家具転倒防止を5年かけて呼びかけ 戸別訪問を通し市民の意識に変化 名古屋市消防局
2024年11月10日 11:01
「寝室の家具転倒防止対策」の重要性を呼びかけるため、名古屋市消防局の職員が2019年度から実施している戸別訪問。戸別訪問を通して市民の意識に変化がありました。
戸別訪問の様子 提供:名古屋市消防局
戸別訪問で防災対策を提案
戸別訪問は名古屋市内の全世帯で実施されています。
1回目の訪問は調査票に従い、玄関先で防災対策などを質問し、職員が不足していると感じた防災対策を具体的に提案します。
調査票の内容は、寝室の家具等の転倒防止対策実施状況、消火器や消火スプレー等の設置状況、感震ブレーカー・住宅用火災報知機の設置状況など、家具転倒防止以外にも様々な視点から防災対策を見直すものになっています。
その際、防災対策のきっかけにしてもらうために、3種類の防災用品(家具転倒防止器具、消火スプレー、おもり式感電ブレーカー)のうち1つが無償で配布されます。
1回目の訪問時に寝室の家具転倒防止対策を未実施と回答した世帯には、防災用品の配送が完了した後に2回目の訪問が行われ、改めて家具転倒防止対策の実施状況を確認します。
戸別訪問の様子 提供:名古屋市消防局
戸別訪問の取り組みが始まったわけは…
南海トラフ巨大地震が発生した場合、名古屋市消防局の消防力を上回る被害が発生することが予想されるため、被害を軽減する方策の1つとして、自分や家族の命を自ら助ける「自助」の力を高めることが有効と名古屋市消防局は考えてきました。
また阪神淡路大震災における死因の約8割が建物の倒壊や家具の転倒に巻き込まれたことが原因だったことから、「寝室の家具転倒防止対策」を重視し、イベントや防災訓練を通して対策の重要性を訴えてきました。
地域防災業務の明確な目標として、名古屋市消防局は「寝室における家具の転倒防止対策を100%」とすることを令和元年度に打ち立て、これを達成するために戸別訪問などの地域防災力向上に向けた事業をスタートさせたということです。
戸別訪問の様子 提供:名古屋市消防局
訪問について市民の反応は…
名古屋市のアンケートによると、平成31年1月の時点では、寝室の家具転倒防止対策を実施している世帯は28.3%でしたが、令和6年3月末の時点では66.1%となり、市民の防災意識が向上したことが分かります。
5年の歳月をかけ、地域の消防団などと連携しながら行われてきた戸別訪問。名古屋市消防局の取り組みが市民の意識に大きな影響を及ぼしていました。
今後、「自助」の力だけでなく、安全確認などをはじめとした隣近所で助け合う「共助」の啓発にも積極的に取り組むことを検討しているといいます。
(メ~テレ記者 橋本晴香)