“ゲーセン離れ”全国で加速 「憩いの場を守りたい」元プロ選手が300万円集めてビートマニア設置
2024年7月12日 17:53
オンラインゲームの普及などで、昔ながらの「ゲームセンター」が苦境に立たされています。全国で閉店が相次ぐ中、「交流の場」としてかつての輝きを取り戻そうとする人々を取材しました。
愛知県内で「ゲームセンター」を展開する「ADX MAMY」。
名古屋の八事店は、約30年の歴史に幕をおろしました。
「(通い始めて)もう10年ちょっとになる」(20代)
「もともと愛知に住んでいたが、神奈川に仕事で引っ越した。“閉店”ということで、愛知まで来た」(20代)
かつては地元の大学生などで賑わいましたが、店によると、ここ数年は売り上げがゼロという日もあったそうです。
「(2人の)つながりは、ゲームセンターでできています。ここでもよく対戦しましたね。(きょうは)通っていた時に遊んだプレーヤーにも会えて、だいぶ懐かしさと寂しさがある。今まで知らない人と急に対戦ができる。そういったのもゲームセンターの魅力の一つだと思う」(30代と40代の利用客)
ゲームセンターの店舗数(帝国データバンクの調査)
“ゲーセン離れ”は全国で加速
「帝国データバンク」によると、“ゲーセン離れ”は全国で加速し、店舗の数は直近の約10年間で8000店近く減少しました。
オンラインゲームの普及やコロナ禍で逆境が続く中、最近は、電気料金やゲーム機自体の価格も上昇し、運営コストは膨らむ一方。
ワンプレイ100円で、店の利益はわずか「6円」。そんなデータもあります。
稼働の少ないゲーム機は電源をオフに
節電に向けた、苦肉の策
「ADX MAMY」の春日井市の店舗。リズムに合わせてボタンを押す、いわゆる“音ゲー”などが、たくさん並んでいます。
しかし、店内のゲーム機をよく見てみると――
Q.奥は電源がついていて、手前は電源がついていないが…
「お客さんが少ない時には、稼働の少ないゲーム機は電源を切っている。遊びたい方が、電源を入れる形でやっている」(ADX MAMY 北和晃 社長)
節電に向けた、苦肉の策です。
「コロナ禍になって、お客さんが少なくなってからは、ずっとこのスタイルでやっている。お客さんを迎える上では全部電気がついていた方がいいと思う」(北社長)
Q.仕方なく
「そうですね」(北社長)
また、最近は、キャラクターグッズなどをつかみ取る「クレーンゲーム」が主流になりつつあり、従来型のゲーム機を置く「街のゲーセン」には、逆風となっています。
元eスポーツ選手のHALさん
「ゲーセンの閉店に心を痛める」
春日井市の店にやってきた、ある男性――
「どこのゲームセンターも現状が苦しいと聞く。『ゲームセンターが閉店になりました』という話を聞くたびに心を痛める」(元eスポーツ選手 HALさん)
DJのように、ターンテーブルや鍵盤を操作する「KONAMI」の人気音楽ゲーム「ビートマニア」。HAL(ハル)さんは「ビートマニア」の元プロ選手です。
「愛知県に引っ越してきて、その仕事の関係で春日井に通うようになった」(HALさん)
お客さんから資金援助や提供を受けて設置されたゲーム機
「ゲーセンの文化を残していきたい」
HALさんは、愛知県に住んでいた去年までの約3年間、この店を拠点に活動していました。
「プロ選手として活動していた時に獲得した賞金などを集めて、お店の方に(このゲーム機を)寄付をさせてもらった。お世話になった分、みんなに遊んでもらえるように」(HALさん)
1台約300万円の最新ゲーム機。HALさんが資金を集め、去年、店に設置しました。
「(学生時代に)いじめられている時期があり、帰り道のゲームセンターに寄ったところ、すごくいい仲間がいて、その人たちに救われて今の自分がある。みんなの憩いの場になっているゲームセンターが本当に好き。そういうものを守りたいという意味でも、僕ができる限りの形で協力している」(HALさん)
店内には他にも、お客さんから資金援助や提供を受けたゲーム機があります。
「お客さんの協力がないとやっていけないと思う。お客さんと一緒にこれからもゲーセンの文化を残していきたい」(ADX MAMY 北和晃 社長)