「圧倒的なスプリント」水泳界の“お祭り男”谷口卓選手、初の五輪へ 平泳ぎの先輩・田中雅美さんが直撃

2024年7月19日 10:43
開幕が来週に迫ったパリオリンピック。東海地方から初の大舞台に挑む、競泳・男子平泳ぎの谷口卓選手。日本の水泳界に現れた“お祭り男”を田中雅美さんが直撃しました。

左:谷口卓選手、右:田中雅美さん

 三重県四日市市出身の谷口選手は、この春、中京大学を卒業した22歳です。

 専門は平泳ぎ。パリオリンピックでは100m平泳ぎと400mメドレーリレーの2種目に出場します。

 そこで今回は、オリンピックに3度出場した平泳ぎの先輩・田中雅美さんが谷口選手を直撃。

谷口卓選手(以下、谷口)「はじめまして。こんにちは」
田中雅美さん(以下、田中)「平泳ぎをやっていました。田中雅美と申します」
 

大学時代にスランプを経験した谷口卓選手

大学でスランプ、水泳人生の岐路に
 短距離を得意とし、追い上げタイプの谷口選手。

 前半50mは、水をかくストローク数を16回にとどめ後半勝負。残り50mは24回。極端にペースが上がります。

田中「あんなにストロークのテンポを、変えられるってなかなか無い。違う選手が泳いでいる感覚で見ていました」
谷口「僕は50mが今、日本で1番速いんですけど、圧倒的なスプリント力があるからこそ、周りの選手よりも楽に前半は入れると考えて、後半に差しきります」
田中「ストロークとキックの幅も、抵抗の少ない動きをしていると感じます」
谷口「プル(水かき)とキックに頼らない泳ぎというのをやっていて、プルメインだと最後に腕がバテますし、効率の良い泳ぎをずっとやっていました」
田中「パワーと共に繊細なテクニックをお持ちだなって感じました」
谷口「テクニックは中京大学に来て、つけてもらいました」

 中学チャンピオンに輝いた実績を持つ谷口選手。高校時代もインターハイで優勝するなど、世代のトップを走ってきました。

 ところが、大学でスランプに。水泳人生の岐路に立たされました。

谷口「大学1年目から3年目まではパワー系になっていて、テクニックが落ちていたというのは、あるかもしれないです」
田中「その時は、水泳に対してどうでしたか?」
谷口「もう辞めなきゃなと思っていて…もうこれが精一杯って感じでした」
田中「そこから、ここまで復活できたきっかけは?」
谷口「高橋先生のご指導が、僕の人生を変えてくれました」
 

笑顔をみせる谷口卓選手

意識が変わった恩師の教え
 ロサンゼルスオリンピックやソウルオリンピックで活躍した中京大学水泳部部長・ 高橋繁浩さん。

 恩師の教えによって、水泳への意識が変わりました。

谷口「けっこう座学もしましたね。うまい人の泳ぎを文章で教えてもらったり、座学をして、それを水の中で試すという」
田中「頭で理解して体現していくという作業をしたんですね」
谷口「本当にゼロから全部崩してからやりました。すっげえデカい存在の人なんですけど、対等に話してくれるというか。無料で教えてもらっているのが申し訳ない。金を払った方がいいと思うぐらい」

田中「先生にとってどんな選手ですか?」

中京大学水泳部部長・高橋繁浩さん「本当に前向きです。前向きなのと、僕が彼とやりとりした内容を後輩に教えてあげたり、周りのことをすごく考えてくれている。言っちゃ悪いけど、見た目と全然違う」

  そしてもう一人、谷口選手が大きな影響をうけたのが、平泳ぎのレジェンド北島康介さん。

谷口「北島康介さん北京五輪決勝のレースは、1000回以上見ていますね。僕が理想とする、パワーではなく、少ないストロークで前半入って、後半も急ぎすぎず慌てすぎず、泳ぎきるという、究極の平泳ぎ」
田中「交流はあるんですよね。北島さんと」
谷口「はい、少しだけ。細かくアドバイスをもらいました」
田中「そのアドバイスは生きました?」
谷口「北島さんからアドバイスをもらったという、心境面の方が大きかったです。あの北島さんにアドバイスをもらって、負けられないなと」
 

初のオリンピックに臨む谷口卓選手

多彩な趣味、大のドラゴンズファン
 そんな谷口選手、趣味も多彩で釣りやサーフィンが大好き!

谷口「釣り…朝練習の前、日の出ぐらいに行って、朝練習の時間に戻って」
田中「え?」
谷口「朝練が終わったら、また釣りに行って、また午後練習に行って」
田中「ええっ!?」

 さらに、こんな趣味も――
谷口「最近だと、カリステ推し。ビシエド、大島とか、そのメンツが出ると、盛り上がりが違うっす」

 実は子供の頃から大のドラゴンズファン。

谷口「よく球場に見に行っていましたね。2年前は。去年も2~3試合、見に行ってどっちも勝ったんですけども奇跡ですね。どんなに負けていても見ちゃいます。『もう見ねぇ!』と思うんですけど、気づけば見ちゃっているんで」

 同じく野球好きの雅美さん。日本ハムの大ファンで、過去に始球式を務めたことがあります。

谷口「どうやったら始球式に呼んでもらえますか?」
田中「『野球が大好き』『ドラゴンズが大好き』というのを発信し続けて、関係者の目に留まったら『おっ!?』ってなると思います。私もずっとピッチング練習をSNSで発信してたんですよ。2年ぐらい」
谷口「2年ぐらい!? 投球動画を毎日あげますよ」
田中「それやめてください。田中が変なことを言ったみたいになっちゃう。オリンピックが終わってからにしてね」

 来週に迫ったパリオリンピック。水泳界のお祭り男がいよいよベールを脱ぎます。

田中「世界的に言うと、平泳ぎは本当に進化していると思うんですけど、気になる選手はいますか?」
谷口「いないですね。去年までは、めちゃめちゃ気にしていましたけどね」
田中「今、思いました。大谷さんの『憧れるのをやめましょう』、そのイズムには入っている。もう行くしかない」
谷口「とにかく決勝に進まないと。決勝とベスト更新ですね」

 (7月18日放送 メ~テレ『ドデスカ+』「じもスポ!」コーナーより)
 

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