「一票の格差」是正で新設された選挙区 候補者4人が票固めに奔走 愛知16区

2024年10月23日 19:51
27日投開票の衆院選。「一票の格差」是正のため、東海3県で唯一新設された愛知16区はおよそ39万人の有権者がいます。元職1人と新人3人の選挙戦が熱を帯びています。

 

 一票の格差を是正するために公職選挙法が2022年に改正され、愛知県では犬山市、江南市、小牧市、北名古屋市、豊山町、扶桑町、大口町を選挙区とする愛知16区が新設されました。

 

国民民主党の新人、福田徹さん(42)

医師からの転身
 国民民主党の新人、福田徹さん(42)は15年間、日赤名古屋第二病院で救命救急の医師として働いていましたが、医療費の増加や医療を担う人手の不足などを感じ、政治の世界にチャレンジすることを決めました。白衣をまとい医療改革を訴えます。

福田氏
「価値の大きい医療にお金も人も集中投資する。人に優しい医療改革はただ医療や命を守るだけでなくて、その結果として日本を豊かにする、成長させるエネルギーになると信じています」
 
 候補者4人の中で唯一、政治や選挙運動のすべてが初めての経験。ベテランのスタッフからアドバイスをもらうことも。

 忙しい毎日を送る選挙期間中も地元のたこ焼き店でひと息。2歳のころから通う店です。

福田氏
「自分の体に必要なものが入って来たみたいなレベルです。さあもう1回、”別の世界”に戻るか。やる気が出ますね」
 
 日常に戻れたのも束の間。スタッフに見守られながら午後の街頭演説へ。

 チーム一丸となって当選を目指します。
 

共産党の新人、松崎省三さん(78)

東海3県、最高齢の候補者が挑む選挙戦
「自公政治をみんなで変えよう、自公政治をみんなで変えよう」
 
 共産党の新人、松崎省三さん(78)。自民党の”裏金問題”を明るみにしたのは、共産党が発行する機関紙「しんぶん赤旗」だとして支持を訴えます。

松崎氏
「自民党が応援するような候補者を国会に送るのか、それとも自民党に正面から対決している候補者、松崎省三を送り出すのか。これが政治的に大きな争点になっている」
 
 松崎さんは大手メーカーで船舶の設計などの仕事をしていました。
 
 労働組合で活動するなか、当時の先輩社員が転勤を断ったことで解雇されてしまったといいます。
 
 この件をきっかけに政治家をめざしました。
 
 今年、78歳。東海3県で最高齢の候補者ですが精力的に支援者らと交流を図ります。

松崎氏
「年齢を問わずに今の政治を変えていく人がどうしても必要だと。候補者として。そういうことで(出馬を)決意した。特に年配の方、年金生活者が困っていると見聞きしているので、そういう声も取り上げるためにも高齢ですが頑張っていきたい」

 体力づくりにつながる趣味も。

 先月は親子3世代で、長崎県の国見岳に登りました。
 
 新しい選挙区で議席獲得という頂上を目指します。

松崎氏
「16区は新しい選挙区なので、これまでのしがらみにとらわれずに自分の判断で候補者を選んでいただきたいと強く訴えていきたい」
 

立憲民主党の元職、松田功さん(56)

再び国会へ…「ゼロからの戦い」に息巻く元職
「将来に不安がたくさんできている。これを止めなければならない時期が今回の解散総選挙であります」。こう訴えるのは立憲民主党の元職、松田功さん(56)。
 
 北名古屋市議などを務め、2017年の衆院選では比例で当選。
 
 ただ2021年は落選し、比例復活もかないませんでした。
 
 新しい選挙区での戦いはゼロからだと感じています。

松田氏
「認知度・知名度は簡単に上がるわけではない。わかってもらうというのは大変な作業だなと改めて思います」
 
 この日は行きつけの寿司店で腹ごしらえ。表情が緩みます。

松田氏
「至高の時間ですよ。ご飯食べるのは。お酒が飲みたくなります」
 
 人への投資や災害に強い国づくりを訴えて、再び国会を目指します。

松田氏
「国が率先して人の命や生活を守っていけないのは日本じゃないと思う。新しく現場の心をもった人間がしっかりと国づくりを前に進めていきたい」
 

公明党の新人、犬飼明佳さん(52)

「与党の代表」として挑む
「誰もが実感ができる賃金アップを前に進めるために、税金の制度の改革を進め、中小企業を支え、持続的な賃上げを後押ししていきます」。こう訴える名古屋市選出の愛知県議会議員を12年間務めた公明党の新人、犬飼明佳さん(52)は他の候補者にはないアピールポイントがあります。

犬飼氏
「この愛知16区で唯一の与党の代表であります」
 
 「与党の代表」。新設の愛知16区では自民党本部が地元を押し切り、候補者擁立を見送りました。

  与党の統一候補として挑む選挙戦。公明党の石井啓一代表も、「自公」での勝利を呼び掛けます。

公明党の石井啓一代表
「犬飼候補を勝たせていただくことが自公連立の勝利に直結するわけであります」

 推薦を出す自民党は石破茂総裁自らが応援に入りました。

石破氏
「この国を守るのは誰でもない。我々自民党公明党の連立政権であり、この地から犬飼がそれを守り抜きます」

 街頭に立つ犬飼さん。右腕には赤いリストバンドを身につけます。中学生の娘と小学生の息子から誕生日に贈られたといいます。

犬飼氏
「(多忙で)子どもたちとなかなか接する機会が無いが、これをつけると子どもたちと繋がっているという思いになりますね。勇気と元気が湧きますのでいつもつけてやっています」
 
 公明党が候補者を擁立した小選挙区は全国で11カ所。犬飼さんを含めた小選挙区の候補者は比例に重複立候補せず、背水の陣で挑みます。
 

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