旅行代理店の中には、年末を前にしたこの時期に仕掛けているところもあります。 崔さんは「円安の影響で、海外旅行のコストは、約75%も上昇している。となると“食品を安くまとめて買いたい”“家でゆっくり寝正月かな” という傾向が見えてくる」といいます。 来年はどうなるのでしょうか。 崔さんは「トランプ政権の誕生による景気・経済への影響」を指摘しています。「アメリカ国内では、大規模な減税策などで、インフレが進むと予想される。そうなれば、物価を抑えるために金利を上げるので、日本との金利差は拡大する。そうすると、さらに円安が進んで、輸入物価も上がる。特に食料品を中心に、広範囲に値上がりすることになり、消費者にとっては、マイナスの影響が大きい。一方で、アメリカと中国が、関税問題などで対立すると、中国への投資リスクが高まる。中国への投資を避け、日本に投資する人が増えれば、株価や不動産価格の上昇など、日本経済にプラスの面も。ただ、恩恵を受けるのは、投資家や一部の企業で、賃金の上昇など、庶民が生活の中で実感出来るのは、かなり先になるのでは」と話します。

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