飛騨地方のお土産の定番「さるぼぼ」が品薄のピンチ 職人不足を補うカギは「子育て世代」

2024年7月18日 11:35
岐阜県の飛騨地方のお土産として人気の「さるぼぼ」。夏休みを直前にした今、品薄のピンチに陥っているといいます。そのワケとは――
 「JR高山駅」前の土産物店。

 店内には、大小さまざまな、色とりどりの「さるぼぼ」が並んでいます。

 飛騨地方のお土産の定番「さるぼぼ」。

 お菓子やお酒のパッケージなどにも、デザインされています。

 こんなところにも――

 「日本大好き。素晴らしいよ」(オーストラリアから)
 Q.『さるぼぼ』は知っている
 「もちろんさ、調べたよ」(オーストラリアから)

 「さるぼぼ」は、飛騨の言葉で「さるの赤ちゃん」という意味で赤い顔が、さるの赤ちゃんに似ていることから、そう呼ばれるようになりました。

 「必ずというくらい1つは皆、買っていかれます」(土産物店「さくら井や」櫻井敏太郎 店長)

 コロナで大きく減った観光客もすっかり戻り、売れ行きは、好調。ところが――

 「正直言うと売れているが、メーカーに注文すると欲しいだけの数が間に合っていないのが現状です」(櫻井店長)
 

オリジナル 中澤淳 社長

内職の作り手の数が大きく減る
 一体、どいうことなのか?「さるぼぼ」を製造する会社を訪ねました。

 「本当なら向こう側が見えないくらい埋まっていたが、今は見ての通りスカスカになって、中に入っているのも空に近い状態」(オリジナル 中澤淳 社長)

 棚や商品の入ったダンボールは、空いたスペースが目立ちます。

 「コロナの間は内職の作り手に、仕事を振ることができなかった。仕事が止まってしまったところから内職の作り手が離れていってしまった」(中澤社長)

 「さるぼぼ」の製造は、内職で担う場合が多く、コロナ禍で、数百人いた内職での作り手は、大きく減ってしまいました。
  
 観光客が戻ってきた今、作り手不足の窮地に陥っているのです。 
 

さるぼぼ作り40年以上 南絹枝さん

高齢化も課題の1つ
 この道、40年以上の南絹枝さん。

 「首と胴体をくっつける作業。首がぐらぐらにならないように、しっかりつけないといけない。腹当てをつけたり、ちゃんちゃんこをつけたりすれば、誰でもできますね」(さるぼぼ作り40年以上 南絹枝さん)

 内職の中心は60代以上で、高齢化も課題の1つとなっています。

 「若い人が少ない。夜だけでも少しずつやっていければ、お金もたまるし、楽しいと思いますよ」(南さん)

 “メイドイン飛騨”にこだわる「さるぼぼ」。

 「『海外で作ればいい』『機械化すればいい』という話はよくいただくが、地元のマスコットと言われているものが“海外産”となると、買った人もがっかりすると思います」(中澤社長)

 中澤さんは、職人不足を補うカギは、「子育て世代」などにあると考えています。

 「さるぼぼ作りはノルマはない。働きたくても働けない事情のある方には、懐の深い仕事だと思う。自分のライフワークバランスを重視した働き方ができると思っています」(中澤社長)

 今後、こうした働きやすさを幅広い世代にアピールし、新たな人材の確保に努めていきたいとしています。
 

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