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名古屋テレビ 放送番組審議会だより

このページは「放送法」および「放送法施行規則」に基づき名古屋テレビ放送の放送番組審議会の議事の概要をお知らせするページです。
名古屋テレビ放送の放送番組審議会委員は8名で、会議は毎月1回、年間10回(8月と12月は休会)開催されます。放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
名古屋テレビ放送では、放送番組審議会でのご意見を、毎月第1日曜日の午前5時00分から放送する「メ~テレオンブズ」の中でもご紹介しています。どうぞご覧ください。

<2017年9月分>

第587回 名古屋テレビ放送番組審議会

開催日
平成29年9月12日(火) 15:30~17:00
参加者
(敬称略)
  • 委員長:安村仁志
  • 副委員長:小川明子
  • 委員:山口眞里、丹羽慎治、田中彩子、中 裕史、大竹敏之、裵 貞嬉

議事の概要

(1)業務報告

  • 社長挨拶

(2)審議テーマ

  • 『テレビは何故つまらなくなったのか~メディアとしての存在価値を問い直す~』
     (テレビ朝日系列 放送番組審議会委員代表者会議 議題)
  • その他

委員の主な意見です。

  • いつでも好きなものが見られるインターネットの誕生で、地上波テレビのタイムラインが相対的につまらなく見えるようになったのではないか。YouTubeやAmazonプライムと見比べると、テレビ番組欄は自分にとって関心のない番組であふれているように見えてしまう。あらゆる層をターゲットにした総合編成に、つまらないという感覚が生まれるのは、ネットとの相対的感覚かもしれない。
  • 総世帯視聴率(HUT)の低下は、まさにテレビが見られなくなった証だが、「つまらなくなった」とイコールではない。ネットやSNSなどテレビ以外の時間消費手段の増加と多様化、BS・CSなど多チャンネル化に伴う業界内の競争激化が原因として考えられる。
    加えて、大画面化や4K・8Kなど画質の高精細化が進んでいるにもかかわらず、それを活かした番組づくりが行われていないことも一因ではないだろうか。
  • 最近のテレビ番組は質の低下が感じられる。各局似たり寄ったりで、局としてのプライドが感じ取れないことが多い。多くの番組が大げさで騒がしい。見応えがあり、インタレストをかきたてられる番組が少なくなった。
  • バラエティーやクイズにグルメや旅もの、また外国人と日本(日本人と外国)など、どのチャンネルを見ても似たような企画の番組が多い。アイドルが主役の学芸会的ドラマや、大半の番組が芸人頼みであるなど、テレビ全体に個性の乏しい、安直とも言える番組が氾濫している。
  • “お茶の間での家族団らん”ではない時代なのに、あらゆる年齢層を対象にした総花的な番組制作が多く、メッセージ性を感じさせる番組が少ない。「どういう人達をターゲットにしてテレビを見てもらうのか?」という、もっと視聴者層を絞り込だ番組作りをすべきではないか。
  • テレビの制作現場が、ネット批判を意識しすぎなのではないか。周縁の声を聴くことは大切だが、一方であまりにも左右されてしまうと、当たり障りのない、何が言いたいのかわからない番組ばかりになってしまうのではないか。
  • また「公平性」「中立」「正しさ」もあまり過度にとらえると、どっちつかずで訳がわからない内容になりがちだ。配慮も、しすぎると何のメッセージも発せられなくなってしまう。
  • スポンサー各社もコスト意識が高まる中で、費用対効果の観点から、どうしても番組内容よりある程度視聴率が取れるかどうかを重視する。また最近はSNSでの炎上リスクを警戒し、個性的で主張の強い番組への提供を回避する傾向も強まっている。これも一因だろう。
  • 視聴率の高い番組が自分にとって面白い番組とは限らない。また、自分にとって面白い番組でも、誰しもがそう思うわけではない。世代や男女によっても嗜好は違う。そもそも“家族仲良くテレビを囲んで一家団欒”という時代ではなくなった。こうしたなかで、「面白い番組とは何か」に対して普遍的な答を求めること自体が間違っているのではないか。
  • これからも発展し続けるであろうIT技術をもっと応用・利用してはどうか。大画面を活かして番組関連情報を常に分割表示することにより、ネット検索の手間を省くなど、ネットとの融合ではなく、逆にネットの要素をテレビ側に取り込む。ネットに縁遠い高齢者層にはありがたいのではないだろうか。
  • 「テレビは何故つまらなくなったのか」についての議論はほぼ出尽くしているのではないか。いま世の中で起こっている構造変化による悪循環は、テレビ業界だけではなくあらゆる業界が直面し、そのスピードについて行けなくなっている。しかし、いつの時代も変化の中で人の心を掴んだ新しいものが生まれ、再編し浮上するものが出て来る。そう悲観することはないと思う。
  • 現在のテレビを取り巻く状況は、相対的な優先順位が落ちているだけで、テレビそのものがもはや必要ないとか、魅力がないというわけでは決してない。毎週楽しみにしていて、見るに値する番組もたくさんある。テレビに関わる人はまずそこに目を向けるべきだと思う。そこには魅力あるコンテンツ作りのヒントが数多く隠されているはずだ。
  • これからのテレビは、端的に、そして徹底的に「テレビにしかできないこと」を考え、創り出してゆくしかない。メディア人としてのプロフェッショナル性を追求し、学びと自己研鑽が必要だ。文化状況に流されるのではなく、文化を創造してゆく気概が必要だ。

(3)次回開催予定

開催日時:2017年10月10日(火)午後3時30分~