“進化”する東海地方の図書館 AIが本をおすすめ、高級ソファやテラス…市民の声を取り入れ利用者5倍に

2025年3月14日 19:27
「本との新たな出会いを」全国で貸出数が減少傾向にあるという公立図書館。“本離れ”も指摘される中、東海地方の図書館が、魅力的な空間を目指し「進化」しています。
 名古屋市中区の愛知県図書館。

 ここで14日から導入されたのが――

 「リニューアルされた図書館のHPを見てみると、蔵書探索AIと書かれています」(記者)

 全国でも珍しいという、AIを使った蔵書検索システムです。

 「雰囲気で例えば『やる気を出したい』とか、思いつきの言葉でも検索できるようなシステムになっています」(愛知県図書館 武内美和子さん)

 約130万冊の蔵書がある、愛知県図書館。

 これまでは本のタイトルや著者など、正確なキーワードを入れないとお目当ての本にはたどりつけませんでした。

 AIを導入したことで、“曖昧な”キーワードでも、より幅広い検索ができるようになったといいます。
 

「励ましてほしい」で検索したところ、本児童書から詩集まで様々な種類の本がヒット

AIが本をおすすめ、どんな出会いが?
 実際に試してみると――

 「『励ましてほしい』とか、出てくるかな」(愛知県図書館 蒲池美帆さん)

 「子ども向けの本も大人向けの本も、いろいろなところから探してきてくれます」(蒲池美帆さん)

 AIが「記者を励ます」本をピックアップ。児童書から詩集まで、様々な種類の本がヒットしました。

 「タイトルが分からなくても、何となく探すというのができるようになると、関心の幅も広がっていくと思うので、そういったところも使ってもらえるといいなと思っております」(蒲池さん)

 新たな本との出会いがしやすくなり、より便利になった一方、図書館を取り巻く状況は変化しています。

 日本図書協会によりますと、公共の図書館の数は、おととしまでの10年で62館増えています。 
  
 一方で、個人に貸し出された本の総数は、約7880万冊減っていて、若い人を中心とした「読書離れ」が影響しているのではないかということです。
 

小牧市中央図書館

「市民や若者の声」を取り入れた図書館
 本をたくさん借りてもらえる、魅力的な図書館が求められる中、愛知県には“市民や若者の声”を取り入れた施設があります。

 「とてもきれいです。まるでホテルのロビーのような雰囲気です。そして、吹き抜けになっているので、とても開放感があります」(記者)

 4年前にこの場所に新しく開館した、小牧市中央図書館。

 2020年まで開いていた前の市立図書館は、施設自体の老朽化や、施設内に本を読めるスペースが少ないことなどが課題に。利用者が、年々減少していました。

 新たな図書館の建設に向け、市民アンケートなどが行われ、その声が今の施設に反映されているといいます。  

 「ひとことでいえば、居心地の良さというところになります。高校生・中学生対象のスクールミーティングや市民ワークショップで、市民ニーズを拾い上げてきました」(小牧市 図書館 施設運営係 長谷川宏さん)
 

外で読書を楽しめるテラス席も

「居心地のいい場所を実現するために多種多様な席を用意」
 昨年度の利用者は59万人。前の図書館時代の約5倍に増えたといいいます。

 「ゆったりとした席もあります。メーカーは、カリモクさんですね」(長谷川さん)
 
 「カリモクといえば、高級なソファ」(記者)
 「そうですね、20万円くらい。高級ではあるが、市民のニーズですね。居心地のいい場所を実現するために多種多様な席を用意しました」(長谷川さん)

 ほかにも、集中して作業をするのににぴったりな個室や、外で読書を楽しめるテラス席も。

 「ドリンクを飲みながら読書を楽しみたい」という声にもこたえ、フタつきのものであれば、館内はどこでも飲み物を楽しめるように。

 カフェも併設されていて、一部の場所では食事も可能です。

 「ほぼ毎日来ています。いすも気持ちがいいので、寝転んだりして」(出勤前に利用)
 「図書館はあまり来たくないようなイメージがあったけど、ここができてからは、すごく開放的で雰囲気も良くて、よく来ます」(高校2年生) 
 「飲み物を飲んで、くつろげる図書館は、なかなかないので、すごくデザインもおしゃれでいいなと思います」(初めて利用)

 小牧市は、図書館を中心に、さらなる地域のにぎわいをつくっていきたいとしています。
 

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