カイロは地球を救う 処分はもったいない 全国から“使い捨てカイロ”集め水や土をきれいに 愛知・大治町

2025年3月6日 07:01
 まだまだ寒い気温が続く中、使い捨てカイロを使う人も多いのではないでしょうか。ところで、その使い捨てカイロ、使い終わったらどうしていますか。  ゴミとして捨てようとしている人はちょっと待ってください。実は、その使い終わったカイロが地球を救うカギになるんです。

全国から集まった使用済みの使い捨てカイロ

 愛知県・大治町にある一般社団法人「Go Green Japan」。

 この会社には全国47都道府県のいたるところから、1年を通して大量の使い捨てカイロが送られてきます。

「ここでは、使い捨てカイロを原料にして、水質浄化剤や土壌改良剤を作っています」(Go Green Japan 山田欽也 理事)
 

使い捨てカイロを原料にして作られたGo Green Cube

カイロの中の鉄粉を活用した最新技術
 年間で70~80万トン、多い時は最高で1日2トンの使い捨てカイロが送られてくるというこの会社で事業を取り仕切るのは、「Go Green Japan」の山田欽也理事(55)。

「もともとは、東京海洋大学の佐々木教授による研究をもとに、2018年に大阪の山下崇さんが始めた事業で、私もそれに協力する形で、2022年に『Go Green Japan』を設立しました。2023年に山下さんは亡くなってしまったのですが、現在は私がその意志を引き継いで事業を継続しています」(山田さん)

 使い捨てカイロで水質浄化や土壌改良ができる秘密は、カイロの中に入っている鉄粉に特殊な加工をすることで作られたGo Green Cube。

 2価鉄イオンを溶出することで、ヘドロなどから発生する有害物質を無害化したり、植物の育成を促進できるといいます。
 

Go Green Cubeを入れる前(左)と後(右)で、アオコの量が激減

実証実験で抜群の効果 ゆくゆくは地元でも
「大阪の墓山古墳で、このGo Green Cubeが定期的に撒かれているのですが、始めてから半年で、水質汚染の原因となるアオコやヘドロが大幅に減少したというデータも出ています」

 ほかにも大阪・峯ケ塚古墳や長野県・松本城の外堀でも撒かれていて、堆積物が大幅に減少し、水質を改善。

 さらに土壌改良剤としても作物の根張りがよくなったり、花の付きが多くなったりなど、多くの実績を得ているGo Green Cube。

 「ゆくゆくは池や湖などの大きな規模でも使っていきたいし、会社が愛知県にあるので、名古屋城のお堀や東山動植物園の池など、地元にも貢献してGo Green Cubeを認知させていきたい」(山田さん)
 

全国から大量のカイロを集める「Go Green Japan」 山田欽也 理事

日本中の協力で地球をきれいに
 地球をきれいにするGo Green Cubeを作るためには、みなさんの協力が不可欠だという山田さん。

 使い終わったカイロをビニール袋に入れて、袋の空気を軽く抜き、段ボールに梱包してから下記住所に送ってほしいとのこと。カイロは一個単位から回収可能で、未使用の場合は一度袋から出して、完全に使い切ってから送ってください。

送り先:〒490-1143 愛知県海部郡大治町砂子長田 1178-2 Go Green Japan 宛

「カイロを送る際には送料がかかり、完全に皆さんの善意で成り立っている事業なのに、それでも多くの方がカイロを送ってくださり、中には熊本県からトラックでカイロを運んで来てくれる方もいます」

「『頑張ってください』や『今までカイロを捨てることに抵抗があったけど、これなら安心して使えます』といった暖かい声もいただけて、世の中すごいなという気持ちです」(山田さん)

「将来的にはカイロを送ってもらった方々と一緒に、このGo Green Cubeを47都道府県で撒いて、みんなで地球をきれいにしていけたらいいなと思う」(山田さん)
 

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