【台風10号】大雨で浸水・土砂崩れ、新幹線取りやめで混乱、米の収穫に影響も 29~30日の東海地方

2024年8月30日 17:26

東海地方に「線状降水帯」発生の恐れ。動きの遅い台風10号の影響で、東海地方は引き続き注意が必要です。

東海道新幹線の取りやめで多くの宿泊客に対応するホテルスタッフ

 台風10号は、このあとも速度はあまり上がらず、9月1日には勢力は弱まり、熱帯低気圧となって東海地方に近づく見込みです。

 9月2日ごろにかけて、大気の非常に不安定な状態が続く見込みです。断続的に激しい雨が降り、大雨となる恐れがあります。

 また気象庁は、30日夜から31日午前中にかけて東海地方で線状降水帯が発生し、大雨による災害が発生する危険度が急激に高まる恐れがあるとして警戒を呼びかけています。

 

東海道新幹線が全線取りやめ、名古屋駅は混雑

「午後7時です。先ほど東海道新幹線の東京~新大阪間の終日運転取りやめが決まりました」(木岡真理奈アナウンサー)

 29日午後7時前、JR東海は静岡地区での雨の影響で東海道新幹線の当日中の運転を全線取りやめに。

 駅のコンコースには、これから新幹線に乗ろうとしていた人、名古屋駅で新幹線から降ろされた人でごった返しました。

「台風が来るのはわかっていたけど、まさか静岡でこんなに雨がいっぱい降るとは思っていなくて」(名古屋から東京へ行く人)

 名古屋駅前のタクシー乗り場にも長い行列ができていました。

 

名古屋駅周辺のホテルは対応に追われる

ホテルスタッフも「てんやわんや」

 名古屋駅から約2キロほど離れたホテルでは、スタッフが対応に追われていました。

 当日の予約は普段なら30件ほどだと言いますが、29日は3倍近い80件以上に。

「スタッフも目の前のお客さんと電話のお客さんとでてんやわんや。台風によるキャンセルが多く、部屋の稼働も半分くらいだったのが、逆に一気にふくれてしまった」(ホテルウィングインターナショナル名古屋 松田直輝 支配人)

 午後11時ごろ宿泊手続きをしていた女性は、東京に住む娘に会うため広島から向かう途中でした。

「広島の方がそれほどではなかったのと、(東京に向かう)進行方向はそんなに影響ないと軽くみていて来てしまいました」(広島から東京へ向かう女性)

「急なトラブルに見舞われてしまった方の雨風をしのげるお手伝いができて良かったです」(松田支配人)

 

桑名北高校横の崩れた法面

三重・桑名市で法面が崩れ道路を土砂がふさぐ

 30日も断続的に降る雨。三重県桑名市では――。

「午前10時、三重県桑名市です。こちらからは斜面が崩れているのが確認できます。茶色くにごった水が流れ、土砂や木々、そして塀のようなものが道路に覆いかぶさっています」(記者)

 三重県教育委員会などによりますと、29日午後4時ごろ、桑名市下深谷部の県立桑名北高校から「道が崩れている」と連絡がありました。

崩れたのは、学校の運動場横の法面で、流れ出た土砂で正門に向かう道路がふさがれました。

 夏休み中のため、学校には教職員しかおらず、けが人はいませんでした。

「崩れた斜面からは、茶色く濁った水が、土や泥を巻き込み流れ込んでいます」(記者)

 高校へつながる道路は、通行止めとなっていました。

 三重県教育委員会は、早期に復旧作業を行うとしています。

 

台風対策でいけすを陸へ上げた尾鷲市の漁港

尾鷲の漁港、いけすを陸上に

 尾鷲市の漁港では、対策が進められています。

「普段こちらには、養殖の魚を保管するいけすが設置されているんですが、台風に備えて、陸上にあげられています」(記者)

 いけすではタイやブリ、カンパチの養殖を行っているといいます。

「いつもはこの岸壁の前に、いかだを浮かせているんですけど、台風で波が出てきて岸壁にいかだが寄ってくるんです。いかだが壊れないように、今回は陸上にあげました」(三重漁連 岡本恵吾さん)

 長引く台風の対応。今回初めて、いけすを陸にあげたといいます。

「みんな、危機感を持って仕事をやっていると思いますので、被害が最小限におさまるように、準備をして対応していく」(岡本さん)

 

米の収穫が遅れると品質に影響

米の収穫にも影響が

 米不足で、新米への期待が高まるなか、米の収穫にも影響が出ています。

「本来であれば稲刈りが終わっている予定の場所なんですけど、雨が降り続いた影響で作業が1回ストップしている状況です」(熊野市ふるさと振興公社 坂田一樹さん)

 三重県熊野市の「丸山千枚田」。26日から、稲刈を始める予定でしたが、台風の影響で作業が止まっています。

「雨が降ってしまうと機械の中でお米が詰まってしまい、なかなか作業ができないことや、収穫後にも乾燥する作業が入るので、そういった点からも雨が降っていると作業ができない状況」(坂田さん)

 収穫が遅れてしまうと、収穫後の米が割れてしまい、米の品質に影響が出てしまうといいます。

「じれったいというか、もどかしいというかそういった状況ですね」(坂田さん)

 30日朝、三重県では災害対策本部会議が行われ、今後の雨の状況や、市町との連携を確認しました。

「明日から土日、休みの人も多いが不要不急の外出は控えて。土壌が雨水をずいぶん含んでいる。道路を通行するときは崖の近くは十分注意してください」(三重県 一見勝之 知事)

 

三重県では1人軽傷、床上浸水1棟、床下浸水4棟

台風10号、東海地方の被害状況

 台風10号にによる東海地方の被害状況です。

 三重県では1人が軽いけがをし、床上浸水が1棟 床下浸水4棟が確認されています。

 愛知県は新城市で床上浸水1棟、床下浸水15棟、岐阜県では被害が確認されていません。

 

新幹線の運転再開を待つ人(30日朝)

名古屋駅で朝早くから新幹線の運転再開を待つ人の姿

 30日朝の名古屋駅では、朝早い時間から新幹線の運転再開を待つ人の姿が見られました。

「大阪の梅田でライブがあるので、それに行きたくて待っています。6時半ごろからずっと待っています。ニュースで(新幹線が)止まっているのは知っていたが、動いてくれると信じて待っています」(名古屋から大阪へ行く人)

 東京で31日、子どものチアリーディングの大会を見に行く予定があるという人は――。

「前倒しで昨日行こうと思ったけど行けなくて。明日の大会には間に合わないかなと」(名古屋から東京へ行く人)

 運転を見合わせていた名古屋~新大阪間は、午前10時に運転を再開。すべて「こだま」で上下ともに1時間あたり2本程度、全席自由席で運転しています。

 一方で、名古屋から東京間では、終日運転を取りやめています。

 

中部空港からは羽田~名古屋間の臨時便が運航された

中部空港では羽田~名古屋間の臨時便

 新幹線の運休を受け、全日空と日本航空は東京方面に向かう臨時便の運航を決めました。

 午前10時発、羽田空港行きの臨時便に乗る人は――。

「運よく飛行機が今朝とれたのでそれで東京に帰ります。(昨日は)仕事で神戸に行き、帰りに新幹線が岐阜で止まった」(神戸から東京へ行く人)

 29日に乗っていた新幹線が運休になってしまった人は他にも。

「夕方4時ごろ新幹線で名古屋駅から乗ったんですけど、豊橋あたりで止まってしまって、高速も止まってどうしようかなと思っていたけれど、席が取れて少し安心」(名古屋から東京へ行く人)

 羽田~名古屋間の臨時便は、全日空で2往復、日本航空で3往復運航するということです。 

 

これまでに入っているニュース