「既成政党否定する世界的潮流の一環か、もしくは…」“石丸旋風”の国政への衝撃
2024年07月09日 00:33
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7日に投開票された東京都知事選。165万票あまりを獲得して2位となったのが、石丸伸二氏でした。蓮舫氏を37万票以上引き離しました。
無党派層の36%が石丸氏を支持。小池百合子氏を上回りました。年代別では、10代から30代までの若い世代が、小池氏よりも石丸氏に1票を投じたのです。
石丸氏を支持した人が口をそろえて言うこと。
18歳
「裏表のない感じがいいなと思ってたので、そういう政治をやってくれるのかなと」
40代
「新しい政治家。これからの政治家が『石丸以前』と『石丸以降』に変わると思うので期待」
既存政党への疲れ、新しい政治を期待する人たちの受け皿になったのが石丸氏でした。
全国各地から応援する人が、駆け付けるのも石丸氏の特徴です。
仙台から応援に来た人(4日)
「現地で熱気を感じたかった」
仙台から応援に来た人(4日)
「(仕事が)土木建築系なので、自民党というのが実際。保守なので、ただ、何も変わらない」
これだけのムーブメントがつくられたきっかけは、広島・安芸高田市長時代に既存の議会を一喝する動画でした。
安芸高田市・石丸伸二市長(当時)
「居眠りをする、一般質問をしない、説明責任を果たさない。恥を知れ、恥を」
石丸氏は、選挙戦ではSNSでの知名度をフル活用。
石丸伸二氏(先月30日)
「皆さんのスマホ、その中に入っているLINE、お友だち、上から順番に、好きな石丸伸二の動画を送りつけてください」
2週間で200回以上の街頭演説をこなし、SNSとリアルの両輪で選挙戦を展開しました。
選挙の中盤。実際に演説会場を行ってみると、20人ほどのボランティアの姿がありました。全国から5000人以上がSNSでの呼びかけなどにより集まったそうです。若い人たちの姿もありました。
大学生(18)
「1回、演説を見に行って、すごい興味を持って、その場にいた方に話しかけて、ボランティアに参加させていただいた」
茨城県の大学生(20)
「石丸さんは、東京一極集中を是正することを進めているので、地方の私たちにとってもメリットがあるかなと思った」
さらに報道陣にまざり、動画を撮影するメンバーも。見ず知らずの10人ほどが集まった石丸氏専属の“SNS部隊”です。
撮影担当のボランティア
「自然発生で、みんなボランティアで撮影している」
石丸氏の演説の動画やスケジュール、政策内容などを手分けしてSNSに上げていきます。作業が終わるのが、毎日、深夜から朝にかけてです。
編集担当のボランティア
「石丸さんがYouTube戦略をとっているということで、要にもなってくるので、迅速かつクオリティー高くを目指して、我々もやっている」
石丸氏は7日、選挙を振り返り、こう自信をのぞかせました。
石丸伸二氏(7日)
「(Q.国政にもという思いは)選択肢としては、当然、考えます。例えば、広島1区。岸田首相の選挙区です」
自民党への逆風を背に立憲・共産などとの共闘で臨んだ蓮舫氏。遠巻きに見つめる有権者が口にしたのは、野党のあり方への不満でした。
50代・会社員
「反自民・反なになにじゃなくて、自分が何をしたいかということを明確に出してほしい」
50代・女性
「結局、若い人とか子育てとか、今のはやりではないか。はやりに乗って、票をとりにきてるのかなと」
野党の象徴ともいえる蓮舫氏の惨敗。党内は、穏やかではありません。
立憲民主党幹部
「まさかここまで開くとは…。次の選挙に向けて、無党派層をどう取り込むか、解がない」
一方の与党。
知事選と同時に東京都議会の補欠選挙が行われました。自民党は、9選挙区のうち8つで候補を擁立。結果は、選挙前の5議席を下回る、わずか2勝。自民党への逆風も吹き止んでいません。
自民党都連関係者
「都議補選で、2勝じゃ敗北としか言いようがない。岸田退陣論の高まりは不可避だ」
◆現職の小池知事が3選を果たした今回の都知事選。国政には、どういった影響を与えるのでしょうか。
政治部官邸キャップ・千々岩森生記者に聞きます。
改めて、都知事選の結果を見ていきます。
現職の小池知事が、300万票近く獲得。2位以下と100万票以上の差をつけ、圧勝した形です。
一方で、立憲・共産が支援した蓮舫氏は伸び悩みました。躍進したのが、石丸伸二氏です。3位の蓮舫氏と、40万票近い差をつけました。出口調査・支持政党別の投票先を見ても、無党派層では、小池氏より多い36%。また、年代別で見ても、10代~30代といった最も多く若年層の票を集め、20代以下の支持は4割を超えています。
Q.“石丸旋風”とも言われていますが、一夜明けて、永田町は、各党、どのように受け止めていますか。
千々岩森生記者
8日の永田町の雰囲気、一言で言うと“どんより”です。どんよりしていました。与野党問わず、みんな浮かない顔でした。まず、最大のダメージを受けた立憲民主党。幹部から「2位との差が開いてショックだ」「これまで追い風だったが、今回の負けでマイナスだ」という声がずっと上がっていました。蓮舫さんが取ったのは、ほぼ基礎票だけ。石丸さんが取った浮動票・不満票こそ取るべきなのに、それが取れなかった。全部、石丸さんに流れた。これが立憲から見るとすべてです。一方の自民党も、都議会議員の補欠選挙がありましたが、『2勝6敗』と惨敗と言っていいと思います。逆風は吹き荒れたままです。「このままでは次の衆院選が怖い」という声を、この半年、ずっと聞いてきましたが、この声は8日もよく聞こえてきました。
Q.この現象は、続いていくとみていいのでしょうか。
千々岩森生記者
見方が2つあります。都知事選では、浮動票というのは、必ず誰かが取ってきました。今回は、それが石丸さんだっただけの話で、これまでの延長という見方と、いやいやこれは“地殻変動”だと。前者からいくと、これまで小池さんは、3回、選挙をやってきましたが、常に300万票前後、獲得し続けてきました。残りの300万票を、ほかの候補者たちが分け合ってきた構図でした。今回も、石丸さんと蓮舫さんを足せば、小池さんの票とほぼ同じですから、あくまで今までのその延長で、登場人物が変わっただけと見ることもできます。もう一つの見方は、本当に地殻変動が起きたと。既成政党が否定された世界的な潮流の一環ではないかと。例えば、トランプ大統領が登場したとき『反ワシントン』『反エスタブリッシュメント』、要は『ワシントンをぶっ壊せ』で勝ちました。今回の石丸さんの票は、日本でいえば『反永田町』的な色彩なのか。だとすれば、何かが瓦解する兆候なのかどうか。どちらが真実なのか、もう少し見ていく必要があると思います。
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