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名古屋テレビ 放送番組審議会だより

このページは「放送法」および「放送法施行規則」に基づき名古屋テレビ放送の放送番組審議会の議事の概要をお知らせするページです。
名古屋テレビ放送の放送番組審議会委員は8名で、会議は毎月1回、年間10回開催予定です。放送番組の内容をはじめ、放送に関する全般的な問題についてご意見を伺い、番組制作の参考にさせていただいております。
名古屋テレビ放送では、放送番組審議会でのご意見を、毎月第1日曜日の午前5時00分から放送する「メ~テレオンブズ」の中でもご紹介しています。どうぞご覧ください。

<2021年7月分>

第626回 名古屋テレビ放送番組審議会

開催日
7月13日(火)16:00~17:40
参加者
(敬称略)
  • 委員長:五藤義徳
  • 副委員長:村田陽子
  • 委員:伊藤久德、野々上いり子、奥田太郎
参加者(リポート)
(敬称略)
  • 委員:神田真秋、長山智香子、照屋エイジ

議事の概要

(1)業務報告

  • 社長挨拶
  • その他

(2)審議テーマ

  • 『メ~テレドキュメント 民意 偽造』(5月29日(土)深夜3:35~4:40放送)
  • その他

委員の主な意見です。

  • 偽造署名で自分の名前を使われた人に対するインタビューが、何よりも印象に残った。自分が知らないところで勝手に名前が利用されて拇印まで残されているという気持ち悪さが、映像で活写された場面だったと思う。民主主義の根幹を揺るがす事件を、遠くの話ではなくて、身近なできごととしてうまく表現していた。
    集計作業の箱に書かれていた「完成品(予備)」という文字の意味は何か、質問を突きつけられたときの事務局長の表情や言葉には、臨場感があった。視聴者が、その現場に立ち会っているような気持ちになるのではないかと思った。
  • 詳しい事件の内容が明らかになっていない段階で、今後の捜査や選挙にも絡む可能性があり、極めて難しいテーマだったと思う。ひたすら事実を追って、映像やインタビューを積み重ねて行くという番組の制作手法には、制作者の努力、執念を感じた。
    地元以外では、愛知県内の政治家同士の対立、著名人が起こしたリコールという図式で報じられていた面もある。リコール制度のあり方など、根本的な問題にもっと焦点をあてた報道があっても良いのではないか。
    記者が事務局長に対して質問する最後のシーンは、最大の核心に迫る問いかけになっていて表情と言葉に本人の思いが表れていた。
  • リコールを進める団体の会員が、署名集めの手法に問題があることに自ら気づいていくことが映像化されていた。署名偽造の方法自体は非常に陳腐であることをうまく描きだしていて、事務局長、市長、呼びかけた著名人の人物像とともに、視聴後になんとも言えない奇妙な後味を残す作品になっていた。
    あいちトリエンナーレの展示のシーンは簡潔に構成されていたが、リコールを進める立場の人たちが主張している展示物が主に使われていた。主張を補強することになったのではないかと、ちょっと気になった。
  • 番組の最大の目的は、なぜこうした署名偽造に至ったのか、その背景を明らかにすることだと思うが、かなり良いところまで迫ったと思うが、最後までちょっと疑問が残った。
    偽造して逮捕に至るまでの事務局長の心境の変化や、選挙のために支援が欲しかったという動機はわかったが、大規模な偽造をした本当の理由ははっきりわからなかった。事務局長が密着取材を受けいれたということは、もっと語りたいことがあったのではないかと思う。
  • 番組の最後に、車中で記者の質問に事務局長が答えるシーンがあったが、たいへん印象的だった。事務局長に振り回されたこのリコール運動は、誰も幸せにしていないし、何も生んでいない。番組では民意の大切さとともに、虚しさが伝わってきた。同時に、政界への進出を目的のひとつとして署名を偽造した事務局長の姿がこの国の縮図だとするならば、空恐ろしいことだという気持ちにもなった。ドキュメンタリーのなかで伝えようとしたが、伝えきれなかったことがあればお聞きしたい。
  • 密着取材によって、たくさんの機微に触れる映像を撮影することができて、多くのことが明らかになってきたように思う。一方で、過度な密着取材の功罪はやはり考えてみる必要がある。一般論として言えば、取材対象者に近づきすぎたゆえに、感情移入が過ぎるケースがあったり、何を伝えるべきかという点がおろそかになったりすることもありうる。こうした取材の在り方について、局内で議論があったのかどうか、どのように判断したかについてお聞きしたい。
    また、事件の発端となった、表現の自由と公的施設の利用のあり方、行政が実施する美術展の役割などの点は、未検討のままである。こうした意見が厳しく対立する点についても取り組んでほしい。署名偽造に目を奪われて、論ずべき本質を見失うことがあってはならないと思う。
  • 署名偽造という異例の事件について、証拠・証言と分析を映像で残した貴重な番組であると思う。主要人物や期せずして巻き込まれてしまった人々の顔と声を加えることで、新聞などの文字情報では得られなかった新しい視点や理解を提供できている。
  • 事務局長らを糾弾するような形ではなく、事実を提示したうえで、事件の関係者の誰にどのような問題があったのか、視聴者に問いかけて、視聴者自身に考えるきっかけを与えるような内容になっていた。事実を虚心坦懐に確認していくという大筋の構成には、好印象を抱いた。
    事件の補助線となる概念やキーワードについては、テロップや字幕で視覚的に情報を摂取できるような工夫があると、なお良かったように思う。

局側は

  • 事務局長がキーパーソンであったが、取材内容の裏づけ確認などは非常に難しかった。密着することで発言の変遷を確認することにより、事件の背景や全体の構造などを描けるのではないかと考え番組化を判断した。取材対象との距離と多角的な取材に心がけた。
  • リコール運動の中心人物の著名人、市長の関与や責任については、番組で伝えきれなかった。今回は、署名偽造という点にフォーカスしたので、これから取材を広げていきたい。
  • 番組のテーマは直接的には署名偽造を明らかにすることだが、もうひとつは、政治家を目指すひとりの人間の人物像を描くことだった。

などと答えました。

(3)次回開催予定

開催日時:2021年9月14日(火)16時~