15の市町村含む6千平方キロの広大な選挙区で自民、立憲候補が一騎打ち 岐阜4区

2024年10月22日 20:54
岐阜県で一番の激戦区と言われ、愛知県や三重県よりも面積が広い岐阜4区で一騎打ちの戦いとなっています。

岐阜4区の候補者

 保守地盤が強い"自民王国"の岐阜県。

 前回の衆院選では岐阜1区から5区の小選挙区を自民党が独占。野党の比例復活当選もなく、戦後初めて野党系の国会議員が岐阜県内でゼロとなりました。

 そんな中、今回激戦となっているのが岐阜4区。

 届け出順に、立憲民主党の元職、今井雅人氏と、自民党の前職、金子俊平氏が立候補しています

 岐阜4区の特徴はなんといってもその広さ。15の市町村が含まれ、広さは合わせて約6000平方キロメートルと愛知県や三重県よりも広いんです。
 

立憲・元 今井雅人氏

”浪人”からの返り咲きを狙う
「ちょうど3年前に私は落選しました。それから数か月間は正直、頭が真っ白で何も考えられなかった。もうこのまま政治家はやめようかなと、思ったこともあります」(立憲・元 今井雅人氏)
 
 これまで衆議院議員を4期務めた今井氏。しかし前回の選挙では比例復活当選もできず、3年間の浪人生活を過ごしました。

 悔しさをバネに企業団体献金の禁止などを訴え、国会への返り咲きを目指します。

「政治で一番大事なことは、国民の皆さんから信頼を得ること。私は企業・団体から献金をもらいません。そして政治資金パーティーもやりません。お金をもらってしまうから不正が起きたり、癒着が起きたりするからです」(今井氏)
 
 公示日当日。可児市で第一声を終えた今井氏は早速、高速道路で郡上市に移動。高速道路を降りると、住宅の多い可児市から一気に山間部へと景色が変わります。

 郡上市の支援者と会いお昼ご飯を食べると、すぐに街宣車に乗り込み、次に向かったのは下呂市です。

「この選挙区は本当に広い選挙区で、普段の政治活動でも1日に300kmとか400km走ったことはざらにあるので日常です」(今井氏)

 街宣車では自らマイクを持ち、対向車の人、川の中州で釣りをする人、畑仕事をする人など、1人1人に手を振りながら回ります。
 
 下呂市に到着したころには、すでに辺りは薄暗くなっていました。

「今回の選挙は絶対に負けるわけにはいかないので、12日間本当に一瞬も気を抜くことなく全力でやるしかないという気持ちで臨む」(今井氏)
 
 今井氏を応援しようと、立憲民主党からは続々と大物が。

「今井さん、政治家として高く高く評価している。政策通としての今井さんに政府の中で存分に仕事をしてもらいたい」(立憲民主党 野田佳彦代表)

「今井さんは地元の経済、町場の経済、皆さんの家庭の中がどうなっているかを国会質問する。そういう姿勢の国会議員が今必要」(立憲民主党 泉健太前代表)
 

自民・前 金子俊平氏

夫婦「二人三脚」で選挙区を回る
 一方、公示日前日に必勝祈願。そして広い選挙区を回る相棒とも言える街宣車の安全祈願を行った金子氏。

 元大臣の祖父と父から約60年続く地盤を引き継ぎ、3期目を目指します。

 しかし、「政治と金」の問題による自民党への逆風を感じていると言います。

「『自民党は何やっているんだ』とか『お前何派だ』とか、非常に厳しく問い詰める声が去年10月~12月あたりから一気に感じるようになった。どんな説明をしても、各議員がどうというより、自民党に対する政治不信が本当に根強い。だからこそ、厳しい選挙になるのは覚悟している」(自民・前 金子俊平氏)

 18日の早朝。金子さんが訪れたのは、岐阜県北部の白川村。世界遺産、合掌造り集落を背に物価高を超える賃上げなどを訴えました。

「今年、都会で賃金が物価高を超えたそうです。働かれている皆さんは賃金高になっている実感はありますか。物価高だから悪いわけではない。しっかりとそれを超える賃金高に我々ができていないのが悪い。賃金高を達成していく。私もその原動力になりたいと思う」(金子氏)

 白川村での演説から約6時間後、岐阜4区で最も南に位置する可児市では、高市早苗・前経済安全保障担当大臣が応援に訪れました。

「日本の未来を作る金子俊平。どうか皆様の力でもっともっと活躍させてやってください」(前経済安全保障担当大臣 高市早苗氏)

 白川村から可児市までは約140km。高速道路で2時間ほどかかる距離を大移動かと思いきや、演説に立ったのは妻の記子さん。

 移動に時間がかかるため、金子氏がいない地域を記子さんが回ることで広い選挙区をカバーします。

「本当に献身的に支えてくれているので、二人三脚で助けてくれている。本当に感謝している」(金子氏)
 
 自民と立憲一騎打ちの激戦区に、17日には岸田前総理も応援に駆け付けました。

「私の政権においては、財務省の大臣政務官を務めてくれた。間違いなく自民党のあすを、そして日本の次世代を背負うリーダーになると確信している」(岸田文雄前総理) 
 

 

両氏が訴える観光政策
 岐阜4区には高山市や下呂市など、観光地の多い飛騨地域が含まれます。候補者は観光政策について、何を訴えているのかまとめました。

 両氏共通の主張としては「現在の飛騨地域の観光は下呂市、高山市、白川村など、飛騨地域の観光はピンポイントになってしまっている」「地域一体の観光を作り、滞在時間を延ばしたい」としています。

 そのうえで今井氏は、例えば下呂温泉に温泉病院のような保養型の機能を入れて滞在時間を長くしたり、自然環境が体験できる施設を作ったりするなど、「滞在型・体験型の観光作り」を訴えています。

 金子氏はインバウンドで旅館の部屋数が増える一方、宿泊施設の従業員の人数が減っている場所もあるということで、まずは「人手不足の解消」が必要としています。
 

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