フィギュア吉田陽菜選手と松生理乃選手に密着 学業との両立、どん底を救った恩師の存在も

2024年12月5日 17:35
愛知で切磋琢磨していた銀盤の少女たちが、揃って世界一を決める晴れ舞台へ。6日から始まるグランプリファイナル、名古屋市出身2人の選手が世界で存在感を示しています。

吉田陽菜選手と松生理乃選手

 世界一決定戦に挑む、地元名古屋市出身のスケーターたち。

 まずは2年連続のグランプリファイナル進出、19歳の吉田陽菜選手。

 「(GPファイナルは)挑戦したいことに挑戦して、自分との勝負の試合にしたい」(名古屋市出身/木下アカデミー 吉田陽菜選手)

 シニアデビューの昨シーズンは、まさに大躍進!

 大技トリプルアクセルを武器に、1年目でファイナルの銅メダルを獲得しました。

 国際スケート連盟の最優秀新人賞に輝いた吉田選手。

 スピーチでは、流ちょうな英語を披露。

 実は幼少期に、名古屋のインターナショナルスクールに通っていたんです。
 

名古屋市出身/木下アカデミー 吉田陽菜選手

大学とスケートを両立
 今年の春、吉田選手は京都にある同志社大学に進学しました。

 「大学とスケートの両立が一番大変なので、1秒1秒を大切に毎日を精一杯過ごせたらいい」(吉田選手)

 とある平日。練習を始めたのは、朝6時半。

 終わるやいなや、直接大学に向かいます。

 「スケートばかりだと、1日中スケートのことを考えてしまうので。スケート場にいる時はスケートで、大学に行った時は授業に集中して、スケートじゃないことを考えているので、(学業との両立は)自分に合っている」(吉田選手)

 知らないことを学べるのが楽しいと、大学で気分を切り替え。

 でも、その後もリンクに戻るというハードスケジュールが故に、睡魔に襲われることもあると言います。

 「眠すぎる時はコーヒーが苦手だけど、あえてブラックコーヒーを買って『にがっ!』て思いながら授業を受けています」(吉田選手)
 
吉田選手の課題は、トリプルアクセルの成功
 学業と両立しながら迎えた、グランプリシリーズ。

 2試合ともに表彰台に上がった19歳。

 優勝したフィンランド大会の会場インタビューでは英語で感想を伝えるなど、文武両道を貫くスケーターが、グランプリファイナルで挑戦する課題、それが代名詞トリプルアクセルの成功です。

 今シーズン、まだグランプリシリーズでは決められていません。

 「GPファイナルは行けるだけでうれしいので、自分がしたい演技を目指して、やり切ったと思える演技がしたい」(吉田選手)
 

幼いころから名古屋で切磋琢磨してきた2人

幼いころから、名古屋で切磋琢磨した仲
 その吉田選手と幼いころから名古屋で切磋琢磨し――

 グランプリシリーズで一緒に表彰台に上がった、中京大学の松生理乃選手。

 「(吉田)陽菜選手と一緒に表彰台に乗れて自信になった」(名古屋市出身/中京大学 松生理乃選手)

 跳び出しから着氷までがスムーズなジャンプに、柔らかいスケーティングを武器にグランプリシリーズ2試合ともに2位。

 参戦5年目にして、念願のファイナル進出を決めました。

 「感謝の気持ちでいっぱい。辛くてスケートを辞めようとしていた人とは思えないぐらい本当に幸せ」(松生選手)
 

名古屋市出身/中京大学 松生理乃選手

ケガや体調不良に悩まされる日々
 彼女が一躍脚光を浴びたのは、2020年。

 ジュニアながら、飛び級でグランプリシリーズに出場すると、デビュー戦でいきなり表彰台。

 若手有望株として、注目されました。

 ところが――

 その後に待っていたのは、ケガや体調不良に悩まされる日々。

 大会途中で、棄権することもありました。

 「けがや体調など技術面ではない所で、うまく力が発揮できず苦しい期間だったし、頑張っても少しも結果が出せないのは正直きつくて、辞めたいと思ったこともあった」(松生選手)
 

山田満知子コーチ

松生選手を近くで支える恩人の存在が…
 そんな波乱万丈なスケート人生を、近くで支える恩人がいます。

 10年以上、師事を仰ぐ山田満知子コーチ。

 過去に、浅田真央さんや宇野昌磨さんなどのオリンピック選手を育てあげた名伯楽です。

 「小さい頃から色んな苦楽を共にしてきた先生で、しんどかった時もいつも慰めて声をかけてくださって、たまにすごくきつく言ってくださったり」(松生選手)
 

山田コーチと松生選手

「フィギュアスケートの楽しさ」を教えてくれた
 9歳の頃、山田コーチのもとで競技を始めた松生選手。

 中学までは、なかなか芽が出ませんでした。

 当時、恩師が課題に挙げていたのは――

 「能力はジャンプ力もすごくあるけど、おとなしい子で華がないので、真っ赤な花でもつけてやらせよう」(山田満知子コーチ)

 それでも、今なお習うバレエで、細かい手の動きや表情の作り方を勉強。

 猫背だった姿勢も改善してきました。

 「(ジャンプを)降りた時の姿勢も全然きれいではなかったので、普通に滑っている時の姿勢もすごくきれいになった」(松生選手)

 そしてなにより、 「フィギュアスケートの楽しさ」を恩師が教えてくれたからこそ、練習漬けの日々を送る今があります。
 

松生選手

辞めずに続けてきた成果が、ようやく結果に
 グランプリシリーズに参戦して5年。

 辞めずに続けてきた成果が、ようやく結果に表れます。

 カナダ大会のフリーでは、世界女王・坂本花織選手を上回る高得点をマーク。

 まるで芸術作品を紡ぐような演技が、ファイナル進出への大きな原動力となりました。

 「先生に、少しでも恩返しができたのでうれしい」(松生選手)

 「華やかではないけど、品の良い美しさ。派手さはないけど、静かな中になんとも言えない魅力が出せるようになった」(山田コーチ)

 松生選手でしか出せない唯一無二の滑りを、世界一を決める晴れ舞台で――

 「あの時辞めなくて良かったし、苦労をしたからこそ喜びはより一層大きく感じられる。(ファイナルでは)伸び伸びと楽しむ気持ちを忘れずに演技できたら良いと思っています」(松生選手)

 (12月5日放送 メ~テレ『ドデスカ+』「じもスポ!」コーナーより)
 

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