介護業界への熱い思い、甲子園で叫ぶ! 全国8800事業所の頂点めざす「介護甲子園」に迫る

2023年11月29日 19:10
38年ぶりの“日本一”に輝いた阪神タイガース。本拠地の甲子園球場は熱気に包まれました。あれから2カ月あまり、甲子園では再び熱い戦いが繰り広げられました。

今年で12回目の「介護甲子園」

 日頃の取り組みや、仕事に対する情熱をアピールして介護業界の“日本一”を決める「介護甲子園」。

 全国8800を超える中から、予選を勝ち上がった事業所が決勝大会へ。そこには、岐阜県土岐市の施設「ドリーム陶都」の姿もありました。

 介護の必要性の高い高齢者が入居する「特別養護老人ホーム」や、自立生活に対して不安な高齢者をサポートする「ケアハウス」など、「ドリーム陶都」では58歳~100歳までの、合わせて130人ほどが生活しています。
 

入所者の介護にあたる各務竜也さん(35)

いつもニコニコ 些細なことが“報酬”
 各務竜也さん(35)は、介護福祉士として、食事や入浴・おむつ交換などをサポートしています

「自分も利用者様も苦痛に感じないように、どれだけ丁寧に行えるかっていうのはやっぱり、技術になってくるかな。いつもニコニコして迎えて下さったりとか、部屋を離れる時に手を振ってくれるとか、そういった些細な部分でも、我々にとっては、報酬かなっていう」(各務竜也さん)

 特徴的なのは、敷地の中に作られた「農園」。高齢者も参加して、野菜や果物を作っています。

 さらに、施設の中には、淡い青色の卵を産むニワトリ「アローカナ」を飼育していて、施設で磨かれた卵は、ふるさと納税や道の駅などに出品されています。

「要介護高齢者と農業というところを連携させて、リハビリ効果にもつなげることができる。とれた農産物であったり、卵を地域で販売させてもらいまして、社会参加につながっています」(各務竜也さん)

 敷地には保育園もあり、子どもたちとのふれあいもあります。

「小さな子がほんと、みんながわ~って寄ってきてくれるでね。ほんとうれしいです」(「ドリーム陶都」の入居者)
 

人で不足の介護業界 2040年度には69万人に

介護業界は人出不足 若い人材の確保が課題
 こうした取り組みについて、介護甲子園の決勝で紹介します。

「本番が甲子園球場ですので、当日でも声が通るように(練習しています)。こういう取り組みをしてる面白い施設があるよっていうのをまず知って頂けたらいいかな。ずっと続いてきてしまった(介護業界の)マイナスイメージというところの転換期を早く迎えることができればいいかなと」(各務竜也さん)

 12回目の開催となる介護甲子園。その「狙い」を、主催者はこう説明します。

「1つは今介護人材不足と言われておりますので、その介護人材不足を解消したいという思いがあります」( 日本介護協会 平栗潤一理事長) 

 介護業界の人手不足は、2025年度には32万人、2040年度には倍以上の69万人にのぼると試算されています。

 さらに、若い人材の確保も課題です。介護業界で働く人の平均年齢は50歳で、30歳未満は6.9%にとどまってます。

「すごく大変ですし、理不尽なことも多いですし、とても好待遇とは言えない業界かもしれませんが、私は得られるものが非常に大きいと思うので、介護の仕事の魅力をもっと皆さん気付いて頂いて、介護の仕事やってみたいなと思える方が、増える業界になればいいなと思っています」(平栗理事長)
 

本番1週間前 練習にも熱が入る

本番を1週間後に控え猛練習
 再び、岐阜県土岐市の施設「ドリーム陶都」。介護甲子園の決勝が1週間後に迫った11月14日は、日本介護協会の理事も練習にかけつけました。

「直立不動でマイクの前でしゃべってたら、この人すごく緊張してるなっていうイメージしか残らない。練習繰り返すしかないですからね」」(日本介護協会 東海支部長 佐藤洋平さん)

 さわやかな秋晴れとなった決勝大会、当日の11月21日。
 
「実際の球場ってこんなに広いんだな。この広い空間に飲まれないような話というか、発表をしたいと思います」(各務竜也さん)

 

介護への熱い思いを語る各務竜也さん

全国から予選を勝ち抜いた6事業所が“舌戦”
「それでは第12回介護甲子園開催します!」(主催者)

 予選を勝ち抜いたのは、北海道や福岡など6つの事業所。「介護・障がい福祉×〇〇」をテーマに、取り組みや情熱をアピールします。

「介護士の心を介護するそんな介護士がいてもいいんじゃないかと思って、活動を始めていきました」(インフルエンサー はたつん介護士)

「職員とご利用者様ではなくて、人として関わっていくことが大切じゃないかなと思っています」(大阪から参加の「ひばり荘絆館」)

 そして、ついに「ドリーム陶都」の出番です。

「この事業を開始した我々の目的はただ1つ、社会課題の解消です。社会課題、社会的孤立、本来であればこんな言葉をなくしたい」(各務さん)
 
「福祉を中心に、社会が変わるそして、そんな素晴らしい仕事を次世代につないでいこうではありませんか。ご清聴ありがとうございました」(ドリーム陶都のメンバー)
 

「優秀賞」の喜びを分かち合う各務さん

最優秀賞はのがすも大舞台で達成感
 観客と特別審査員による投票で、日本一が決まります。果たして結果は。

「最優秀賞は…ひばり荘絆館のみなさんです」(一般社団法人 日本介護協会 平栗潤一理事長) 

 最優秀賞は、日常の介護に寄り添う姿勢が評価された大阪府の「ひばり荘絆館」でした。惜しくも敗れたドリーム陶都ですが、大舞台での達成感がありました。

「よくいえば最優秀とれればよかったが、やりきった。介護業界に憧れを抱く若い世代が増えたり、こういった前向きな活動が今後介護業界の明るい未来に繋がっていけばいいなと思います」(各務竜也さん)

(11月29日15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ!+』より)
 

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