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名古屋テレビ 放送番組審議会だより

このページは「放送法」および「放送法施行規則」に基づき名古屋テレビ放送の放送番組審議会の議事の概要をお知らせするページです。
名古屋テレビ放送の放送番組審議会委員は8名で、会議は毎月1回、年間10回開催予定です。放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
名古屋テレビ放送では、放送番組審議会でのご意見を、毎月第1日曜日の午前5時00分から放送する「メ~テレオンブズ」の中でもご紹介しています。どうぞご覧ください。

<2021年4月分>

第623回 名古屋テレビ放送番組審議会

開催日
2021年4月13日(火)16:00~17:40
参加者
(敬称略)
  • 委員長:五藤義徳
  • 副委員長:村田陽子
  • 委員:神田真秋、長山智香子、伊藤久德、野々上いり子、奥田太郎、照屋エイジ

議事の概要

(1)業務報告

  • 社長挨拶
  • 2020年度下期 放送番組の種別ごとの放送時間報告
  • 2020年度視聴率報告
  • 2021年4月改編情報、基本番組表に基づく放送番組の種別報告

(2)審議テーマ

  • 『メ~テレドキュメント「復館~シネマとコロナ~」』(3月28日(日) 深夜1:25~3:00放送)
  • その他

委員の主な意見です。

  • ミニシアターに限らず、劇場、ライブハウスなどの文化が、コロナに翻弄されて疲弊して行く様子や、そういった文化が危機に瀕しているということが非常に実感として伝わってきた。
  • 東京と地方、メジャーとインディーズ、大手シネコンとミニシアターなど、構造的格差の問題があったところに、コロナ禍が直撃した。マイノリティーが集まるような面白い場所が危機に直面している。文化の多様性が失われようとしていることに対して、支配人がどう対応しているのかを描くことが、根本的な裏テーマだったはずだが、まだ描き切れていない。
  • 放送で1回見て、番組の全体像や何が言いたいのかがわかりやすい作り方もあるが、一方で、何回か見ていくうちにわかってくるといった複雑な作り方もあると思う。今回のドキュメンタリーは、いろいろなテーマやインタビューが混ざっていて、作り手自身もその全貌が見えないなかでロケをしていたのではないか。番組を複数回見るという視聴方法なら、ある意味、作品として成功していると思う。
  • 東京対名古屋、名古屋とさらに地方都市と言う構図がある。東京一極集中でどんどん東京にお金も人も集まる。そして文化も集まる。東京だけが華やかになりどんどん地方、名古屋も吸い上げられている側になってしまう。地方の文化や古き良きものが淘汰される、その代表的、象徴的な存在がシネマスコーレであるんだという印象を強く受けた。「対比」が隠れたテーマだと思う。
  • 番組の論点がちょっと分かりにくかった。時系列でシーンを並べ、ナレーションを少なくして、できるだけ説明を少なくする。観察映画スタイルのように、取材しているディレクターが時々質問するといった番組制作の手法は感じられたが、なにを一番言いたかったのか、よくわからなかった。
  • 文化は公共のものであるが、商業的な原理で作られるようになると多様性が担保できなくなる。ミニシアターが苦労している背景には、文化の公共性という論点があるが、番組のなかで、うまく伝えられていない。
  • コロナ禍の中で苦労している人に、それを乗り越える勇気を与える。応援してエールを送るという意味においても、とてもタイムリーな企画であり、評価したい。
  • コロナで苦しんでいる様々な社会の断層をつぶさに映し出して厳しい現実を伝え、記録する。あるいは、ミニシアターが果たしている文化的な意義、それを運営する人々の生きざま、文化を守っていくためには何か必要で、どういう課題があるのかということもテーマの一つだと思う。登場人物の生き方が、何と言っても面白かった。個性的で魅力的な人物像そのものが、この番組の根本にあるコアな部分だろう。
  • コロナの状況は、将来学校の教科書にも載るくらい重大事だと思う。その状況下で、人々が何を考えて、どう工夫して過ごしていたかということを描いた映像で、とても貴重な資料だ。ミニシアターがどういう試練に直面し、登場人物がどのように頑張って乗り越えたのか。それを記録した番組はとても大切な仕事だと思った。
  • コロナは、身体だけではなくて、気持ちもむしばむ。公の文書には記録に残りにくいと思われるが、だからこそ、こういう映像で記録しておくべき課題と思った。
  • ミニシアターに関心のある人、ある程度その実情がわかっている方を視聴者として想定していると思うが、一般の視聴者のことを考えると、もう少しナレーションなどの説明があるとわかりやすい。登場人物の印象的なインタビューはドキュメンタリーの醍醐味だと思うが、誰を一番取り上げたかったのか、わかりにくかった。
  • 企画書では主人公は明らかに副支配人という印象を受けたが、番組では主人公は支配人であると思った。副支配人は尖った才能があって、そこに着目してドキュメンタリー制作の動機付けになったのであろうが、企画段階から番組制作に至る過程のなかで、なぜ、どのように変わっていったのか、お聞きしたい。

局側は

  • コロナ禍のなかで取材を始めて、着地点が見えないなかで模索しながら取材を進めた。企画書と出来上がった番組で印象が異なるのは、そういった取材プロセスが背景にある。
  • 映画館で上映することも意識して番組を制作した。コロナ禍で直面しているミニシアターを描きつつ、自主映画の監督がチケットを手売りするといった情緒的なシーンも描きたかった。ナレーションをできるだけ入れず、情報を詰め込まないようにして、視聴者の感性に委ねようという考えで制作したが、結果的に説明不足になった。今後に活かしたい。
  • 番組の主人公は、シネマスコーレを作りインディーズの映画を地方から発信しようとした若松孝二監督だったと思う。ミニシアター、シネマスコーレは、コロナ禍の社会のもとで、文化の多様性を維持する象徴ではないかと感じている。

などと答えました。

(3)次回開催予定

開催日時:2021年5月11日(火)16時~