福島から愛知へ インスタントハウスで特別授業、小学生が防災を楽しく学ぶ【シリーズ企画みんなで防災】

2024年9月7日 05:01
防災について考える「みんなで防災」シリーズの第3回です。東海地方の南海トラフ地震への対策はどうなっているのか?東日本大震災の被災地、福島県の子どもたちが防災を学びに愛知にやってきました。どんな「気づき」があったんでしょうか。

インスタントハウスの開発者 名古屋工業大学 北川啓介教授とふくしま復興大使の小学6年生の3人

 8月中旬、リュックを背負った子どもたちが愛知県豊田市にやってきました。

 3人は、福島県郡山市の小学6年生。

 5年前の台風被害をきっかけに作った「水害ひなんゲームブック」が高い評価を受け、地元・福島の新聞社の“ふくしま復興大使”に選ばれました。

 夏休みのこの日、豊田市で行われていたのは、防災カードゲーム「LIFE」。

 災害が起きる町に住むプレイヤーが、協力して安全に災害から生き延びるゲームです。

 繰り返す災害で、最終的にライフがゼロになったらゲームオーバーです。

 「自分たちが作った防災ゲームブックで、楽しく防災を学ぶことに観点を置いていた。調べてみたらフダコマ劇場のLIFEというゲームが見つかり遊びたいと思った」(ふくしま復興大使 谷川陽生さん)
 

愛知発祥の「LIFE」で楽しく防災を学ぶ

防災カードゲーム「犠牲者ゼロに」
 “ふくしま復興大使”には、特別な使命があります。

 それは、日本各地のさまざまな先進的な事例を学ぶこと。

 今回、防災のアイデアで評価された3人が注目したのが、愛知発祥の「LIFE」だったんです。

 事前に備えておくことで、災害によるダメージを軽減できることを学びました。

 ゲームでは、固有の能力をもつキャラクターが登場。それぞれの能力を使って助け合い、犠牲者ゼロを目指します。

 台風や津波など、さまざまな災害に対し、工夫し助け合い、全員が生き延びることができました。

 「知らないこともサラッと、知ることができて本当によかった」(谷川さん)
 「最後のあたり危なくて、ギリギリ耐えて楽しかったのと、二次災害とかあまり知らなかったけど、二次災害のことも詳しくなれてよかったです」(ふくしま復興大使 佐藤豪太さん)

 ここで子どもたちからゲームの制作者に質問が――
  
 「LIFEを通じて体験者に最も伝えたいことは何ですか」(ふくしま復興大使 今井優登さん)
 「一番大事なのは備蓄。日頃から備えておけば急に災害が来ても、焦って困ることはないと伝えたい」(フダコマ広場 壁谷幸昌さん)
 

名古屋生まれの「インスタントハウス」

巨大な白い物体は、プライバシーを守る“家”
 愛知にきて3日目。3人は名古屋工業大学を訪れました。

 被災地で使われる段ボールハウス作りに挑戦。壁を組み立てて屋根を載せると、約10分で完成です。

 外に出ると、ちょうど巨大な白い物体が運び込まれてきました。

 名古屋で生まれた「インスタントハウス」です。

 「実物を見るとインパクトがすごいです。でかくてやわらかそう。マシュマロみたいな」(谷川さん)

 「インスタントハウス」は、地震などの被災地で、プライバシーを守る“家”として活躍しています。

 「何人くらいが入れるのか知りたいです」(今井さん)

 開発した北川啓介教授です。ハウスで能登半島地震の支援を続けています。

 「3人で『せいのっ』でいってみる?壊してみる?」(インスタントハウスの開発者 名古屋工業大学 北川啓介教授)
 「せいのっ!ダメだ」(3人)
 

北川教授による“特別授業”

インスタントハウスで“特別授業”
 中はどうなっているんでしょうか――

 「どう?入ってみて」(北川教授)
 「すごく広く感じます」(3人)
 「天井が高いじゃん。みんなの家より高いかもしれないね。高いのは夏は涼しく、冬は暖かくということを計算すると、こういう形状がすごく合理的なんですよ」(北川教授)

 気がつけば、北川教授の“特別授業”が始まっていました。

 「ここに輪島中学校があって、1月2日から3月終わりくらいまでの間、ずっと輪島にいて、この家を建てたり、段ボールの家を届けたりしていました。避難所の中、体育館の中は、昼間で温度を測ったら3℃だった。3℃ってなんの温度かわかる?」(北川教授)
 「冷蔵庫」(3人)
 「冷蔵庫の中に昼間からいるような生活をしないといけなかった」(北川教授)

 「インスタントハウスは壊れないんですか?」(今井さん)
 「被災地では余震があるわけ。余震の時には段ボールの家やインスタントハウスはどうなるかというと軽いでしょ。軽いと地震の影響を受けにくいんですよ」(北川教授)
 

ふくしま復興大使 佐藤豪太さん

福岡の小学生が愛知の防災で学んだことは――
 東日本大震災の後に生まれた福島の子どもたちが、愛知の防災を通して学んだことは――

 「建物や周りを見わたして、いま地震が来たらここが危ないなと考えるようになりました。北川教授の話を聞いて、さらに勉強になったし、もっと学校や近所の人に伝えられるなと思いました」(佐藤くん)
 「来る前に比べて、もちろん防災の知識も増えたんですけど、これから防災や災害でどうやっていけばいいのかも学べたので、どんどんこれから行動に移していきたいです」(谷川くん)
 

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