今何が話し合われているのか?南海トラフ地震臨時情報(調査中) 気象庁の検討会委員・横田崇教授に聞く
2024年8月8日 18:38
南海トラフ地震臨時情報(調査中)とは、どういった情報なのでしょうか。気象庁の地震評価検討会委員に聞きました。
臨時情報(調査中)とは?
南海トラフ地震臨時情報(調査中)は、南海トラフの想定震源域またはその周辺でマグニチュード6.8程度以上の地震が発生した時に発表されます。
現在、気象庁では地震専門家による検討会が開かれ、発生した地震について調査をしています。検討会ではどのようなことが話し合われているのでしょうか。
横田崇・愛知工業大教授
「プレート境界の地震か、そうでないのか」
「発生した地震の断層の面積や地震の規模を調べ、プレート境界の地震かそうでないのか、地震の起こり方を調べる。どちらの地震か、どんな地震が起きたのかを調べている」(南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会委員 横田崇・愛知工業大教授)
南海トラフでは、海のプレートが陸のプレートに沈み込み、ひずみがたまっています。このひずみがこれ以上曲がれない限界に達したとき、陸側のプレートが一気に跳ね上がって巨大地震が起き、津波が発生するとされています。
南海トラフ地震の震源域
南海トラフ、大地震が連動して起きることが
南海トラフの震源域では、いったん大きな地震が起きるとその後連動して別の大きな地震が起きています。
1944年には昭和東南海地震が発生し、東海3県では三重県南部などに大きな被害が出ました。南海トラフの東側で昭和東南海地震が起きた2年後、1946年には西側で昭和南海地震が起きました。
1854年には東側で安政東海地震が発生し、そのわずか32時間後に西側で安政南海地震が発生しています。
「過去の南海トラフの地震は大きな地震が起きた後、32時間あるいは2年後、引き続き大きな地震が起きた。マグニチュード8以上の地震が起きると、引き続きマグニチュード8程度の地震が起きる可能性がある。大きな地震が起きた直後ほどその可能性が高い」(横田崇・愛知工業大教授)
臨時情報(巨大地震注意)
臨時情報の続報は
南海トラフ地震では、最初の地震で被害が及んでいない地域でも、今後大きな地震が起きる可能性があります。検討会では、今後この地方でも大きな地震が起きる可能性があるかを調べているのです。
このあと検討会は、臨時情報の続報を発表する予定です。
「ひとつが臨時情報(巨大地震警戒)。プレート境界の地震で、マグニチュード8以上だった場合、同じプレート境界型の地震が引き続き発生する可能性があるということになる。後発する地震に警戒しておいたほうがいい、という情報を出します。もう一つのパターンとしてプレート境界型の地震でもう少し小さい地震、マグニチュード7クラスの場合は臨時情報(巨大地震注意)を出す。マグニチュード8を超えるような大きな地震を起こす可能性はあるんですけども、それほど高くはない。念のため注意しましょう、という情報を出します」(横田教授)
臨時情報(巨大地震警戒)
巨大地震「警戒」「注意」、調査終了
もう一つの臨時情報(調査終了)は、異常現象は南海トラフとは関係がなく、大地震発生の可能性はないとするものです。
臨時情報(巨大地震警戒)は、マグニチュード8クラス以上の地震が引き続き起きる可能性があります。
津波到達までに避難が完了できない地域の全住民などに1週間程度の事前避難を求めます。それ以外の地域の人には「地震に備えつつ、通常の社会活動をできるだけ維持する」としています。
臨時情報(巨大地震注意)は、マグニチュード8クラスの地震が起きる可能性は少ないものの注意が必要、としています。