お餅の窒息事故は正月三が日に集中 高齢者と子ども「丸くつるっとした」食品も要注意
2024年12月30日 15:04
年末年始、食べることが多くなる「お餅」。のどに詰まらせて窒息する事故の報告が、この時期に相次ぐといいます。「万が一」に備え、どのようなことに注意すればいいのでしょうか。
名古屋市千種区で、地元の商店街による年末の恒例行事「餅つき大会」がありました。
夢中で餅をほおばる子どもたちですが、保護者の中には、そんな子どもの姿に注意を払う人も――。
「目を離すと何があるかわからないので、餅は大人がいるところで食べさせ、小さく切るなど、やれることはやっています」(保護者)
餅による高齢者の死亡事故は正月三が日が多い
高齢者の死亡事故は1月に集中
餅を食べる機会が増える、この時期。
気をつけたいのは、餅をのどに詰まらせる窒息事故です。
消費者庁によりますと、餅による高齢者の死亡事故は1月に集中し、特に正月三が日が多くなっています。
名古屋市内の高齢者施設では――。
「つきたてのあんころ餅とか、おいしい」(84歳)
「(餅は)詰まったり、食べにくくないように、ちょっと切ってから食べる」(83歳)
お年寄りのみなさんも大好きな餅ですが、この施設では餅の提供を控えているといいます。
「総入れ歯」「むせやすい人」はリスクが高い
「白玉」で代用するケースも
「餅は粘り気があったり、のどに引っかかりやすかったりと、大きいまま飲み込んだ時に詰まりやすいのはあるかなと思う」(らもーれ天白医療モール 吉田竜也 施設長)
吉田さんによると、噛む力が弱くなる「総入れ歯」の人や、お茶などを飲んだ時にむせることがある人は、餅をのどに詰まらせるリスクがあるといいます。
施設では、餅の代用品も――。
「白玉で代用するケースもある。少し小さくすることはもちろんだが、なるべく粘度が少ないものを選ぶといい」(吉田施設長)
食べる力が発達途中の子どもも注意が必要
子どもも注意が必要
気をつけなくてはいけないのは、高齢者だけではありません。
噛む、飲み込むなどの食べる力が発達途中の子どもは、餅だけでなく、うずらの卵やこんにゃくなど「丸くてつるっとしているもの」にも注意が必要です。
「のどの幅が小さい、よくかめないので、(食べ物を)飲んだ時に、のどで詰まってしまい窒息する可能性もあるので、一口サイズに切って、食材の大きさで工夫した方がいいと思う」(調理を担当する武島由梨さん)
食べ物をのどに詰まらせた時の対応(三輪田俊介医師による)
のどに詰まった時…症状別の対応
もし、餅などの食べ物をのどに詰まらせてしまった場合、周りの人はどう対応すればいいのでしょうか。三輪田俊介医師に聞きました。
詰まらせたときの症状によって、対応も異なるそうです。
まずは苦しそうにしながらも「咳が出る」「声が出る」場合。気道が完全には詰まっていない場合にあたり、「咳をそのまま促し続けて異物を吐き出させる」こと。異物が出てくるまで咳を続けさせることが大切です。
続いて「咳や声が出ない」「激しいパニック状態」「唇や顔が青紫色になっている」場合は、背中を強くたたいて吐き出させましょう。
さらに、呼吸音がない、意識がない場合は、速やかに心肺蘇生を行ってください。
そして、これらに関わる注意点です。
まずは「のどに指を入れない」こと。異物をさらに奥に押し込んでしまう可能性があります。
次に「無理に飲み込ませようとしない」こと。水やお茶を飲ませると、異物がさらに詰まる危険があります。
そして、ためらわずに救急車を呼んでください。