工業団地の駐車場を車中泊に開放 南海トラフ大地震に備え、三重県桑名市と企業が協定

2024年8月21日 18:05

大地震への備えの強化が、行政でも加速しています。21日、三重県桑名市と地元の企業4社との間で、災害時の新たな協定が結ばれました。

「400台以上の車を止めることができるこちらの駐車場などが、大規模災害時には車中避難所として開設されるということです」(岡本祥一記者)

 協定は、多度第2工業団地にある企業の駐車場を、災害時に車に避難して寝泊りする人が車を止める場所として開放するという取り決めです。

 工業団地にある企業4社の従業員計1000人以上と、その家族の受け入れを想定していて、企業が支援物資の配布や給水車の配備などの運営を行います。

 

災害時に避難者の車中泊に開放される駐車場

「ゼロメートル地帯」抱える桑名市に危機感

「南海トラフ臨時情報はいったん終了したがリスクがなくなったわけではない。いずれ起こりうる、そういう意味では締結は大きな一歩」(伊藤徳宇 桑名市長)

 全国的にも珍しいというこの取り組み。背景には桑名市の危機意識がありました。

 広い範囲で、海抜0m地帯を抱える桑名市。

 大きな津波に襲われた場合、広い範囲で長期間浸水し、被災者が避難所での生活を続けた場合、避難所の混雑が心配されます。

 

多度第2工業団地の海抜は約60m

能登半島地震教訓、「車中泊避難」に対応

 さらに、能登半島地震で支援のため現地入りした職員から、「車中泊避難」を選択する人への対応も重要との声があがってました。

 多度第2工業団地が位置するのは、海抜約60mの場所です。

 標高が高い場所に車中泊避難者を集約することで、市にとっては、避難所の混雑緩和や避難者へ個別の支援を効率化する狙いがあります。

 

NTN三重製作所の川端健司社長

企業側にもメリット

 企業にとっては…。

「従業員が家族と共に1カ所に集まってもらえれば、企業としても安心ですし、会社自身の復旧・復興にも役立つ」(NTN三重製作所 川端健司 社長)

 

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