【未解決事件】母親と子ども3人を殺害、家に火を放つ 事件から20年 県警OBと遺族の思い

2024年9月9日 19:38
愛知県豊明市の住宅で母親と子供3人が殺害、放火された事件は9日で20年です。当時捜査していた愛知県警OBが現場で感じた犯行の経緯と動機とは――
 「事件発生からきょうで20年です。事件現場ではまもなく献花式が行われます」(上坂嵩アナウンサー)

 花を手向け、静かに手を合わせる天海としさん(62)。

 20年前、天海さんは妹とその3人の子どもたちを失いました。

 Q.事件を知らない人も知っている人もいるかもしれない、どう呼びかけたい?
 「今だから言える一言をどうか、情報提供してもらいたいと強く思っています」(被害者遺族 天海としさん)

 事件は2004年9月9日未明、豊明市沓掛町の加藤博人さんの住宅で起きました。

 当時、家にいた妻の利代さん(当時38歳)、長男の佑基さん(当時15歳)、長女の里奈さん(当時13歳)、次男の正悟くん(当時9歳)の4人が何者かに殺害され、住宅が放火されました。

 窓ガラスは割れ、黒く焼け焦げた家。事件の悲惨さを物語ります。

 現場の消火活動にあたった消防隊員は当時をこう振り返ります。

 「飼っていた犬が炎上している建物周りを駆けていたことを記憶しています。私が経験したなかでもこの様な悲惨な火災現場に遭遇したことはありませんでした」(元消防士の手記)
 

情報提供を呼びかける被害者遺族 天海としさん

「節目節目じゃないと覚えて頂けないような、時間の流れを感じる」
 警察は殺人放火事件として特別捜査本部を設置。

 これまでに延べ約5万5000人の捜査員を動員しました。

 2020年には容疑者が乗っていた可能性がある不審車両の目撃情報を新たに公開。

 情報提供を呼びかけていますが去年9月9日以降、情報提供は6件にとどまっています。

 「節目節目じゃないと覚えて頂けないような、時間の流れを感じているところなので、やっぱり焦りはすごくあるし、このまま終わってしまうんじゃないかという気持ちは大きい」(天海さん)
 

当時の捜査員

元捜査員が語る“犯人像”
 「火をつけられて基本的な資料ですね、DNA(型)とか血痕とか指紋とか、そういった資料が多く焼失したというのが、やはり大きいのではないかと思います」(当時の捜査員)

 捜査が難航していることについて発生当時から捜査に関わった愛知県警OBはこう振り返ります。

 「部屋がそれぞれ亡くなられた子どもさんが別々なので、お母さんも別の部屋で亡くなられているということで、これは物取り(窃盗)で見つかって、顔を見られて殺害されたというよりも、殺害を目的としたものだな、そういう印象ですね」(当時の捜査員)

 4人を殺害した凶器も見つからず、犯行は単独犯か複数犯によるものなのか、犯人は家のどこから侵入したのかも分かっていません。

 20年もの間、残り続ける大きな事件の謎。

 警察をやめた今も、当時の事件の状況を鮮明に覚えているといいます。

 「何とか事件を解決したかったんですけど、解決できなかったというのが、今も捜査は進んでいるんですけど、非常に悔いが残る重い事件。事件について抱え込んでいる情報を持っていた方も20年間忘れていない。ですから、それを20年たったというこの機会に吐き出してほしいという感じがします」(当時の捜査員)
 

被害者遺族 天海としさん

「記憶の風化」とたたかい続ける
 遺族の天海さんは、豊明市役所の協力のもと、妹らのイラストや事件を報じる新聞記事などの展示会を6日から開催しています。

 「正悟が大きくなったらの夢…ここ豊明で生きていたことを忘れてほしくない」(天海さん)

 事件から20年、“記憶の風化”とたたかい続ける被害者遺族。

 天海さんは9日、捜査本部が置かれる愛知警察署で講演し、事件後に採用された警察官たちにこう訴えました。

 「どうかお願いです。事件を諦めないで、そして勝手に終わらせないでください。事件発生時は今世紀最大の殺人事件と言われてきました。せめてここ豊明で20年前に、こんな悲惨な殺人放火事件があったことを、ここにいる愛知警察署の方には知っておいてほしい。忘れずに捜査していただき、犯人を検挙してください」(天海さん)
 

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