キャベツが高い! 例年の1.5倍、夏の天候不順が影響 代わりの売れ筋は白菜・根菜類

2024年11月19日 16:59

食卓の万能野菜、キャベツの価格が高騰しています。その原因は…。影響はいつまで続くのでしょうか?

価格が高騰しているキャベツ

 愛知県豊山町にある名古屋市中央卸売市場の北部市場。

 白菜やねぎ、じゃがいもなど、19日朝も全国各地から野菜が届きます。

 今の時期、特に不作だと言われているのが――。

「キャベツです。見比べてもらうと分かりますが、こちらは小玉に見えます」(セントライ青果 野菜部 西垣昌照さん)

 サラダからロールキャベツなどの煮込み料理、肉料理に添える千切りまで、何かと万能な食材、キャベツ。今年は異変が起こっています。

「今年の特徴としては、小玉であること。生育不良で数が少ない。価格が高い。近年の中では一番高いのではないか」(西垣さん)

 

セントライ青果の西垣昌照さん

価格急上昇、例年の1.5倍から2倍に

 先週から価格が急上昇し、例年の1.5倍から2倍にはね上がっているといいます。 

 原因は、夏以降の異常気象だといいます。

「例年から比べると1週間から2週間程度、出荷時期が後ろにずれているのと、かなり数量が少ない」(西垣さん)
 
 近年まれな、この時期のキャベツの価格高騰。市場では今後も高値で推移する見込みです。

「現状が一番高く、12月はここまで高くないのではないか。年内は数が例年に比べて少ないという見込みから、価格的には120%くらいの値段で推移するのでは」(西垣さん)

 

夏の天候不順で生育が遅れているキャベツ

天候不順に翻弄されるキャベツ農家

 キャベツに一体、何が起きているのか。愛知県田原市のキャベツ農家を訪ねました。

 “冬キャベツ”の収穫量は、田原市が全国トップを誇り、2位の豊橋市と並んで、一大産地として知られます。

「この辺は大きいけど、こっちはまだこれからで生育ムラがすごくあります」(キャベツ農家 彦坂航さん)

 畑にはたくさんのキャベツが立派に育っているようにも見えますが、夏の天候不順による生育の遅れが、価格高騰に影響しているといいます。

「夏場の異常気象、天候不順の影響で根っこが育たずに、生育にムラが出たり生育が遅れたことで『出荷の谷』ができている状態。このキャベツは7月末くらいに種をまいて、8月のお盆明けに植えたが、そのあと1カ月雨が降らなかったり、逆に1週間ずっと雨が続いたりして、キャベツの生育がうまく進まなかったので、今になって影響が出ている」(彦坂さん)

 

キャベツ農家の彦坂航さん

寒暖差にも悩まされる農家

 彦坂さんのキャベツ畑では、雨の降り方の影響で生育が進まず、収穫が予定より2週間後ろ倒しに――。 

 また、近頃の寒暖差にも頭を悩ませています。

「寒くなってしまうと、ちょっと今回復してきたかと思うキャベツの出荷スピードも、どんどん遅くなってしまって、価格が高い状態を維持することになりかねないかと思います」(彦坂さん)

 苗の種類を工夫しながら、安定しない気象条件を乗り越えようと考えていますが、不安が尽きないといいます。

「今穫っているのは11月の気温で収穫できるキャベツなので、いきなり12月の気温とかになると、その気温で成育する品種ではない品種を今植えている。どちらかというと暖かい方が好きなキャベツを今育てている時期なので、ちょっと影響が出るのではないかと思います」(彦坂さん)

 

サンエース商品本部長の宮下裕基さん

スーパーは「一回り小さいサイズ」販売

 名古屋市千種区のスーパー「サンエース春岡店」。店頭で販売されるキャベツの価格を見てみると――。

「本日『火曜日広告商品』なので、キャベツが1玉180円、税込み価格195円になっています。普段のサイズだとこの価格では販売できない」(サンエース商品本部長 宮下裕基さん)

 手に取ってもらいやすいよう、あえて「一回り小さいサイズ」を仕入れて販売。

「通常サイズのキャベツは、今だと300円前後、高いところだと500円前後のスーパーも。小さいサイズは価格の面もありますが、使い切れる、ゴミにならないサイズというのもあると思います」(宮下さん)

「気候が落ち着いたら出荷量や価格も落ち着く」と言われながらも、今年は特に気候変動の影響が大きく、野菜の高騰が長引きます。

「日常使いするものは、徐々に上がっている感じもするし、たまに見る野菜は一気に高くなった感じがする」(買い物客)
「最近はニンンジンやタマネギがお買得なのでそれを買いだめして、使い回しがきく根菜類などを買ってとっておくとか」(買い物客)

 

例年に比べてお値打ちという炒め物野菜

キャベツに代わって人気の野菜は

 一方で、需要が増えているのが――。

「千切りキャベツが大変好評いただいています。売り上げが110%から120%くらい伸びている」(宮下さん)

 価格が安定し、時短にもなることから、カット野菜を買う人が増えているといいます。

 また急激に気温が下がったことで、鍋料理などに使う野菜の売れ行きが好調だといいます。

「白菜。去年が大変高くて、こちら4分の1サイズで200円前後だった。今年は150円前後で販売できているので、お買い求めやすくなっているかなと思います。キャベツは夏の猛暑で苗が弱まってしまった。その兼ね合いで、冬の価格は厳しいという声も正直でています。いまは白菜・ネギ・キノコ類などを中心に買ってもらえれば。炒め物商材が比較的に例年と比べてお値打ちなので、ナスやピーマンも使っていただけたらと思います」(宮下さん)

 

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