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名古屋テレビ 放送番組審議会だより

このページは「放送法」および「放送法施行規則」に基づき名古屋テレビ放送の放送番組審議会の議事の概要をお知らせするページです。
名古屋テレビ放送の放送番組審議会委員は8名で、会議は毎月1回、年間10回開催予定です。放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
名古屋テレビ放送では、放送番組審議会でのご意見を、毎月第1日曜日の午前5時00分から放送する「メ~テレオンブズ」の中でもご紹介しています。どうぞご覧ください。

<2021年6月分>

第625回 名古屋テレビ放送番組審議会

開催日
2021年6月14日(月)
新型コロナウイルス感染症拡大の現況を踏まえ、感染防止の観点から書面により審議する形式で開催した。
参加者
(敬称略)
  • 委員長:五藤義徳
  • 副委員長:村田陽子
  • 委員:神田真秋、長山智香子、伊藤久德、野々上いり子、奥田太郎、照屋エイジ

議事の概要

(1)業務報告

  • 社長挨拶

(2)審議テーマ

  • ドラマ『ワンモア』(4月5日から5月17日まで全7話、毎週月曜深夜0時15分~0時48分)
    全7話のうち第1話、第2話、第5話を審議番組とした。
  • その他

委員の主な意見です。

  • 「大人が勉強して何が悪い!」というセンテンスは、強いメッセージ性があり、また意表を突く面白い表現で、秀逸と思う。 定時制高校は、働きながら学校に通う人よりも、家庭の事情や不登校などで全日制に通えない人たちが多くなっているのが現状だ。彼女との交流を軸にコミュニケーションを回復していく引きこもりの風間翔役は、まさに定時制を舞台とした本ドラマに最も相応しい中心的な存在としてとらえることができると思う。
  • ドラマの中心テーマとして「年齢に関係なく学ぶことの意味、クラスの絆」を感じる。現役の全日制高校生との対比の中で、「大人が勉強して何が悪い」のセリフには、様々な理由で高校に行けず苦労を重ねてきた人が、大人になって定時制高校に通う想いが強烈に響く。
    また、ドラマでは、定時制高校への偏見に一石を投じるとともに、何不自由なく学校に通う高校生に対し「君たちこそ親に甘えている」という逆のメッセージを上手く伝えている。
  • 定時制高校が舞台でヒューマンドラマ的な要素もあり、大人の学園ドラマとして深みのある作品になっていた。みんなが一つになって運動会を作りあげるという内容は学園ドラマの王道であり、最初はお互い関わることを好んでいなかった生徒達が、一緒に何かをやり遂げる事で前向きに考えるようになり、達成感へとつながっていた。コロナ禍で、運動会や文化祭などみんなで一緒に何かに取り組むことが減っている今、このような行事の意義や人との交流の大切さをあらためて感じた。
  • 学校で出会うまで見知らぬ他人だった全く異なる背景を持つ人物を、A.B.C-Zが好演していた。テレビの連続ドラマというよりも映画作品のようで、鑑賞に耐える質の高い画像だったと思う。大切な人の死や失われた過去の時間、死・喪失によって作られる今とのフィードバックが繰り返されている。犯罪スレスレの悪戯を仕掛け陥れようとする三人組が、虚無感に満ちた日本の日常を表すとするなら、この教室はすでに失われてしまった理想や夢を再現する場所となっている。テレビドラマには珍しい抽象的なテーマに取り組んだ意欲は、高く評価したい。
  • 2019年制作のA.B.C-Zドラマを劇場公開した際の舞台挨拶で、メンバーのひとりから「次回は学園ドラマがやりたい」というコメントがあり、それがきっかけとなって今回の企画になったとHPにあった。このエピソードを知れば、もっとこのドラマが面白くなると思った。コンテンツ事業を成功させるには、コンテンツ自体を充実させることはもちろんだが、それ以上に告知の手段や方法、あるいは他との連携、協働などが重要になってくると思う。
  • オムニバス形式の作品だが、全7話を通して構成に工夫が凝らされていた。背景の異なる人物が、ドラマの中でどのように結び付いていくのか、お互いにどのようなやり取りをすることになるのか、そもそも彼らは何者なのか。流れていくテンポの中でほんの少しずつ背景が明らかとなり、そして最後には舞台となる学校に収束する構成には、伏線を回収された時のような爽快感を覚えた。
  • それぞれのキャラクターに魅力があって、娯楽作品としてはよくできていると感じたが、パロディ的なものを見せられている感じは否めなかった。現在の定時制学校の実情を調べたのかどうか、気になった。2021年の定時制を描く際に、「大人が青春をして何が悪い!」が軸になるのがふさわしいのかどうか。物語の舞台にするために単なるネタとして使う、というスタイルは少し古いのではないか。特定の時代に特定のテーマを扱うことの意味について、もう少し考えてほしいと感じた。
  • 印象的であっても、今ひとつ胸に迫らないシーンがあった。作品全体に共通する難しい点だが、伝えたいこと、大切なことがセリフで語られているように思う。分かりやすさを重視するため、あえてセリフということばで表現しているのかもしれない。しかし、やはりことばで語られるだけでは、頭では理解できてもよほど似たような経験をしていないと腑に落ちにくい。テレビにとって映像は武器で、作り手は諦めずに武器を駆使して、登場人物の思いを切り取るという場面を見せてほしい。
  • 企画資料にある「3月より先行有料配信」には、どのような目論見があったのか。また、有料配信の成果はどのようなものであったか。ドラマの放送開始までに、『ドデスカ!』や『アップ!』でどれくらい番宣をされたのか。地方局がジャニーズと組む例はどれほどあるのか。ドラマの存在をより多くの人に届けるための取組みについてお伺いしたい。

局側は

  • ドラマ『ワンモア』は、製作着手の前提として、テレビ広告収入だけに依存しない、マルチユースで収益を上げることを目標に企画・製作し、メ~テレドラマファン、アイドルのファンを裏切らない質の高いドラマを目指した。収益の柱は「配信」、「Blu-ray・DVD販売」に置き、地域とともに全国もターゲットに設定した。4月からメ~テレで地上波放送し、その後TVer、Amazonでの見逃し配信を行い、今秋にはDVDの発売を予定している。
  • 「定時制高校」を舞台にすることは、前作『ぼくらのショウタイム』の完成披露イベントの舞台上で、メンバーが「学園ドラマをやりたい」との言葉に発したことがきっかけだった。この経緯については、当時『デルサタ』『ドデスカ!』の中で何度も紹介した。出演者は、30代になってその実力を広く知られ、チャンスを掴み取ったグループで、大人になってからリスタートする姿を、登場人物にも反映し、物語を描きたいと考えた。
  • 「先行有料配信」の目的は、コンテンツの認知度アップと収益化である。全国で先行配信をしたが、メ~テレの地上波放送スタートに合わせて、『ドデスカ!』と『アップ!』に出演者A.B.C-Zメンバーが生出演したが、全国にコンテンツを認知してもらうことは課題である。今回はSNS広告や東京主要駅構内のサイネージでのPR動画掲出など、積極的にPRを試みたので、その結果を踏まえて、今後より多くの方々に届ける方法を模索していきたい。

などと答えました。

(3)次回開催予定

開催日時:2021年7月13日(火)16時~