「怒ってるぜ展」外見や行動が怖い生き物集めた企画 皮膚から毒出す「コンゴウフグ」など展示 竹島水族館

2025年1月22日 08:01
アットホームな雰囲気が魅力の「竹島水族館」。深海生物の展示種類数が全国ナンバーワンレベルとも言われる、愛知県蒲郡市にある水族館です。開催中の企画展「怒ってるぜ」展は、名前や外見、行動がまるで怒っているような生き物を集めた、ちょっと変わった企画展です。仕掛け人に、飼育のエピソードとともに話を聞きました。

飼育員の桃井綾子さん(33)が手掛けた「怒ってるぜ展」

 竹島水族館では、珍しい深海生物など約4500匹の生き物を飼育していて、魚だけでなくアシカやカワウソ、リクガメなどの飼育も行っています。

 1年を通して1カ月ごとにさまざまな企画展示を行っていますが、今回は飼育員歴10年目の桃井綾子さん(33)が行う初の企画展です。

 桃井さんはアシカなどの哺乳類を担当してきたため、これまで魚は「エサ」としてしか触れ合っていませんでした。何気なく館内で泳ぐ魚を見ていると、魚の表情が笑っているように見えたり、落ち込んでいるように見えたりすることに気付き、水族館を訪れる人と同じ目線で企画をしようと考えたといいます。

 企画展に登場する海の生き物は6種類。会場に掲示された桃井さんお手製の「解説プレート」の中から、一部を紹介してもらうと…。
 

オニダルマオコゼ(提供:竹島水族館)

背びれに猛毒の危険生物
「オニダルマオコゼ」は、「オコゼ」という名前から「怒ってるぜ」展を思いついたきっかけになった魚だといいます。

 とげとげしい見た目と、への字の口元は怒っている表情にも見えます。カサゴの仲間で、背びれのトゲに猛毒を持つ危険生物として知られています。
 

オオイカリナマコ(提供:竹島水族館)

ウミヘビじゃなくて…
 「オオイカリナマコ」は、「オオイカリ」という名前から選んだと言います。

 実際には「大怒り」ではなく、骨の形がイカリの形であることが名前の由来です。

 世界で一番長くなるナマコとも言われ、その長さは3mに及ぶものもあり、お客さんにウミヘビと間違えられることもあるそうです。
 

メジナ ※別名「グレ」(提供:竹島水族館)

動きが早すぎてお客さんから苦情も?
 「メジナ」は、別名「グレ」とも呼ばれ、非行に走るを意味する「グレる」のようであることから選んだといいます。

 本来の由来は、体色がグレーであることから、その言葉が濁り「グレ」と呼ばれるようになったと言われています。
 
 エサやり体験ができる水槽にいますが、人気のリクガメより動きが早いため、先にエサを食べてしまい、お客さんに文句を言われることもあり、そのたびに桃井さんは「そんなこと言うとグレちゃう…」とひっそり思っているそうです。
 

コンゴウフグ(提供:竹島水族館)

見た目が怒っている「フグ」
 「コンゴウフグ」は、ツノが生えた見た目が怒っているように見えることから選んだといいます。

 ストレスを感じると皮膚から毒を出すという習性があり、他の生き物と一緒に住む水槽の中でも、死ぬ瞬間など過剰にストレスがかかる瞬間に大量の毒を出すため、同じ水槽に住む魚を道連れにして死んでしまうことがあります。

 飼育員たちの間ではこの現象を「フグ爆弾」と呼んでいて、怒らせると怖い魚だと恐れているそうです。
 

シマスズメダイ(提供:竹島水族館)

1度標的にすると死ぬまで…
 「シマスズメダイ」は、見た目や名前は普通の魚です。他の魚を自分の縄張りから追い出す習性があり、1度標的にすると死ぬまで追いかけまわしてしまうといいます。

 過去に複数の水槽で展示されていましたが、その気性の荒さからバックヤードに移され、隠居生活をしていました。

 桃井さんはこの企画展を機にお客さんの目に触れてほしいとの思いから、今回展示しました。
 

ガザミ(提供:竹島水族館)

ハサミを広げ”怒り”を表現??
 「ガザミ」は、その見た目から選ばれました。とても好戦的なカニで、いつも両方のハサミを広げて怒っているように見えます。

 「カニバサミ」がなまって、「ガザミ」と呼ばれるようになりました。少しでも近づくと挟まれてしまい、実際に指を挟まれると「指が取れたかと思うほど痛い」と言う飼育員もいるといいます。

 桃井さんは「普段水族館の中ではあまりフィーチャーされない魚の魅力を知ることができるのが企画展の魅力。本当に怒っているのか、ぜひ確かめに来てほしい」と話します。

 竹島水族館の「怒ってるぜ」展は、2月24日(月)までです。

(メ~テレ記者 舘京香)
 

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