「女性目線の災害支援」の必要性と課題 能登半島地震から半年

2024年7月1日 19:30
能登半島地震から7月1日で半年です。甚大な被害を受けた被災地の現状とこれからの課題を現地で取材しました。
 6月中旬、能登半島をメ~テレの濱田隼アナウンサーが取材しました。

 「瓦が散乱している、そして割れたままの陶器が残っている。車もこの車もありました。1月1日から半年たっても変わらずあります」(濱田アナ)

 1月に訪れた金沢駅から30分たらずの内灘町も――

 「内灘町では液状化の被害がありました。半年が経ち道路を見ると、ところどころ舗装はされていますが、電柱やブロック塀は傾いたまま残っています」(濱田アナ)

 冬から夏に季節は変わりましたが、被害の跡は今なお色濃く残っています。
 

女性ならではの二―ズへの対応には支援する側の「配慮」が必要

「女性目線の支援」の不足が浮き彫りに
 正月の風景を一変させた能登半島地震。発災直後の避難所では――

 「本当に寒くて、地震もあった中で不安な夜を過ごしました」(避難者)
 「あすをどうするかという考えしかないです」(避難者)

 授乳室の確保や下着、生理用品の問題など今回の地震でも「女性目線の支援」の不足が浮き彫りとなりました。

 今も被災地で支援活動を続けている名古屋のNPO法人は――

 「女性ものの衛生用品や下着は物資のコーナーに男性しかいないと、取りに行けないというのはどうしてもある」(レスキューストックヤード 浜田ゆう事務局長)

 女性ならではの二―ズへの対応には支援する側の「配慮」も必要だと指摘します。
 

愛知県職員 森田遥奈さん

女性の目線で考えた避難所の運営
 志賀町の避難所に3月に派遣された愛知県職員の森田遥奈さん。

 「一番奥に生理用品が置いてある。人があまり通らない場所なので、取る時に誰かに見られることがあまりない場所」(愛知県職員 森田遥奈さん)

 物資のチェックや授乳室の確認など、女性の目線で考えた避難所の運営を担当しました。

 「女性がいるのがうれしいと声をかけてもらったことはあります。生活しているうちにはそういうこと(女性ならではの相談)が出てくると思うので、1人いることで全然違うのかなと思いました」(森田さん)

 特に避難所からは女性職員の派遣を求める声もあるといいますが――

 「女性がもっと増えてもいいのかなとは思います」(森田さん)

 愛知県はこれまで612人の職員を避難所運営などで志賀町に派遣していますが、このうち女性職員は森田さんを含めて57人。1割にも届いていません。

 内閣府によりますと、東海3県の防災・危機管理部局における女性職員の割合は愛知が15.7%、岐阜が9.1%、三重が14.5%。

 災害対策に、女性の目線を取り入れる必要性が指摘される中、女性職員の比率の低さが明らかになった形です。
 

レスキューストックヤードの活動

民間団体による女性への支援
 防災の分野に女性の声を。行政の「変化」が求められる中で能登半島地震では、民間団体による女性への支援が重要な役割を果たしました。

 名古屋市を拠点に活動する「こども女性ネット東海」。

 助産師や保育士などの資格を持つ女性たちを中心に避難所の運営をサポートしました。

 理事の藤岡さんは、災害対策に関わる行政の女性職員の数を単純に増やすだけでなく、女性職員が有事でも動き出せる環境を作り出す必要があるといいます。

 「発災直後に子どもを誰かにみてもらい動くことが難しい環境にある。災害対策の部署に配属された女性の支援がいると思う。いざとなったら子どもを連れてきて、市役所で民間組織が託児をするとか、そこまでしないと難しいかもしれない」(こども女性ネット東海 藤岡喜美子さん)

 女性のニーズをすくい取れずに「的外れ」な支援とならないために今も民間団体、行政、それぞれで試行錯誤の支援が続けられています。

 「被災者は『イチから』じゃなく『ゼロから』と言うことが多くて、これから『生きていく』というところをお手伝いするのに関わっていると思います」(レスキューストックヤード 西井春華さん)
 

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